清水戦~大きく入れ替えた中での勝利

2020年9月9日 サンフレッチェ広島 vs 清水エスパルス エディオンスタジアム広島

 ミッドウィークのナイトゲーム。比較的メンバーを替える傾向のあるシチュエーションだが、サンフレッチェは6人も入れ替えた。特にDF井林、シャドーのエゼキエウは初スタメン。こういう選手達に大きなモチベーションを与え、観る者には新鮮さを与えたのだった。
 ただ、実際の試合運びには不安がある。もしこの大幅な入れ替えによって結果が出ないと今後のチーム運営に大きな傷を残しそうなだけに城福監督の決断は大きなものだったろう。
 そんな不安を抱きつつ始まった試合には連携に若干の不安を覚えた。少しずつであるがズレてる。特にトップのヴィエイラによるエゼキエウへのパスが合わない。互いのワンツーの強弱が合わなかったりエゼキエウのスルーパスがヴィエイラのオフサイドになったり。やはりここは実践経験が不足してるせいなのだろうか。
そしてチーム全体としても攻撃に移った時の仕掛けが遅く、整えられた守備ブロックにクロスを入れるも簡単に弾かれカウンターを喰らう。清水の方はお互いのサポートが速くパスの出しどころがある。それにより清水の時間帯が続いてしまうのだった。
自陣に引いての守備。本来攻撃で本領を発揮しないといけないエゼキエウも守備に徹してボールを追った。この辺、非常に真面目な性格が伺える。そしてそんなエゼキエウの守備からのボール奪取からポンポンポンと軽快にパスが前線までつながっていく。そして右サイドから逆サイドへの横パス。するとそこにはエゼキエウがもう上がっていた。ワントラップから置き換え左足でシュート。地を這うグラウンダー。その瞬発力と意外性はGKの反応を上回りゴール片隅に入ったのだった。
先制、エゼキエウ初ゴール。しかも初スタメンにより早々に結果を出したことで歓喜の渦が起こる。そしてこれは得点力不足のチームにとって大きな光でもあり、競争の始まりでもあるのだった。
ところが喜んだのも束の間、清水はサイドバック奥井のオーバーラップから鋭いクロスが入ると走りこんだドゥトラが当てる。追走したDFのクリアで事なきを得るもCK。セットプレーを武器としてる清水には脅威であり、この後再三に渡りこういう場面をつくられるのだった。
先制はしたものの1点というのが覚束なくなってきた。やはり追加点が欲しい。そんな時、ヴィエイラが裏へ抜け出しヒールキック。エゼキエウが受けシュート。流れは良かったがこれはDFのブロックに遭ってしまう。更に畳みかけようと佐々木も上がり縦パスを入れるとこれをカット。それがそのままカウンターへとつながり全速力で戻る羽目に。無事ペナルティエリア内でクリアして息をつくもCK。西澤の蹴ったボールはジャストなタイミングでドゥトラのヘディング。わずかながら枠を外れてくれて助かったのだった。
その後もサンフレッチェの攻撃は実らず清水は少ない人数でスルスルと上がって行ってしまう。そこで後半から十数分過ぎた辺りに川辺を青山、エゼキエウを森島と交代をする。正直エゼキエウはもうちょっと観たかったが安定を選んで1点を守りに入ったのかもしれなかった。
依然として清水の時間は続く。カルリーリョスがパワーで荒木を吹き飛ばした時はやられたかと思ったがシュートが枠を逸れたことで助かった。だがいつ失点を喰らってもおかしくはない。後ろからビルドアップしようにも上手く前線まで運ぶことができない。そこでバックパスでGK大迫へ。すると大迫は大きく蹴りだした。どうせつながらないのだからと安全策に出たように見えた。が、それがDFの裏へのヴィエイラの飛び出しとなると長い脚でトラップ。GKの頭上を越すループシュート。これがゴールに吸い込まれたのだった。追加点。攻められてただけにこれは貴重な追加点となった。
するとヴィエイラがペレイラと交代する。結果を出した者が下がる形になったが、ここでペレイラが火を噴いた。右からハイネルがミドルシュートゾーンに入ると意表を突いてクロス。ファーサイドのゴール前でペレイラが受ける。そしてシュート。ニアに放ったボールはほんのわずかな隙間を縫ってゴールに叩き込まれたのだった。
3点目。これは勝利を確実にしたものだった。だがペレイラは更にゴールを狙っていく。青山のロングフィードで森島が抜け出しクロスを放つともうゴール前にポジションを取りヘディングを放ったペレイラ。ブロックをされるももう一度押し込むも跳ね返るとそのこぼれを柏が詰める。押し込むことで4点目を入れることができたのだった。
勝った。勝った、勝った、勝った。もうこの時間で4点差は駄目押しと言えるものだった。そんな気分の良さから皆がどんどん前線に上がっていく。パスで翻弄していく。すると中央に入った青山がヒールで流す。が、誰もいない。そんな隙を突いて清水のカウンター。全員戻っていったものの、ペレイラがファールを犯してFKを与えてしまう。するとそのFKをヘディングで決められ1点返されてしまったのだった。ああ、あの青山の軽率なプレーがなければ。そしてFKの時でさえどこか弛緩した空気があった。そしてこの最後のワンプレーを確実に決めた清水のセットプレーの精度。これが早い時間に決まっていたら結果は違ったものになったかもしれないのだった。
完封勝利とはならなかったものの4点も取ったのは今までの鬱憤を晴らすかのようなものだった。試合に出れなかったエゼヒエウ、決定力のないヴィエイラ、決めきれなかったペレイラ、今シーズンゴールのなかった柏。それぞれがいい形で決めてしまった。あれだけ決まらずもがき苦しんでたのに決まる時は決まる。そしてこの大幅に入れ替えたメンバーで結果を出したことはチーム内へ競争を生んでいきそうだった。そんなよきキッカケとなることを期待する勝利だった。

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