川崎戦~力負け

2019年11月2日 川崎フロンターレvs サンフレッチェ広島 等々力陸上競技場

 等々力陸上競技場。
 その響きがあるだけでどことなく嫌な響きがある。かつて7-0で大敗したのもこの地であり、ほとんど勝った記憶というものがない。そして最寄り駅の武蔵小杉駅が近年タワーマンションの建設によって若い世帯が一気に増え、街も再開発によりどんどんと近代化されていった。と同時に川崎フロンターレ自体もリーグ優勝を始め観客動員でも活況を示しクラブの発展としてお手本のような存在になってきたのだった。
 後発クラブの為、どこか軽く見てた節もあったのにいつの間にか追い抜かれてしまった。ただ、だからこそここは伝統を持つクラブとして存在感をみせてやりたい。そんな気概を持っていたのだった。
 パスワークを駆使するスタイルとして、両者は似ている。その為にも精度を高めたい。ただ、均衡を保っていた両者の戦いは次第次第に川崎が最後のブロックを搔い潜っていくようになった。ペナルティーエリアでのドリブル。シュートは食い止めたがセカンドボールをダイレクトで打たれる。危ないと肝を冷やしつつも何とか免れた。それでもそんな場面をつくられてしまうことに危機感を感じる。
 そして今度はゴールライン付近まで運ばれると切り返しからシュート。一度は防いで大きくクリアしたつもりになっていた。が、そこをMFの田中に強烈なミドルシュートを打たれるそのままゴールに叩き込まれてしまった。ああ、どうしてこんな凄いシュートが打てるのだろう。同じ状況になったとしてもサンフレッチェにああいうシュートを打てる選手が一人もいないのが哀しいのだった。
 あえなく失点。一時は堅固であることで定評を受けてたサンフレッチェの守備であるがもう何試合も続けて失点を続けている。1試合1点。まるでそうするのがノルマであるかのようにさえ失点をされまくってる。もはやサンフレッチェの守備は1点で抑えることができなくなってしまったのだった。
 だがそれ以上に深刻なのが得点力不足である。そもそもFWの選手からして点が取れないのだからどうしようもない。シャドーの川辺に至ってはシュートを外し過ぎる。外して外して外しまくる。森島などはシュートすら打てない。だからこそサンフレッチェの攻撃には得点の匂いがないのだった。
 それでもレアンドロ・ペレイラが出ると相手DFの頭上を超えたボールに追いつくことでGKとの1対1を迎える。そして飛び出してきたGKをあっさり交わし見事同点ゴールをたたき出したのだった。
やった、やった、やった。終了間近に決めた値千金のゴールである。負傷によりしばらく戦線離脱していたペレイラ。出てきていきなり結果を出してしまう。なんと頼りがいのある、なんと頼もしい存在なのだ。
その同点で息を吹き返した。このまま引き分けでもよかったかもしれない。でもここは勝ちを拾いたいという欲が芽生えた。すると今度は川崎のパスワークが始まる。人数を掛けて守備を固めてる。それなのに次々に繰り出されるパスワークはサンフレッチェの守備網を切り裂きシュート。ブロック。そこで食い止めたかと思いきやセカンドボールを打たれた。入った。あえなく2点目の失点をしてしまったのだった。
こんな短い時間で勝ち越されてしまった。シュートを打てども打てども決めることのできないサンフレッチェにとってそれは異次元の技であった。似たようなスタイルと称しながらも結果は川崎が上回った。それだけに単純なる敗戦以上の落胆を感じるのだった。
力が足りない。シュートが入らない。美しく崩すことが優先されゴールという最大の目的を見失ってるかのようである。昨シーズンからの悩みだった得点力不足。森島や川辺や渡はちっともそれを解消してくれそうもない。果たしてシーズン終わるまでに少しでも光は感じさせてもらえるのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?