メルボルン戦~結果を出して欲しかった選手の結果

2019年3月12日 アジアチャンピオンズリーグ・グループステージ サンフレッチェ広島vsメルボルン・ヴィクトリー 広島広域公園陸上競技場

 本田圭介。
 日本代表として3大会連続ワールドカップに出場。その後自ら代表引退を宣言しらものの、今でも日本を代表するフットボーラーであることに変わりない。そんな本田の凱旋試合。まさかこういう形で対戦することになろうとは。いつの間にかJリーグも国際化されてるのだった。
 そんな国際化の波は大会運営にももたらされ、背もたれのない席は客席として利用できないというAFCのルールを順守せざるを得なかった。その為、観客の入ることのできるのは指定席のみになり、チケットが売り切れたというのに実に閑散としたスタンドとなってしまったのである。常々サッカー専用スタジアムが欲しいと言ってきたが、結局のところこのスタジアムはすでに国際標準に対応できてないのだった。
 今回もまたリーグ戦とはメンバーを替えたサンフレッチェだった。が、絶対的なストライカーであるパトリックがいることで前回とは違った様相を呈していた。
そんなパトリックの下へ中盤でのブロックからボールが入る。
ドリブル、ドリブル、ドリブル。右サイドを駆け上がる。ディフェンダーと競りながらも縦へ抜けた。グラウンダーの折り返し。ゴール正面に出たそのボールを合わせた。バシンとゴールに突き刺すシュートを放ったのはルーキーの東だった。
 パトリックの重戦車のようなドリブル。そして東もよくあの位置まで走りこみ決めた。本人もまた自信を深めていくだろう。それを含め早い時間の得点は大いに希望を持った目で試合と向き合うことができた。
 ところがこの後メルボルンにどんどん押し寄せられていってしまう。守備一辺倒。確かにバイタルエリアには入れてない。パスを回させているだけとも言えなくもない。ただ、それもあまり長い時間続けているとどこかで決壊が起きる。特に体格のいいオーストラリアの選手にはパワープレーで来られたらたまらない。しかも本田のミドルシュートも脅威なのだった。
 はじき返してもクリアボールを拾われる。前線にはパトリック一人しかいないのでつながらない。守備固めをするにも時間が早すぎる。何とかならないものだろうか。
 そこで後半から東に代えてサロモンソンを投入。右サイドから活路を見いだそうとしたのだろう。が、状況は一向によくならない。ボール支配率を高めたい。そんな想いからラインを上げたのだろうが、その裏へ出されてしまった。
 決壊したディフェンスライン。水本が慌てて追いかける。間に合わず左サイドから入れられる。ゴール前へスライディング。決められた。決めたのは本田、本田圭介だった。
 よりによって一番注意しなきゃいけない選手にやられた。これで試合は振り出しに戻った。勝ち点3入れる為に攻めなきゃい。それは攻められ続けていたことにより途方もないことのように思えた。
 しかし、ここで気炎を上げたのが渡だった。相手を背負ってでもボールを受け、裏へ出してパトリックのGKとの1対1を生み出し、FKも獲得した。惜しむらくはそのどれも得点には結びつかなかったことである。それもこれも火がつくのが遅すぎたせいだろう。
 そして柏、野津田と投入して攻撃へ拍車をかけるも遅すぎる気がした。森島、渡がシュートを打つ。入らない。決めきることができない。柏が左サイドで仕掛ける。そしてクロス。ゴール前のパトリックにがガッチリマークがついてるのでこれも弾き飛ばされるだろうとため息をつきかけた。
 その時であった。突如、ニアサイドに現れた影。ピンポイントで合わせたヘディングはGKの届かない箇所に入ったのだった。。同点、同点ゴールだった。
 決めたのは渡だった。決めてほしい選手が決めた。勝ち越した。喜びを爆発させると共に残り時間を気にした。もうそれほどない。守れ。踏ん張れ。このリードを死守しろ。
 追いつこうともがくメルボルン。もう低い位置で奪ったものはクリアでいい。そういう時間を使いたい時に前線でファールを貰えた。時間が過ぎていく。堪えろ、堪えてくれ。そんな願いに報いるかのよいにタイムアップを迎えた。勝った、勝ったのだった。
 これで1勝1敗。少なくとも3試合だけで消化試合になることはなくなった。抜け出したい。何としてでも決勝トーナメントに勝ち上がりたい。サンフレッチェのように戦手層の薄いチームであっても戦う術はある。それをみせることができたのが嬉しかった。
 でもまだやっと1勝しただけ。それだけに勝ち進むことによって東や渡のように新たなヒーローとなる選手が生まれて欲しかった。

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