神戸戦~深刻な惨敗

2021年5月1日 ヴィッセル神戸 vs サンフレッチェ広島 ノエビアスタジアム神戸

 チャイナウィルスの感染は拡大を続けついには緊急事態宣言により無観客試合をするに至った。すでに1000試合以上開催して1度としてクラスターを発生させてないという村井チェアマンの抗議も空しく政府の決定に従わざるをえない状況となってしまった。
 観客のいないスタジアム。それでもこうして試合が観れてるだけでも幸せなのかもしれない。外出の自粛を要請されるが、そもそもこうやって家にいても楽しむものがあれば無理に外へ出ることもない。やっぱりオリンピックは開催した方が感染の防止につながるのではと思ってしまうのだった。
 入場BGMだけが響き渡るピッチに選手は入ってきた。サントス、浅野の2トップという発表があった。点を取りそうなパンチ力はこの2人しか持ってないだけにこうなっていくのは理解できる。が、困ったことにこの2人がトップに入って勝った試合を観たことがないのだ。そんな嫌な予感がしたのも神戸にとってサンフレッチェは6年間勝ってないだけに高いモチベーションを持って臨んでくるような気がしたのだった。
 前線からプレスを掛けるサンフレッチェ。それを剥がしつつ前への隙を伺う神戸。落ち着かない立ち上がりからもサンフレッチェは青山が浮き球で左サイドの縦パスを入れようとしたもののそれをブロック。セカンドボールを山口に拾われ前線に浮き球を入れられる。適当に蹴ったようなふわりとした弾道。戻りつつもクリアしようとした川辺が目測を誤り空振り。それにより抜け出すことのできた古橋がゴールに向かう。川辺が追い荒木も追い掛けてきた。GK大迫も飛び出すもそれをかわすようにシュートを流すとゴールの隅にコロコロコロと入ってしまったのだった。
 実に鮮やかに、実に冷静に、実に簡単に決めたゴールだった。そして神戸は守備で弾いたボールは必ずマイボールにする。対してサンフレッチェのブロックはリフレクションを敵に渡してしまう。そのせいか益々慎重になってしまいマイボールをDFまで戻してしまう。前へ行こうとすると打開できずバックパス。その繰り返しだが左サイドでエゼキエウがドリブルで上がりクロス、サントス合わせるもGKによってブロックされてしまう。苦労して苦労してたどり着いたシュートシーンはいまいち崩したという感じがしない。それに気をよくしてか神戸の攻撃は実に気分よくやってるように見える。縦を切れば横へ、下げてしまえば再び縦へ。そして裏を狙っては古橋の飛び出しを狙うのだった。
 そんなボール回しにプレスを掛けると逆に中盤にボールを入れられスルーパスを出される。再び古橋が飛び出すとその勢いのままシュート。GK大迫の反応も無力化するスピードのあるゴールを叩き込まれてしまったのだった。
 短時間での2失点。でもまだまだ時間はある。だがその膨大な時間は神戸にばかり有利に働く。裏への狙いは続けられ何とかCKで逃げると今度はそこで悲劇は起きる。密集地に蹴られたボールに今津が当たるとリフレクションはゴール前へ。そしてそのまま叩き込まれて3点目を決められてしまったのだった。
 恥ずかしい。まるで大人と子供の試合だ。いくら何でもプロ同士の試合でここまで力の差を見せつけられることはないだろう。さすがに怒りが込み上げてきた。
 何なんだ、この一方的な試合は。本当にトレーニングしてるのか。攻めろ、攻めろ。このままおめおめ負けるのかよ。
 ところが神戸のマンマークの守備を剥がせない。かといって神戸の攻撃には2人掛かりでいってもボールを奪えない。これはもう勝負になってない。何か根本的なものが間違ってる。そんな気がしたものの、ハーフタイムによって救われた。
 後半のメンバー交代はなし。そしてイーブンなボールは必ず神戸ボールになるというのも変わらない。再び怒りの炎が燃えさかったとこでサントスがシュート。が、GKは落ち着いてブロック。更にサントスの落としから浅野がシュートするも枠外。入らない。入りはしないがせめてシュートをしてくれていれば惨めさが低減される。
 そして前線を柏と鮎川に交代、青山をハイネルに代えると前へ向ける時間ができてきた。ハイネルはパスだけでなくドリブルでも剥がせる。柏と鮎川も動きを入れる。そして最前線で浅野が受けるもそこから前を向けない。相手を背負ったままシュートまで持ち込める選手はサンフレッチェにいないというのを見せつけられてしまった。
 人数を掛けて中央さえ固めていれば大丈夫。そんな神戸の守備には余裕を感じられた。サイドからクロスが入っても誰も合わすことができない。セットプレーになっても森島のキックは全てノーチャンス。ゴールへ向かっていく迫力がない。そして攻めてるように見えながらもちっとも神戸の守備を恐がらせることもなく3-0で終えてしまったのだった。
 一度下降してしまったら連敗の止まらない城福監督の悪癖は今シーズンも変わることはなかった。全てを監督のせいとするには忍びないとこもあるだけに苦しいとこである。新戦術の4バック。それは勝つ為にやったはずだが反って弱くなったような気がする。やはり今年は降格の心配をしないといけないシーズンとなるのだろうかと心配になるのだった。

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