名古屋戦~浅野のスーパーゴールにより勝利

2021年10月3日 サンフレッチェ広島 vs 名古屋グランパス

 塩谷がUAEのアル・アインから復帰した。これによりDFの層だけでなくサイドやボランチもできりユーティリティ性からチーム全体に厚みが出てきた。とはいえ出場はまだ先。それまでにチームの形を作っておきたい。
 だがワントップとして定着したドウグラス・ヴィエイラは負傷離脱した。それにより浅野がチャンスを得たもののこれまでワントップで出場して機能した試しがない。やはり適性はシャドーなんだろう。かといってそこは森島、柴崎が選ばれてる。応援してる選手の一人ではあるものの現状では厳しい立場である。
 その浅野を起点として試合は前からのプレスを掛けていった。10月なのに異様な暑さ。この強度でプレスを続けるのはスタミナ的に不可能だった。それなのにボールが取れない。プレスが掛からない。GKを含めたパスワークは隙を見つけてはロングボールを蹴られる。前からのプレスは見事に裏返されゴールに向かわれる。荒木が追う。そして身体を当てボールを刈り取るものの危なっかしい。しかも名古屋もボールホルダーへの圧力を強める。ビルドアップで行き詰まる。するとボールを奪われるとスルーパスが出た。裏のスペースに入り込み折り返し。完全に崩されたと思ったもののゴール前に集まった選手によりシュートブロック。食い止めはしたものの名古屋の攻撃はチャンスと見るや次々とボックスに雪崩れ込むのだった。
 必然的に自陣に下がって守備をする時間が長くなる。だがそれ程危機に陥ってないのは中盤でハイネルが何度もインターセプトした。今日は読みが当たってる。そしてそれに呼応するようにCBの荒木が中盤まで上がりインターセプト。一旦はこぼれを拾われるもののそれも再びアタックすると前にいた浅野に渡る。DFのマークが入るものの構わず縦に。DFに競りながらのドリブルは左へ追いやられる。そしてペナルティエリアに入るもシュートする角度がない。が、打った。GKランゲラックが倒れながら手を伸ばすも届かない。でもさすがに枠には入らないだろう。そう思った次の瞬間、ファーのポストに当たるとそのリフレクションはゴール内に入ったのだった。
 決まった、きまった、決まった、先制。ボール1個分のズレも許されない精度でのゴール。まさにあそこしかないといコースだった。そんなスーパーゴールを浅野が決めたというのが嬉しい。決めたのも凄いがよくあそこでシュートに行くという踏ん切りがついたものだ。そう、これこそが浅野に求めてた姿なのだった。
 思いがけないリードにより沸き立つ。ところが喜んでばかりいられないのが今シーズンは先制すると必ず失点してしまってるからだ。1点では心細いやはりここは追加点が欲しいのだった。
 佐々木がインナーラップから敵陣深くから折り返しを入れる。シュートを放ったが入らない。そしてワンタッチパスを駆使するとDFラインに混乱を与え中央からシュート。これはGKランゲラックがキャッチ。すると今度は最後尾から出たロングボールを中盤で処理した浅野がターンで逆を取る。右サイド駆け上がった藤井へパスするとポジションの整ってないゴール前へクロス。DFの山を超え森島がゴール真正面からヘディングシュート。が、浮いてしまった。枠の上を大きくそれてしまうのだった。
 そしてそのまま前半を終えるも後半に入って名古屋は先に交代カードを3人切ってきた。その中には前田がいる。この選手が苦手でいつもやられてしまう。するとやはりこの前田のところから崩されていく。サイドから縦へのドリブルが止められない。中へのカットイン、そしてスルーパス。ピンチを演出される。すると右サイド藤井も守備に追われるようになった。交代出場のマテウスが止められない。するとジリジリとゴール前へ押し込まれる。クリアしても自陣に引きこもってるだけに守備の時間が切れないのだった。
 段々とロングボールの応酬のようになってきた。前線で受けた浅野は一人でゴールに向かう。DFに掴まれてもものともしない。そしてゴール前でシュート。それは防がれてしまったものの強引でもいこうとする姿勢がいい。ゴールにはならなかったものの少なくともCKにして時間を稼いだのだった。
 もう1点入れて楽になりたいものの名古屋も最後はやらせない。そして奪ったらすぐに前線へ出してくる。それを荒木や野上が跳ね返す。それを途中出場の茶島が拾うとドリブルで上がる。上がって上がって上がるとサイドに駆け上がった松本に出した。が、そこからゴールに向かうことなくボールキープ。もはや時間稼ぎに入った。2人に囲まれるも時計を進めることができた。
 最後まで走って走って走りまくってボールホルダーにアタックする。それでもミドルシュートに持ち込まれたものの枠には入らなかった。そこでタイムアップ。最後まで集中力を切らすことなく1点を守り1−0で勝つことができたのだった。
 浅野のワントップが成功した。藤井のスピードも生きた。守備でサボる選手がいなかった。終了後倒れ込んだハイネルは体力を使い果たしたようだった。負傷者が多く選手層が厳しくなってからこんな気持ちの入った試合をすることができた。城福監督の采配も概ね当たっていた。どうしてここにきてこういう試合ができるようになったのか不思議だった。
 先制すれば追いつかれる。先制されれば追いつけない。そんな失態が続きもはや引き分けだけ狙う方が現実的だと思った時期があった。でもやっぱり勝つ為の試合をやっていこう、そんな高揚する気分が身体の底から沸き立ってくるのだった。

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