セレッソ戦~基本に戻った勝利

2018年8月25日 セレッソ大阪vsサンフレッチェ広島 ヤンマースタジアム長居

 暑い、暑い、暑い。台風が去った後、また暑さがぶり返してきた。生半可涼しい日があっただけにより一層暑さがこたえる。日が沈んでも一向に気温は下がらず籠った空気に息を吸うのも負担なのだった。
 そんなモアッとした空気の中での対戦相手はセレッソだった。リーグ中断前、完膚なきまでに叩きのめされた相手である。そしてその時2ゴール奪った高木は先発でこの選手がサンフレッチェにとっての天敵だというのを考慮に入れてのことだろう。対峙するのは和田。あの時は見事にやられてしまったが今回はどうだろう。
 すると前回の反省があるのか和田は高木を上手く抑え込んでる。身体を入れ奪った後はクリア、と見せかけてドリブルで持ち上がる。そして高い位置まで攻撃へ参加して右サイドの展開に加わる。安定している。さすが和田だ。だけど守備が安定してるのはCBの野上が復帰したのが大きいのだった。
 そんなDFへの安心を感じていると縦パスで最終ラインを切り裂かれてしまった。必死にシュートコースを塞ごうとしたDF陣。左に振られてシュート。やられた。が、これがGK林の真正面だったが為にキャッチすることができた。危ない。危機一髪だった。
 そのセレッソの攻撃を防いだ後は右サイドからの展開に入る。柴崎がクロス。ゴール前でパトリックが飛ぶ。が、DFがクリア。真正面に飛んだもののセカンドボールが拾えるか。幸運にもそれに稲垣が反応した。中盤の底から駆け上がったのだがそのままミドルシュート。セカンドボールの処理としてはカウンターを受けないだけでもいい。そう思ってたら低い弾道のそのボールは敵の股を潜り込んでそのままゴールの中までたどり着いたのだった。
 入った、入った、入ったーっ!信じられなかった。絶対に入らないと思った。打ったらたまたま入ったのかもしれない。稲垣のシュートはこういう謎の入り方をする。謎なだけにGKも予測できないのだ。
 先制。それに喜びながらもすぐに冷静さを戻す。ここ数試合6分以内に追いつかれている。なのでまずは7分耐えてほしい。そして10分を超えると試合は落ちついてくるだろう。なのでまずは守って守って守り抜きたい。回して回してフィニッシュへいく。が、遠目からなのでGK林も難なく抑えることができるのだった。
 そこからマイボールの時間もできていつの間にかノルマの6分を過ぎてしまい更に10分を過ぎたことに安心する。むしろサンフレッチェの攻撃の時間が目立ってくる。右サイドでショートパスを使って相手をはがそうし、縦へ抜けてクロス。ターゲットはパトリック。が、合わせられない。その都度顔を覆ってしまう。クロスの質が悪いのか、もう一人のFWである渡のポジション取りが悪いのか好機を生かせないのだった。
 もう1点入れば楽になる。それなのに後半に入ると体力的の消耗からだろうか、パスミスが多くなる。中途半端なパスをカットされカウンターを受ける。前に向いてたベクトルを逆に戻さないといけない。守備への負担が大きくなる。中へ放り込まれる。密集を抜け出し点で合わせたヘディング。マークを外さなかったお陰か枠に入らない。そしてソウザが上がって攻撃参加。キャノン砲のようなミドルシュートを狙われる。シュートコースに入り枠を捕らえさせない。その都度安堵のため息をつく。苦しい。時間は途方もないくらいに残っている。
 そんな守備一辺倒の中、和田がボールを絡めとる。素早い寄せでパスコースを消されるも身体の反転を繰り返し密集地帯を切り抜けると前線へロングキック。パトリックを走らせるのだった。
 ディフェンダーを背負いながらもパトリックが単独でゴールに向かう。GKと1対1。この状況、この場面、何度も観たことがあるがパトリックは決めきれない。その例に違わずやはりシュートは防がれてしまうのだった。
 ああ、これさえ決まれば楽になれたのに。
 更にこの後もカウンターからゴール前に。密集地帯で前を向けず落とすと吉野がシュート。入った。そんな喜びを爆発させようとするもこれをGKが触ったことで枠を捕らえることができなかった。ああ、おう少し威力のあるシュートだったら。わずか数センチのところでどうしても自由にさせてもらえないのだった。
 もはや得点を取ることは困難さ以上にリスクの方が大きくなってきた。点差は1点。わずかなズレが結果を左右する。無理に点を取りに行けない。前線では時間を使うプレーが優先される。渡に代わったティーラシンはテクニックはあるのだがこういう時のプレーが上手くない。こういうとこがまだタイでは行われてないのかもしれない。
 無失点で終えたい。その時間はもう少し。時計の刻みと共にセレッソの猛攻はいよいよ強度を増していく。まるで拷問に遭ってるかのような苦しさ。クリアしたと思ったらCK。跳ね返したかと思うとセカンドボールを真正面からミドルシュート。最後の最後まで足を止めずプレスに入ると枠を逸れた。そしてここで終了のホイッスルが鳴ったのだった。
 終わった、勝った。安堵感からぐったりとへたり込むも喜びを噛みしめる。そういえば連勝を重ねてた時、こういう接戦をものにしてきた。変に点が取れるようになって守備の堅さが減ってきたような気がしてきた。やはり野上の復帰は大きい。そして和田が前回やられた高木に仕事をさせなかったのも大きかったのだった。
 パトリック以外での得点。やはりこのチームは誰が点を取るかわからない状態にした時こそ強みがある。そんなことを思い出させてくれた。

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