マリノス戦~釈然としない敗戦

2021年9月11日 サンフレッチェ広島 vs 横浜Fマリノス エディオンスタジアム広島

 秋へと移り行く涼しさ。日の入りも早くなり照明の灯ったピッチに入場した選手の中に土肥と東の姿が輝かしかった。2人共チームの活性化に大きく寄与してる。特にハイネルが出場停止のこの機会に土肥はポジションを定着させてほしい。
 現在2位のマリノス。順位の上ではもはや届かない存在になってしまったものの序盤からハイプレスで自由を奪い高い位置でのボール奪取から東が抜け出しゴールを前にするも折り返した場所に誰もいない。そしてマリノスも前線にボールを運んでエウベルの抜け出しを演出するも佐々木が食い止める。攻撃にも守備にも抜かりがないのだった。
 更に攻撃へと拍車を掛けミドルシュートを狙うも跳ね返されるもセカンドボールを拾い左サイドに流れた土肥が受ける。そこからどう展開するか、ちょっと立ち止まったかと「お乗った瞬間クロスを上げた。ペナルティエリアに入った東が打つ。ファーへ流れるもポストに当たる。が、その跳ね返りをヴィエイラ。真正面から押し込んだ。先制、正に土肥と東によってもたらされたゴールだった。
 その後もカウンターからヴィエイラがゴール前へ運び込む。前が空いてる。そこで打たずに横パスはカットされカウンター。それをすぐに数人で囲み攻撃の芽を潰す。中途半端に終わる攻撃は危機に瀕する前に中盤で摘み取る。そしてまたしても中盤へと跳ね返されたボールに土肥がヘッドで弾いたのだった。
 ただその時だった。ヘディングでジャンプした土肥をレオセアラがアフタータックルにより突き飛ばした。うずくまった土肥。続行するという意思を示したもののプレーを再開するとやはりまた倒れてしまった。交代。無念の負傷交代を告げるのだった。
 悲嘆に暮れ涙を流しながらピッチを去る土肥を尻目に松本が入る。残念ではあるが、松本にとっては巡ってきた出場機会である。アピールしてもらいたい。何よりもチームは先制の勢いがあった。
 最終ラインでのパスカットから野上が自らドリブルで持ち上がりバイタルエリアまで来てしまった。が、サポートがなく潰えてしまう。その後もDFから相手の背後へのロングパスにヴィエイラが反応して追いつくも放ったシュートはGKにセーブされてしまう。追加点のチャンスがありながらも決めきれない。そんな尻すぼみの攻撃はマリノスに活力を与えたのだろうか、途端にボールが回るようになっていった。左サイドに入ったマルコスのボールが奪えない。するとカットインから地を這うようなキックを放つと中央で張る前田の足元へ。ワンタッチ、方向を変えそのままゴールへたたき込まれてしまったのだった。
 同点。それはあまりにもあっさりとした失点だった。そのあまりもの呆気なさにまだ同点になったということが信じられなかったもののその後、マリノスのプレースピードはぐんぐん上がっていき押し込まれる場面が続いてしまった。
 ゴール前へ放り込まれればGK大迫が飛び出すもパンチングが後ろに飛んでしまう。そのままオウンゴールになってしまったかと思ったもののネットの上に乗っかり助かった。だがその後のCKからの流れで速い弾道のクロスを入れられるとレオセアラのヘッド。枠を外れてくれたものの先に触られてる。セカンドボールは全て拾われるし明らかに流れが悪くなっているのだった。
 そしてまたしてもマルコスのサイドからのドリブルが止められない。何とか掻き出したもののCK。ゴール前へ蹴りこまれた低い弾道。すると次の瞬間にはゴールに入っていたのだった。
 逆転。あまりにも簡単に決められた。競っていた荒木は同じDFの實藤の後ろ向きのシュートにあえなく負けてしまった。そしてGK大迫もまるで空気の如く存在感がなく微動だにできなかった。ああ、もうこれで終わってしまった。よかったのは飲水タイムまで。土肥の交代、そして監督による支持の伝達がこうも戦局を変えてしまった。
 後半に入るもペースは変わらない。この辺が城福監督の足りないとこである。やはり防戦一方。時折カウンターへの姿勢を魅せつつもゴール前に入った途端エゼキエウは躊躇してしまいシュートはブロックされる。まるで恐さがない。それがマリノスに余計に勢いを与えてしまうのだった。
 マルコスのヒールから裏抜け。フリーとなりクロス。荒木クリアするもCK。まるでその様子は攻撃練習でもしてるかのように多彩な技を繰り出していく。対してサンフレッチェの攻撃はというと3分の1まで運んだあと急に尻すぼみになる。まるでピッチに傾斜がついてるかのよう。マリノスのゴールは高くせり上がっているのだった。
 もはや人数を掛けてもボールが取れない。たまらずファールで止めてしまう。だがゴールまでは距離がある。壁をつくって備える。そしてFKを放ったレオセアラ。直接狙った。入った。GK大迫の横跳びも空しく触ることすらできなかった。
 駄目押しゴール。1-3。もはや2点を入れることなぞサンフレッチェには不可能だった。そんな諦めを抱いてしまった。それでも前線でヴィエイラは身体を張り何度もボールを収めた。ペナルティエリアでは逆サイドに振り柏が飛び込みシュート。入ったかと思いきやGKにぶち当ててしまった。シュートをブロックするマリノスGK高丘、シュートを触ることもできないGK大迫との違いだった。
 もはやマリノスにはどうとでも攻めれる余裕があった。それでもあきらめないサンフレッチェは交代で入ったサントスが強引にボックスに入ると折り返し青山のシュート。が、クロスバー。跳ね返りを浅野が打つも枠を大きく外れた。
 その後も青山の素晴らしい弾道のミドルがあったもののやはりわずかに枠を逸れる。そしてあえなくそのまま点差を縮めることなく終わってしまった。
 チーム力の差。確かにそれもあったろう。でも土肥が交代するまではよかった。改めて土肥を負傷交代に追いやったレオセアラは3点目も決めて気分が良かっただろう。そして負傷交代をするファールを犯したのにカードも出さなかった審判は選手を守るという本来の立場を忘れてしまったのだろうか。
 弱かったから負けた。そこを否定することはできないものの喜ぶマリノスを尻目に釈円としないものが残るのはどうしようもなかった。

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