大分戦~決めれる人がいない

2019年8月24日 サンフレッチェ広島vs 大分トリニータ エディオンスタジアム広島

 台風一過により一旦は猛威を潜めた暑さも再びぶり返してきた感がある。またしても消耗戦、動きの少ない試合になるだろうと思いきや雨がパラついたことにより気温が落ち着いてきた。そのせいだろうか、サンフレッチェは前線から追い込むように圧力を掛けていく。その圧力に屈して大分は後ろでのビルドアップに手間取り何度かミスをした。それにより高い位置でのボールカット、もしくはCKのチャンスを得るのだった。ただ最後が決まらない。最後の最後をしとめることができないのだった。
 最後の最後まで食らいつく大分の守備。崩したと思っても最後の一歩が出てくる。それを引きはがす為により高い精度、より速いタイミング、より的確なポジショニングがいるのだった。
 ボールは持っても攻め急がない。ブロックをつくって固められるのでなかなか打開ができない。が、それでもトップにヴィエイラがいることでその長い脚で収めてくれる。味方が上がるまでキープしてくれる。それにより攻撃に重心を移すことができ大分の守備をゴール前まで張り付かせるのだった。
 サイドからは2人、3人と絡むことで裏を取ろうとする。そこからクロスを送るも上手くヒットすることができない。更にゴール前で引きこもるDFを逆手に取ってヴィエイラがミドルシュートを放つもGKにキャッチ。ああ、ここにきてヴィエイラにとって唯一にして最大の欠点が出た。ストライカーとしてシュートにパンチ力がないのだった。
 シュートは打つ。打点の高いヘディングもできる。相手を剥がすこともできる。だけど最後の最後のシュートが頼りない。打った瞬間GKにキャッチされるのが予想できるのだった。
 更にヴィエイラには点取り屋としての嗅覚がない。川辺が放ったミドルシュートではGKが弾いたものの、弾いたのを見届けてからアクションを起こしてる。ゴール前でボールがこぼれる場所を予測できないのだった。
 その為にシャドーの森島がゴール前へ入る。DFを剥がしシュート。そこまではいけるもののGKがブロック。何かが足りない。何かが足りないのだった。
 更に左サイドから柏がクロス。中で東が合わせたものの威力がない。GKにセーブされる。が、コースが際どかった為にボールが外へこぼれた。千載一遇のチャンス。だがこれをヴィエイラが中へ詰めた為に追いつくことができなかった。セービングの基本としてシュートを弾く場合は外へ弾くのがセオリーである。点を取る選手というのはそこへ本能のように突っ込む。結局のところ最後の一突きをするのにストライカーの不在というのを痛感させられた。
 その他にも逆サイドに入ったクロスに森島がトラップをした場面があった。シュートを打ったもののブロックされてしまった。密集状態のゴール前、トラップをしただけでコースは塞がれてしまう。あそこでダイレクトシュートという発想がなかった。それを本能として持ってなかった。
 決めきれない。そこに業を煮やし青山を投入。そしてトップにペレイラ。前節の勝ちパターンをそのまま持ち込んだ。そして確かに青山が入ることで前線へいいロングフィードが入る。ペレイラも大きな体躯を駆使してボールを失わない。それによってまた押上が起こり前線へ駆け上がる。もはや適当に放り込んでペレイラに肉弾戦をやってもらった方がいいような気がするも、最後の最後まで確実につないで決めようとして引っ掛かる。シュートを打っても打っても入らない。まるでそれは大分の選手がサンフレッチェの選手のプレーを完全に読み切ってるかのようだった。
 守って守って守りぬいた大分。だがそれは時としてカウンターも繰り出した油断のならない守備だった。そしてサンフレッチェは終始ボールを支配しながらも最後の最後までゴールを決めることができないのだった。
 岩のように硬直した試合。それを打破するストライカー。それが欠如してるというのを思い知らされた試合だった。逆に考えるとこれでよく10戦も負ずにやってこれたものである。
 果たしてこの先その役目を担う選手は誰なのだろう。まるで想像ができないとこにこの先のリーグ戦に困難しか思い浮かばないのだった。

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