浦和レッズ戦~打つ手なしの攻撃

2020年8月15日 浦和レッドダイヤモンズvs サンフレッチェ広島 埼玉スタジアム2002

 終戦の日。毎年この日は焼け付くような日照日であるがこの日も例外とはならなかった。立ってるだけで汗がしたたり落ちる。夜になってもその気温の高さは変わらず、埼玉スタジアムのピッチも湯気がたってそうだった。
 因縁のレッズ。かつて毎年のように選手を引き抜かれるもサンフレッチェが優勝したという実績がある為に相当な対抗心を持ってる。特に今でも在籍してる槙野と西川は並々ならぬものを持ってるはずだった。
 すると開始早々ボールを奪われるとDFラインの裏へとスルーパスを出される。右サイドを抜かれたハイネルは追うもペンルティエリアに入られる。ハイネルのスライディングに倒れた。笛が鳴る。PK。ああ、こんな時間にPKを与えてしまった。正直スローで観たら接触はしてなくて勝手に倒れてたのだが判定は変わらない。まあこれは裏を取られたという事実と倒れた方の演技力の上手さと主審の思い込みのせいなのでしょうがない。あとはGK大迫に賭けるとしよう。
 しかし、PKの苦手な大迫。そこは期待できなかった。そしてレオナルドのキックに対して見事に反対に飛んでしまい易々と失点してしまった。止められないまでもせめて読みくらいは当てるようになってもらいたいものだ。開始5分、あまりにも早い時間に追う展開へと持ち込まれてしまったのだった。
 ブロックを敷いて待ち構える浦和。その引きこもった守備陣の周りをぐるぐるボールを回してるだけ。そこから先へ行けない。そしてサイドからクロスを入れると簡単に跳ね返されそのままカウンターへとつなげられてしまう。何とか食い止めたもののその恐怖から思い切った攻撃ができず、丁寧に丁寧につねげていく。そしてその丁寧さが遅延を招き浦和がより余裕を持って守備への陣形を形成するのだった。
 左から右へサイドチェンジ。そしてハイネルがクロス。ペレイラが合わせる。ジャストミートしたヘディング。が、それをGK西川は弾いてしまった。西川冴えている。そしてその後何度かあった決定機も西川によって全てセーブされてしまう。神がかっていた。いや、西川を調子に乗せさせた。守りをより強固にさせた。それもこれもサンフレッチェの攻撃が単調なせいだった。
 攻撃のパターンがサイドからのクロス一辺倒。ターゲットはペレイラのみ。なのでゴール前で浮いたセカンドボールをバイシクルシュートを放った時も西川は簡単に防いでしまった。そもそも枠に入るシュートを打つのがペレイラしかいないのだった。
 サイドを起点に連携から相手を剥がそうとする。2人目、3人目の動きで相手を剥がすもその後が続かない。だがそんな攻撃を続けていく内にいい位置でのFKを得られた。キッカーはハイネル。壁を超えてゴールに向かったがGK真正面。それでも西川からのキックをカットして攻め続けてCKを得る。森島が蹴るも跳ね返される。2度、3度と繰り返されてるゴールの匂いすら感じさせない。あらゆるセットプレーはサンフレッチェに何のチャンスももたらせないのだった。
 時間ばかりが過ぎていく。浦和は防戦一方に見えて余裕で守ってる。こうやってゴール前を固めた相手から点を取れないってもう何年も課題とされてるのに一向に改善されてないのである。だから先制されたら終わり。正直PKを喰らった時点でもう終わった気がしてたがそれが現実となっていきつつあった。
 メンバーを代え攻撃を活性化させようとする。特に野津田を入れたのは引いた相手に対してミドルシュートで狙っていくというものだったろう。ところがこの野津田、シュートは打っても全部枠外。終いにはFKさえ枠に入れられないという有様だ。ルヴァンカップでは敵にプレゼントパスをして失点に加担するし、もはや何の期待感もない。いい加減見切りをつけてもいいのではと思ってしまうのだった。
 そして24本もシュートを打ちながら1点も入れることができずに敗戦。前節も同じくらいシュートを打ちつつ1点しか決められなかったことから本当に得点力不足が深刻だ。
 引いた相手を崩す術、相手の守備が整う前に攻め切る攻撃の速さ、ゴール前での精度と課題は尽きない。だがその多くは城福監督就任以来ずっと抱えてた問題でもあった。一体いつになったらこれらの問題を解決してくれるのだろう。そんな想いが点差以上のやるせなさを感じさせるのだった。

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