神戸戦~リーグ再開

2020年7月4日 ヴィッセル神戸vsサンフレッチェ広島 ノエビアスタジアム神戸

 Jリーグ再開。
 中国発生の新型コロナウィルスの蔓延により人々の日常は奪われた。そしてサッカーを観るという日常も奪われた。長い中断によりやっとのことでの再会である。キックオフ前の簡単なセレモニー。観客はいないがそれでもこうしてサンフレッチェを応援できることができたことに喜びを覚えるのだった。
 観客がいないのにリモート応援の声援が空間をうめているかのようだった。その心意気に押されるように神戸は前に重心を傾ける。巧みなパスワークはイニエスタを経由し各方面へ散らされる。そしてイニエスタの元へ戻ってきたボールはトラップの瞬間を狙ってプレスを仕掛けるも絶対に触れない位置に身体を向ける。そんなテクニシャンからトップのドウグラスに入ると今度はパワーで押し切られる。柔と剛の使い分けにより圧力が強まる。
 それを逃れようと人数を掛けボール奪取に成功すると前線に。ペレイラに加え柏が抜け出そうと走る。が、オフサイドの判定により止められてしまった。ああ、惜しい。せっかくできかけた攻撃への時間は一瞬にして相手ボールへと代わってしまった。
 そんな喘ぎをしていたものの、事態は一層深刻なものだった。なんと柏が座り込んだまま立ち上がって来ない。え、痛めたの?脚を気にしてる柏の元にはタンカが運ばれピッチを去ってしまった。左サイドを攻撃の起点とするサンフレッチェにとってこれは大きな誤算であった。代わりに入った浅野裕也。確かにスピードはあるがこの若手にどれだけ柏の代わりが務まるだろうか。
 そしてその後も自陣に引きこもっての防戦は続く。クリアしてもクリアしてもセカンドボールは神戸の元に転がる。まるでそれは最初からボールの来る位置が分かってるかのようだった。それに気をよくした神戸はペナルティエリアにザックリと入ってきた。最後の壁が決壊したかと思えたその侵入、ハイネルがカットして事なきを得た。が、クリアしてもまた相手ボールなのだった。
 人数を掛けて守ってはいるがイニエスタに入ると警戒感が高まる。パスをするように見せてそのままドリブル。ラストパスかと思いきやさりげないフェイントからシュート。が、これを野上がブロック。こういうスーパーな外国人選手の個人技によるシュートを昨シーズンは結構やられてただけにこれに対応したこに頼もしさを感じた。
 そこからマイボール。ビルドアップからペレイラに入る。後ろからの相手のクリアによりCKとなった。
 ゆっくりとした動作で呼吸を整える。防戦一方だっただけにこれだけで息を整えられる。密集した神戸のゴール前。森島の右足からキックが放たれる。低い弾道が入る。ハイネルが当てた。ファーに流れる。そこにいたペレイラにより押し込まれた。入った、決まった。完全に押し込まれてたのに先制してしまったのだった。
 セットプレーによる先制点。これには勇気を貰えたもののこれでイーブンになったようなものだった。依然として神戸のボール支配率は高い。巧みなパスワークにより完全に崩された。やられたと思った瞬間荒木の脚が出た。最後の最後で食い止める。それで事なきを得たもののこのまま1点差のまま前半を終えた時はホッとした。勝ってるにも関わらず、まるで落ち着かないままハーフタイムを迎えたのだった。

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