大邱FC戦~PKによる先制

2019年4月10日 アジアチャンピオンズリーグ 予選リーグ サンフレッチェ広島vs 大邱FC 広島広域公園陸上競技場

 全国的に底冷えする気温の中、平日のナイトゲームに駆けつけてくれる観客はやはり少なかった。そういう意味ではホームの利を生かせてない。いや、元々韓国のチームとの対戦でそんなものは存在しない。あるのはむしろ不可解なPKの判定なのだった。
 5年前、1試合で2回PK判定を取られたことがあった。他のJリーグチームでもなぜか韓国のチームとやる時だけPKを取られる。これはピッチ以外の力が働いてる。そう考えるのは無理もない話だろう。
 そんな厄介な相手にどう戦うべきか。メンバーとして選んだのはリーグ戦の成熟した守備陣をそのまま使うことだった。その上でスターティングメンバーを4人変更。レギュラー組とアピールに努めたい選手のバランスの取れた布陣となった。
 渡、清水、東、稲垣がアピールをしたい4人である。攻撃に特徴のある選手が多いだけに積極的に攻撃を仕掛ける姿勢が出た。それが好転し早々にCKを得る。ここでせめて競り合いには勝ちたいと思うもヘッドで弾かれてしまった。ただクリアが上に行ってしまった故にセカンドボールを確保すればビッグチャンスが生まれる。そんな落下ボールの奪い合いの場面で野上が相手のキックを足に受けてしまった。次の瞬間、野上が倒れると共にホイッスルの甲高い音が響き渡ったのだった。
 駆け寄る主審。手はペナルティスポットを差している。PK、PKである。まさかそんなことがあるとは。PKが貰えたのである。
 ボールをセットしたのはドウグラス・ヴィエイラ。ゆっくりとした助走からのキック。んだGK。コースは合っていた。が、シュートの威力が上回っており、GKの掌を弾き飛ばして入ったのだった。
 先制点。うおおおお、やった。まさかまさかの展開である。だが浮足立ってはいられない。まだまだ試合は始まったばかり。大邱FCは追いつこうと際どいプレーをやってくるだろう。実際、渡などかなり強引なタックルを受けて倒された。でもそんなものに怯んでいる場合ではない。まだまだアピールしないといけない。
 DFの佐々木もオーバーラップでドリブルを仕掛ける。相手を抜いたとこで並走してきた渡がスイッチする。そしてドリブル、ドリブル。更にドリブルで入るとシュート。ファーサイド、わずかに空いてた隙間へと流し込んでいったのだった。
 入った、入った、入った!ゴール、ゴール、ゴール、ゴール!
 渡の元にチームメートが駆け寄る。ACL、2試合連続のゴール。2点差、このゴールは大きかった。そして何より渡のゴールというのが嬉しい。昨シーズンが消化不良で終わっただけに覚醒へのキッカケとなりそうな予感がした。そしてこの時気付いたのだった。柴崎、野上、佐々木といった今レギュラーを張ってる選手がJ2から移籍してきた選手が2年目以降に活躍したというのを。その実績を踏まえると渡も今がまさに日の昇る瞬間なのかもしれないのだった。
 かといって2点差ではまだ余裕がない。守備陣はゴール前にブロックを敷いて侵入を許さない。それでもコンビプレーにより最終ラインを抜かれそうになるも身体を当てシュートを前に飛ばさせない。シュートらしいシュートにいかせない。まさに鉄壁。そしてワントップのヴィエイラに代わって大型の皆川が入ったことにより、いよいよ守備固めに入るのだった。
 皆川は前線で競る。イーブンのボールだったら大抵は勝つことができる。その為に手を使って制空権を確保する。だがそんな競り合い中の肘が相手の顔に入り、カードを貰ってしまう。すでに1度カードを貰ってたので退場。1人少ない状態になってしまった。
 それでも不幸中の幸いなのが90分を迎えたということである。後はアディショナルタイムだけ。よりによってこういう時にゴール真正面にFKを与えてしまった。距離はあるけど狙ってきた。だがその弾丸のようなシュートはゴールバーの上を超えていった。それによりずい分と時間を稼ぐことができた。それによりそのまま2-0で勝つことができたのだった。
 ACL、2勝1敗。充分決勝トーナメント進出を狙える成績である。ここまで来たら狙うべきだ。でもそれでいてレギュラーでない選手を使わないといけない。勝ちつつも他の選手も使っていきたい。実に難しい課題に城福監督は取り組まなければいけないのだった。
 5年前はPKに泣いた。そして今回はPKで勝利のキッカケをつくってもらえた。審判には泣かされもし、笑わされもするって再認識させられた。果たしてアウェイの試合ではどうだろう。勿論そこは笑って終わりたいに決まっているのだが。

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