横浜FC戦～打つ手なしの敗北

2021年7月11日　サンフレッチェ広島 vs 横浜FC エディオンスタジアム広島

　川辺の海外移籍により空いたボランチのポジションにはハイネルが入ることになった。柴崎が怪我をしてる中では順当な選択であったものの、コンビを組む青山と共にスタミナが落ちるとプレーが雑になるだけにどことなく不安を抱かざるを得なかった。だけどこれは本人にとってはチャンスでもある。今一つ中途半端な立ち位置であるエゼキエウも出場機会を得てサントスとブラジル人トリオとしての威力を見せて欲しかった。
　そしてGKは大迫がオリンピック代表に選出された為にベテランの林が入る。ここは心配することはないだろう。大迫よりもチームを落ち着かすことができるという安心感がある。
　そして試合は長いボールから始まった。収まり所がなく落ち着かない。そんな中、最後列へ出したボールに佐々木がトラップミスしてしまい搔っ攫われる。たまらずファールで止める。開始早々にイエローカードの提示を受けるという失態をやらかしてしまった。
　その最後列からのビルドアップで持ち運ぼうとするもののパスが通らない。後ろで横、横、縦と出すと必ずインターセプトされてしまい逆襲を受ける。そこを敬遠してより安全なとこばかりでパスを受け渡すものだからボールはちっとも前に進まない。ああ、これはこのまま何もできないまま時間ばかり過ぎてしまうのだろう。そんな気がしていた。
　ところが相手ボールになったのを荒木が前に出てクリア。それが上手く相手に当たりＣＫを得る。ついてる、ついてるぞとここまでは思った。すると森島の蹴ったＣＫはいとも簡単にクリアされセカンドボールを拾われると前線へ大きくロングボールを蹴られる。抜け出した小川。誰も追いつけずＧＫ林が飛び出すとあっさりとかわされ突破。そして深くえぐりシュートを放つとそのままゴールへ流し込まれるのだった。
　失点。早い早い失点。一体何をしているのか。ＣＫという自分達のチャンスを逆に相手の得点にしてしまった。たった1本のパス、たった１人のドリブルでいとも簡単に点を与えてしまった。ＧＫ林がもうちょっと小川に時間をかけさすことができれば。ＣＫのセカンドボールに対してもうちょっと強い反応をすることができれば。このチームはあまりにも安い失点が多すぎる。その反面得点力がないときてるのでもうこの時点で勝負あったような気がするのだった。
　先制した余裕から横浜ＦＣの守備がガッチリ嵌る。左サイド柏のドリブルも抜けない、森島もバイタルでのプレーの選択が遅く奪われる。そして全てにおいて横浜ＦＣの選手の方が出足で優っているのだった。
　するとそんな膠着状態に業を煮やし青山がバイタルエリアまで運ぶと柏へスルーパス。ボックスに入った柏はクロス。森島が飛び込んだ。ガツンと当たったのはゴール横の看板だった。
　あのタイミング、あのボールの上がった位置、それをもってしても決められない。森島の得点力のなさに目を覆ったがそのままうずくまってしまった。飛び込んだ際肩を痛めたらしくピッチを去った。決めるべきシュートを決めきれずに怪我まで負ってしまう。何ともやるせないことである。そして代わりに入った鮎川は森島以上に得点力がない為にやるせなさが倍増してしまうのだった。
　するとここでエゼキエウに火が付いた。単独でドリブルへ上がる、上がる、上がる。最終ラインを抜きシュート。が、ＧＫに弾かれる。そしてそのこぼれに誰も反応できない。ゴールへの嗅覚というものがこのチームには決定的に欠けてるのだった。
　それでも何とか追いつきたいサンフレッチェは藤井に代えて長沼を投入する。が、この交代の意図が分からない。5部のチーム相手に何もできなかった選手をよく我慢して使う気に
なると思っていたものの、右サイドで相手を置き去りにした場面をつくりだした。ここでゴール前のサントスに合わせれば。フリーの状態でクロスを上げる。が、それはそのままゴールラインを割ってしまい腰砕けになってしまうのだった。
　ああ、やっぱり長沼は厳しい。今シーズンの長沼を観て使いたいと思う監督いるのだろうか。かなり厳しいと思う。正直プロとしての当落線上にいるのではなかろうか。そしてもう一人の若手、鮎川も青山のヒールによってゴール前に抜け出しシュートもＧＫに防がれてしまった。いいとこまではいけるが決めきれない。数字として残してないという意味では鮎川も危機的状況ではないだろうか。
　ＦＫもありＣＫもある。佐々木や荒木が合わせるもそのどれもが枠外。頼みのサントスもゴール前でバイシクルを狙うも当たり損ね。ボテボテと転がるボールをＧＫが拾うのを見るにつけ、本当にこの選手は期待外れだったなと思わざるを得なかった。
　打つ手、打つ手が何の打開にもつながらなかった城福監督は長沼を下げてヴィエイラを入れるという策に出た。そこからロングボールの応酬。ＧＫ林から前線目掛けて繰り出すものの、こういうパワープレーが実ったことが一度としてない。そしてその例外に違わずそのまま終了して０－１で負けてしまったのだった。
　情けない。相手は最下位だったものの全てが上回ってた。どうしてここまで弱くなってしまったのか。前からのプレスはちっとも圧力になってないし安い失点も収まらない。ここから1か月の中断期間とはいえ城福監督がここで立て直せるとは思えない。一体どうすればいいのか。もはや今シーズンは残り試合引き分けだけを狙って勝ち点１を積み上げる方が現実的なのではと思ってしまうのだった。