ベトナム戦~アジアのレベルアップを実感

2019年1月24日 アジアカップ準々決勝 日本 vs ベトナム アルマクトゥーム・スタジアム

 スタンドには赤いシャツのベトナムサポーターが多く陣取っていた。UAEまで来るとはベトナムのサッカー熱と共に経済成長による所得の向上を垣間見える。ベトナムに向けられる声援。それはさながらアウェイの雰囲気を醸し出しているのだった。
 そんな声援を受けたベトナムは全てにおいて寄せが速かった。守備においても攻撃においても。日本はプレーに余裕を与えられない。パスで展開しようとするもそのどれもが引っかかってしまう。さすがにここまで人数を掛けて守られるとスペースがない。ドリブルで打開をはかっていきたいものの、その隙さえ与えてもらえないのだった。
 人数を掛けてブロックするベトナムの守備を崩そうとすればするほど網に引っかかってしまいカウンターを受けてしまう。1本のロングキックによりトップが抜け出すとゴールまで迫ってくる。そこを潰そうとも後ろからどんどん上がってくる。その結果、GK権田から変につなごうとするパスを出すとそれを狙われ逆にピンチを招いてしまう。ああ、権田よ。頼むから単純にクリアしてくれ。ベトナムがこんなにもアグレッシブにプレスを掛けてくるチームだと思わなかった。
 ボール保持の時間が多いようでいながら攻めてる感覚がない。それはバイタルエリアにボールがいかないせいだろう。特にトップに入った北川が前線で受けることができないのが痛い。やはり役不足。それでも他にFWがいないので仕方がない。
 そしてボールを狩られるとまたしてもカウンター。が、これをカット。縦へのロングパス。通った。受けたのは北川。スルーパスに原口が抜けてシュート。DFに阻まれたもののCKを得ることができた。やっとのことで訪れたチャンスはさっきまでボロクソ言ってた北川によってもたらされたのだった。
 そのCKに吉田がヘッド。決まった。幸先良い先制点と喜んでたらVAR判定によりハンドの判定をされてしまった。とんだぬか喜びだったものの吉田本人が切り替えを訴えチームを鼓舞するのだった。
 後半に入りボール保持の時間がより長くなる。それにより堂安がドリブルで切り込むことができた。ゴール前に侵入。が、DFに阻まれ倒れる。ファールなし。激高する堂安。だがこの後でプレーが止められた。VAR判定である。モニターを確認した主審が宣言したのはPK。ペナルティエリアで足を掛けられたというジャッジが下ったのだった。
 堂安自らボールをセット。ホイッスルと共に動き出した堂安は左足を振りぬいた。グラウンダーのシュート。GKの読みは外れてなかったものの追いつくことができずゴールに入ったのだった。
 先制。なかなかシュートさえ打てない状況において貴重なゴールとなりチームをより活性化させたのだった。
 ベトナムのカウンターに対しては最初のロングパスをカットすることにより芽を摘んでいく。それにより2次攻撃、3次攻撃へとつながる。もう1点あればかなり勝利への確信が持てる。そこで満を持して大迫が北川と交代で出場するのだった。
更にドリブラーの乾が入る。戦術として間違ってはいないものの第3戦が悪かっただけにどことなく不安が過る。するとそのせいだったのかどうか分からないものの、段々とベトナムの時間となっていく。何としても一矢報いたいベトナムが観客の声援と共に渦となって攻め込んでくる。もはや権田も中途半端なプレーを止め、明確にクリアをしていく。最後の交代で塩谷が入りいよいよ守備固めとなるのだった。
ベトナムは諦めない。少しでもフリーにするとパンチ力のあるミドルシュートが飛んでくる。もはや日本はクリアするのが精一杯。それにより2秒でも3秒でも時計を進めていく。そしてアディショナルタイム4分の経過を宣言する主審のホイッスルが鳴ったのだった。つい数年前まで全くノーマークだったベトナムは恐ろしく躍動感とスタミナのあるチームと生まれ変わっていた。
アジアのレベルは上がった。それを身に染みて思い知らされた。果たして次に対戦する時日本はベトナムに勝つことができるのだろうかという驚異を感じたのだった。

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