ルヴァンカップ仙台戦~フェードアウトしそうな若手

2021年4月21日 YBCルヴァンカップ・グループステージ サンフレッチェ広島 vs ベガルタ仙台 エディオンスタジアム広島

 大都市圏でチャイナウィルス感染が蔓延したことで緊急事態宣言へと自粛を強化させる動きがある中、Jリーグは1000試合も観客入れてやってクラスターを発生させてないと無観客での開催に難色を示した。それは正当な主張であるものの、一方でそもそも入場客数の制限なんて必要ない試合もある。残念ながらミッドウィークに行われるルヴァンカップがそれに当たるのだった。
 山の上に建つエディオンスタジアムはただでさえたどり着くのに苦労する。とてもじゃないが仕事終わりに気軽に寄れるとこではない。サッカー専用スタジアムを望んだのはそもそもこのロケーションをどうにかして欲しいというのもあり、この日もスタンドは寂しい様相を呈していた。
 漆黒の天空を照らす照明は独特な雰囲気を醸し出す。怪我から復帰した佐々木が久々の出場。鮎川、長沼、藤井といった若手が入ったことでアピールしていきたい。そんな切迫感からだろうか、試合が始まると前線から強度の高いプレスが行われたのだった。
 そんなプレスは仙台に攻撃の隙を与えなかった。そしてサイドを起点に縦への突破を狙っていく。左でSBに入った藤井がオーバーラップにより駆け上がるとクロスを上げても中には誰もいない。エゼキエウがドリブルで中へ入るもブロックされたセカンドボールに柏が反応するもシュートは大きく枠を超える。長沼に至ってはフリーで左のスペースに出てくるもののその後のプレーを躊躇してしまい敵に囲まれて何も起こりはしない。ああ、いいとこまではいく。つないで前を向くことはできるものの何か物足りない。それはフィニッシュに至るまでの思い切りのよさとパワーであった。特に長沼のところで当たり負けしてボールを失う場面が多く見られるのだった。
 それでも経験を積めば活躍できる。そう信じて観ていた。すると最終ラインの井林から縦の浮き球1本が前線に繰り出された。鮎川が飛び出しながら胸トラップ。上手い、GKと1対1。落ちたボールがワンバウンドで打つ。が、GK真正面。完全な決定機。ダイレクトで打つべきだったか、それともシュート時に身体を倒してボールを叩きつけるシュートにすべきだったか。とにかく何の可能性もないシュート終わってしまったのだった。
 ああ、駄目だ。鮎川、長沼、この2人がいる限り絶対に点は取れない。どこかダイナミックさに欠ける。その為点を取る為のカードを次々に切っていく。ハイネル、森島、今津、浅野、サントス。特にサントスは別格で収まれば単独で持ち上がっていく。そこに活路を見出していこうとしたとこで今津が自陣深い位置でファールを犯してしまう。右サイドからのFK。ゴール前を固めるもののファーサイドに蹴られたボールに井林はマークに付ききれず折り返される。そして逆サイドに振られたボールに詰められる。決められた。これだけ人数が揃っているのに食い止めることができないのだった。
 追う立場のサンフレッチェ。急がなきゃいけないのにマイボールにならない。仙台の時間稼ぎにボールが奪えない。バックパスを出せば受けた長沼はプレッシャーに負けてゴールラインにボールを出してしまいCKにしてしまう。攻めなきゃいけないのに相手にばかり攻めさせてしまう。そしてCKを放たれると合わせられる。枠に入らなかったことで助けられた。
 時間がない、時間がない。前線へのパスが通らない。なのでロングキックに頼るしかなくなる。ゴール前を固められ簡単にクリア。仙台の選手の表情に余裕がある。時間に追われれば終われる程単調な攻めになり簡単にクリアされてしまうのだった。そしてタイムアップ。ルヴァンカップ、3戦勝ちなしとなった。
 勝てない。どんないい試合をしようと決めるとこを決めないのでどうにもならない。クロスを入れても中に誰もいない。ゴール前でのチャンスに躊躇する。更に崩しの場面での精度がなくなる。リーグ戦との差があり過ぎる。
 果たして長沼や鮎川はJ1としてのクオリティがあるのだろうか。期待されつつも消えていった選手の影が段々とちらついてしまうのだった。

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