柏戦~最後に追い込めず引き分け

2020年9月19日 柏レイソルvsサンフレッチェ広島 三協フロンテア柏スタジアム

 前節5失点の大敗を喫したサンフレッチェ。怪人オルンガ擁する柏にどうやって失点を防ぐか、その対策にGKを林に入れ替えてきた。そして前線に浅野、右サイドに茶島が入るという布陣。小さい変更であるが、結果を出せばチーム内の序列は変わるのは間違いないだろう。
 同じ過ちは繰り返さない。そんな気概は高い位置から相手ボールへのチャレンジという姿勢に現れた。ドリブルに対し単なるブロックになってしまったとしてもそれをカバーしにヴィエイラが下りてきてマイボールにできた。そこから前を向ける。左サイド柏に入る。浅野に出すと裏へワンツーで深くえぐった柏がクロス。ゴール前のヴィエイラが高い打点のヘディングを叩き込んだのだった。
 横跳びしたGKの脇を抜けるように入った。ゴールネットの揺れる様に拳を振り上げ雄たけびを上げる。先制。わずか9分という早い時間で決めたことは前節での失念をリバウンドメンタリティーとして払拭したかのようだった。
ここからも守備を怠らずラインもなるべく高く保とうと努める。当然柏レイソルはその裏を突いてこようとアーリークロスを入れるとオルンガボレー。GK林のセーブで救われたものの、トップにそういうターゲットは大きな脅威であった。
柏の攻撃は淀みがない。オルンガに当てればほぼキープできる。しかもゴールが見えればすぐに反転、シュートまで持ち込む。マークに着いてる荒木は一瞬たりとも気が抜けない。そんなオルンガの存在感と江坂のキープ力によりあれだけ気合を入れて臨んだにも関わらずズルズルと引き下がる展開に持ち込まれてしまう。防戦一方。何とか押し戻したい。
ところがボールを奪ったとこでパスが雑で攻撃がつながらない。ハードワークで守備に駆け回った反動だろうか、自分達の攻撃ではとにかく精度がない。浅野が巧みなターンで相手を引きはがせばヴィエイラの適当なパスが攻撃を終わらせ、柏の突破からの折り返しパスに浅野がシュートを大きく外してしまう。そんなもたつきはレイソルに大きな自信と活力を与えてしまった。
ボールを奪うとオルンガに当てる。そこからサイドに展開。江坂が駆け上がり大きくファーへ蹴るとピンポイントに受けた北爪。ワントラップで放ったシュートはGK林の手の届かないギリギリのとこにビシッと決めてしまったのだった。前半も残りわずか。このあと数分間を耐えることができない。改めてこのチームの脆さを感じずにいられなかった。
そして10番の江坂。キープ力もありテクニックもある。2人掛かりで奪いに行っても獲れない。オルンガも脅威だが江坂もかなり厄介だ。それに引き換え我がチームの10番森島はどうだろう。局面を打開するドリブルはない、パスは遅くてカットされる、CKの全部クリアされてしまう。かつて試合に出始めた頃はもっとギラギラしたものがあったが今やその見る影もない。悪い意味で試合に出るのに慣れてしまった。ここ2試合はどこにいるのか分からない希薄さである。後半早い時間にペレイラに交代したのもそんな現れだろう。
レイソルの攻撃は続いていく。ゴール前にオルンガに入るとターンからシュート。が、これは荒木がクリア。混戦から江坂の切り返しからのシュート。これは枠を外れる。だが守っても守ってもレイソルのCK。どこまで経ってもサンフレッチェの攻撃は訪れないのだった。
それにより前線の選手をどんどん入れ替える。5人の交代枠をフルに使いフレッシュな前線は明らかに動きでレイソルを上回っていた。東のクロスからゴール前でペレイラがヘディング。タイミングはジャストだったものの当たり損ねでGKがセーブ。その後川辺からの絶妙なパスがあったもののペレイラシュート打てず。更にゴールライン際まで深く切り込んだペレイラの折り返しには東間に合わず。惜しいとこまでいきつつも惜しいまでだ。ほぼ崩したといっていい場面をつくりながらも最後に仕留めるとこまでいかないのだった。
柏レイソルには足をつる選手も出た。それでも最後まで詰め切れない。もはやオルンガへのボールは荒木が全部食い止めている。それなのに変にショートパスをつないでクリアされてしまう。もどかしい。もっと強引にいけないものだろうか。せっかく前線にペレイラのような当たりに強いFWがいてもそこにクロスが入ることもない。本当にこのチームはブロックをつくった相手を崩すのが苦手であり、そこはもうレイソルも織り込んでいるかのような守備をしてくるのだった。
そしてアディショナルタイム。畳みかけるかと思いきや逆にカウンターを喰らいゴール前でシュート。GK林にぶち当てた。こぼれをオルンガ。これも野上がブロック。最後の最後に食い止めたのだった。
圧倒的に有利な態勢になりながらも決めきれず、逆にやられてもおかしくない場面を迎えて試合は終わった。確かに負けなくてよかった。5失点もしたチームにしてみれば引き分けで御の字だったのかもしれない。だが決めきる時に決められない、前線でゲームをつくるべき選手の希薄さ、フィニッシュに持ち込めない攻撃、そういったものを露呈して試合でもあった。ただその中でも怪物オルンガを抑えた荒木には力強さを感じ昨年に比べグレードアップを感じさせた。そんな希望もあったものの、やはり5失点もするようなチームは勝つことが困難なのかと見せつけられたような気もするのだった。

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