柏戦~寂しきホーム最終戦

2020年12月16日 サンフレッチェ広島 vs 柏レイソル エディオンスタジアム広島

 雪のスタジアム。普段緑のピッチが白いマットを敷いたように色彩を違えていた。その為にオレンジのカラーボールが導入され照明の光によりよく映える。このコンディションでボールは滑る。ここでサンフレッチェは初めて浅野を入れてきた。スピードを使い裏を狙うのは明白だった。
 そんなサンフレッチェの意図を汲んで柏は引いて守ってくる。そして同じフォーメーションのミラーゲーム。サンフレッチェの苦手なとこを突いている。そんな柏に対し前からプレッシングを掛けボールは奪える。密集した相手の守備に対してショートパスをつなげる。滑るピッチであるにも関わらずこだわりは貫き通すのだった。
 そのプレッシング、パス回し、ビルドアップには要所要所で相手を上回る。左サイドで森島がスピードで相手を抜き倒されることでFKを得る。そのFKは跳ね返されるもののセカンドボールは収めることができる。そこで目先を変えロングボールに浅野が走る。ゴールに向かうドリブル。だがGKを目の前にした時シュートに躊躇してしまった。相手にカットされたがなぜにあそこで打たなかった。なぜわざわざ切り返した。
 そんなまどろっこしい攻撃を繰り返す内に柏もボールの獲りどころを掴んでしまうとカットから縦へ流れるスルーパス。雪によりツーっと滑るボール。走ったオルンガがドリブルでゴールへ向かう。追走した荒木がタックル。だがあっさりとかわされるとペナルティエリアに入る。GK大迫を前にするも余裕でゴールに叩き込んだのだった。
 やられた。前回対戦では完全に抑え込んだと思ってた荒木は見事にオルンガに振り切られてしまった。せめてあそこで身体を寄せたまま走っていればシュートコースは限定された。なのでオルンガはわざと荒木を飛び込ませたのかもしれない。いずれにしても散々攻めていたサンフレッチェは決めることができず、受けに回ってた柏は易々とゴールを奪ってしまったのだった。
 引いて守る柏。先制されてからこの守り方はサンフレッチェにとって最も苦手な展開。前に出れば出る程柏はカウンターに嵌められる。後ろでボール回すもサイドを経由して手数を掛けるもゴールに迫ることはない。右サイド茶島はボールに関わってる割には深くえぐることができない。すぐに相手のプレスに圧し潰されてしまう。と思っていたらファールでFKだった。ここで茶島は相手の虚を突いて突破をはかる。上手く出し抜いた。深いエリアからのクロス。が、これをゴール前で浅野はジャストミートすることはできず枠にに飛ばないのだった。
 決めたオルンガ。決めれない浅野。両FWの違いが点差として如実に現れたのだった。そこに打開を図ろうとメンバー変更によって次々にタイプの違う選手を送り込む。だがこれが益々攻撃の鋭さを減退させるのだった。
 手を変え品を変え状況を変えようとするも戦況は変わらない。ゴール前でワンバウンドする絶妙なロングボールが出てもヴィエイラはハーフボレーを見事にバーの上にふかしてしまう。ああ、たった1度のチャンスをちゃんと決めれるFWがいれば。それが相手にはいてこちらにはいないと痛感するのだった。そんなイライラは観てる我々以上に城福監督に募ったのかもしれなかった。
 度重なる主審への抗議にイエロー2枚で退場処分となってしまう。もはやいてもいなくても関係ないが士気に影響する。そして柏の安直なパスがカットされるともう柏からボールが奪えない。サイドでドリブルで上がりつつもパスで逃げ前線へと追加点を臭わす動きもする。もはやサンフレッチェは守備するので精一杯の中、無情にもタイムアップの笛が鳴った。ノーゴールの2連敗。引き分けを含めば4試合勝ってないのだろうか。
 勝てない、勝てない、勝てない。その理由は単純に点が取れないからだ。川辺など中盤ではあれほど素晴らしい動きをするのにゴール前では空振りをしてしまう。茶島もカットインしてシュートの形は良かったが枠に入らない。森島など随所で技巧的なプレーをするもののシュートだけは打てないのだった。
 更には雪のスリッピーなグラウンドを利用したスルーパスを出した柏。2年前も大風の特性を生かして3点も取った。それに引き換えサンフレッチェはそういう自然要素を使うのが本当に下手なのを思い知るのだった。
 ホーム最終戦。それは監督の退場、そして得点力のなさによる敗戦と散々なものとなってしまった。一体どうやったらこのチームに点を取らすことができるのだろう。雪のちらつくエディオンスタジアムは気温だけでない寒さに打ちひしがれるのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?