天皇杯~5部チームに惨敗

2021年6月16日 天皇杯2回戦 サンフレッチェ広島 vs おこしやす京都AC エディオンスタジアム広島

 天皇杯初戦。相手は5部リーグ所属のチームとありメンバーを落としてきたのは出場機会を与えるのと冒険をすることで新たなる可能性を模索する為だったろう。今シーズン初出場のGK増田、鮎川のトップ下、長沼のCB起用には意表を突かれると共に大丈夫かという不安も正直抱えてしまった。
 日没を前にしたスタジアムで始まった試合はパスワークでいなそうとするサンフレッチェに対して京都は数人掛かりのプレスで進行を防ぐ。が、人数を掛けてきたとこで中盤の柴崎は右のスペースへ出すと茶島がフリーで駆け上がる。京都が慌ててゴール前へ戻る中クロスをするとドウグラスのヘッド。ドンピシャのタイミングだったもののGK真正面でブロック。ああ、ドウグラスはせっかくあの長身の体格がありながらフィニッシュにパンチ力がないのだった。
 それなら鮎川を使おうとパスを入れるとここからのパスが引っ掛かってしまう。クロスが入ったりしてもどうもポジショニングがズレてフィニッシュに至らない。相手はこれからJFLに上がろう、もしくはここで活躍して上位リーグに引き抜いてもらおうという野望を抱いてる選手の中においてどことなく小粒に見えた。一瞬一瞬のプレーへの魂の入れ方が全く違っていた。
 そんな軽さは長沼にもあり、低い位置でのボール回しでミスをして奪われる。この地点での変な奪われ方は致命的だったものの相手のシュート精度のなさに救われた。だがそんなプレーの軽さはチーム全般に蔓延してたのだった。
 ゴール前を固めた相手に対して相変わらず崩すことができない。薄々は感じていたが、点が取れないのはJ1相手だからではなかった。エゼキエウのドリブルは引っ掛かる、東のクロスは精度がない、今津や長沼のミドルシュートは枠に行かない。そして度々訪れるCKのチャンスも茶島のキックは相手にクリアばかりされる。たまに井林が当てても枠に入れられない。攻めてる内に仕留めたいのにちっともできない。そして段々と相手もサンフレッチェの攻撃に慣れてきた。ああ、これもいつもの光景。なぜにここまで同じことの繰り返しをしてしまうのだろう。生中継を観ててまるで再放送を観てるかのような錯覚に陥るのだった。
 するとサンフレッチェの攻撃を食い止めた京都のゴールキックは簡単につながられる。そしてDFラインに当てられるとサイドへ叩かれ裏へ入られ角度のないとこからシュート。GK増田、かすることすらできずゴールに叩き込まれるのだった。
 失点。本当に今シーズンは必ず失点してしまう。やはり長沼がDFやってることに無理があるのだろうか。かといって前線行っても活性化できないし、他に使い道がなくてここにたどり着いてしまったのだろうか。ところがトップ下で出てる鮎川にしても迫力がない。シュートを打てばブロックされるし高い位置でボールを収めることもできない。そんな前線の貧弱さに気をよくした京都は一気に押し上げをはかる。中盤に当て、前線へと繰り出す。その都度ボールにアタックするもののまず長沼がこけた。そして茶島がこけてゴール前まで運ばれると横パス、シュート。まるで練習でもしているかのように易々と決めてしまttのだった。
 2点差。これは屈辱的である。早く返したいと右の茶島に出ると中へ行くと見せかけそのまま縦へ。深い位置からグラウンダークロス。シュートフェイント入りその後ろに入った柴崎のシュート。ゴールの隅にコロコロと入っていったのだった。やった、まずは1点返した。前線がちっとも決めないことでボランチの柴崎が決めた。この時点で両者のゴールの違いが出ていたのだった。
 さすがに後半はメンバーを代えるかと思いきやこのメンバーに託した。だがやはりサンフレッチェのプレスはちっとも掛からない。競り合いでは負けてしまい攻撃では時間を掛け過ぎてしまう。さすがに業を煮やした城福監督は一気にレギュラークラスを3人入れてきたのだった。
 森島、ハイネル、サントスといった個でも秀でた選手の投入はさすがに攻撃を活性化させると左右に揺さぶりクロスを入れることができた。セットプレーも得ることができた。が、精度がない。本当にいつも同じ課題が出てしまう。そして更にギアを上げようと浅野、藤井を入れてくると逆に上手く封じられるようになった。
 すると前掛かりになった裏のスペースへ出されCKを与えてしまうとそのキックにニアで合わされた。実に簡単に、実にあっさりと、実にシンプルに決められてしまった。CKはサンフレッチェの方が多いにも関わらず1回も決められなかった中、京都は1回できめてしまったのだった。
 これにはさすがにショックが隠せなかった。すると今度はスローインから中へ割って入りシュート。決められた。呆気なかった。あまりもの簡単さにもはや悔しさすら感じなかった。入れ替わられた井林は守備がここまで軽いとは思わなかった。
 せめてもう1点入れて意地くらいは見せたかった。ところが動きが鈍く簡単にボールを奪われると右サイドからクロス。中でヘディング合わされ決められ1-5とされてしまった。
 信じられなかった。今回出場した選手の何人かはこれが最後のアピールの場かもしれなかった。それを下のカテゴリーのチーム相手にこんな完膚なきまでに叩きのめされてしまったら選手に関わってしまうのではなかろうか。この試合に出た何人かはもう来年チームにいなかったとしても不思議ではない。そんなシビアなプロの現実を分かっているのは残念ながらおこしやす京都の選手の方だった。
 天皇杯敗退。5部のチームに4点差で惨敗。今のチームの現実を突きつけられ本当に今年は残留できるのか不安が過ってくるのだった。

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