名古屋戦~決めるべきとこで決めた2点

2020年11月11日 サンフレッチェ広島vs名古屋グランパス エディオンスタジアム広島

 名古屋グランパス。昨シーズンまで主力として在籍した稲垣がいる。疲れを知らないそのプレーはずいぶんとチームも助けられ、その移籍には驚きがあった。ただそれは誇らしくもありサンフレッチェで飛躍したという証明でもあった。敵としての稲垣がエディオンスタジアムに現れるのは何とも奇妙な感じだった。
 その名古屋に対してサンフレッチェは前から嵌めようとFWから積極的にプレスをかける。それは前節早い時間に失点してしまった反省もあるのだが残念なことにプレスを続けててもちっとも高い位置で取れない。むしろそのまま切り抜けられてDFのとこで回収する。そしてマイボールにするも中途半端なとこですぐ奪われる。その結果またプレスを続けないといけないのだった。
 ただ、ボールは奪えないものの、前からのプレスはゴールを脅かされないだけに観てて安心感があった。ペレイラがCBへチェック。浅野がパスコースを塞ぐ。GKに返されると縦パスで剥がす。が、これを読んだ川辺がギリギリで跳ね返すとルーズボールがゴールに向かう。そこに入ったペレイラ。左足一戦でシュート。次の瞬間ゴールネットが揺れゴールの脇に収まってたのだった。
 先制。川辺のチェックも素晴らしかったがペレイラの決定力はすざましい。圧倒的にボール支配をされてる状況でワンチャンスを決めた。やはり決めてくれる人がいるというのは心強いのだった。
 ところがまだ早い時間帯ということで名古屋に動揺は見られなかった。そこにはいつでも立て直せるという確信めいたものがあり、圧倒的にボール支配率を上げる。それでも中盤に出たとこで野上や荒木が潰してくれるので危機感はない。むしろカウンターとなって名古屋のゴールに向かう。ただこれも肝心なとこで決めきれない。茶島のクロスは絶好のスペースにこぼれるも東はボレーシュートをふかしてしまう。川辺のカットからのロングフィードは森島がトラップをDFに掬われるのだった。
 チャンスを生かせない。そういうのを繰り返すと段々と相手に勢いを与えるものだ。事実、名古屋はCKを取るとそこから連続してCKが続く。防いでも防いでも守備の時間が消えない。だがついに奪うことができると森島が縦へ速いドリブル。中央ペレイラが入った。が、ここでペレイラのファールによって攻撃が止まってしまった。
 その後もカウンターから浅野がカットインからのゴールに向かうドリブルが倒されFK。ここで森島が蹴ると縦回転のキックは惜しくもゴールの脇を逸れた。ボールの軌道はよかったのにコースがズレるという何とも勿体ないキックであった。
 名古屋は徐々にサイドの深い位置を侵食し始めた。それでもペナルティエリアの中へは入れない。シュートコースも空けない。守備は効いてるもののこれを残り時間ずっと続けるのも無理なあるような気がした。やはりあと1点。もう1点なければ名古屋の攻撃に耐えることはできないだろう。
 そこでメンバー交代でヴィエイラを入れるとペレイラからヴィエイラへパスが出る。これをDFがハンドをしてしまいFKを貰うと再び森島がボールの前に立った。1度外した時の感触の残っている。トリックプレーも何もない。完全にGKとの勝負のようなFKを蹴った。壁の上を抜けたボール。GKが飛ぶとポストに当たりゴールに吸い込まれたのだった。
 追加点。森島FK決めた。これは大きい。そして森島のFKが確固たる武器として確立した瞬間でもあった。これにより相手もゴールに近いとこでのファールができなくなる。そこに隙が生じる。そんな可能性を感じるのだった。
 2点差となりもはや守備に徹する。奪うと収まりのいいヴィエイラを目掛けると珍しくミドルレンジからのシュートを打った。枠には入らなかったが完全にカウンター狙いとなった。だが相手が押し込む中でも川辺が3人囲まれながらもキープするとサイドチェンジ。そこからサンフレッチェのボール回しが始まった。
 回して回して回していく。そしてついにバイタルエリアに侵入しフィニッシュまでいけそうになると蓋をされる。だがそうなると後ろへと逃がしていくと時間が進んでいく。そんなボール保持によりタイムアップを迎えた。
 2-0、圧倒的にボール支配された中なぜか勝ってしまった。前からのプレス、深い位置に侵入させないDF、ワンチャンスを決める決定力、そういうものが上手く体現できた。もうこういうスタイルでやっていくことになるのだろう。
 城福監督も一つの戦術に固執しなくなってきた。一つのパターンを構築しても攻略された後に次の手を出してくる。そんなサイクルをもっと適切なタイミングでできるようになれば。そんなすでに来シーズンへの想いが巡っていくのだった。

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