松本戦~負けに等しい引き分けから学ぶ

2019年7月20日 松本山雅FC vs サンフレッチェ広島 サンプロアルウィン

 アディショナルタイム。あとワンプレー、ツープレーで終わりのはずなのに最後の最後が切れない。ヘディングでブロックしつつもセカンドボールを奪われまた防戦。防いで防いでボールを追うもののたどり着けず真ん中ミドルゾーンからシュート。たった一つのフェイントに全員の選手がつられてしまいシュートコースを空けてしまった。一人の選手に2人も3人も着いていてブロックさえできない。そして距離がありながらもGK林は触ることすらできなかった。最後の最後に決められ無残にも勝ち点2をうしなってしまったのだった。
 情けなかった。あまりにも打つ手がないというのが空しい。先制したのはサンフレッチェだった。でも追いつかれそしてまた勝ち越したものの、あとわずか1分を耐えることができず引き分けで終わった。勝てないチームの典型のような試合である。この失点間際のバタバタ感はどういうことだろう。仮にもこれが日本代表に選出される選手のいるチームなのだろうか。
 試合の始まりはゆっくりだった。ボールの持てるサンフレッチェはブロックを敷く松本の壁を崩せなかった。そんな中でもわずかな隙を突き柴崎がシュートを放つもゴールポスト。川辺がペナルティエリアでラストパスを受けるもバーの上。ヴィエイラがDFを剥がして打ったシュートはGK真正面。どこからどうやっても入らない。もしかしてこのままスコアレスドローのまま終わるのではという気さえしてくるのだった。
 ところがドウグラス・ヴィエイラのポストプレーが柏の裏への飛び出しを生みゴール前へドリブル。GKを前にしながらもニアにぶち込み先制点を決める。これが大きく優位になるはずだった。
 ここで追加点を狙うべく勢いを増していくはずだった。が、追いつこうという山雅の気迫の方が優っていた。中途半端なパスはガツンと獲られると前線へフィード。たった一人しかいない山雅の選手に渡るとそれを2人掛かりでも取れない。そしてペナルティエリアまで入られると折り返されダイレクトでシュートを決められた。たった2人の選手に4人で守って決められた。
 そこで振り出しに戻ったことでパトリックが入る。依然として山雅のゴール前は固い。サイドからも真ん中からも崩せない。まるで岩山に釘を刺してるようにもどかしく至難のプレーを続けてたが、1本の裏への浮き球が出るとパトリックが抜け出した。GKを真正面にしたものの、チップキックによりループシュート。ゴールに吸い込まれたのだった。
 勝った。この時はさすがにそう思った。ピッチにもそんな空気が充満したのだろう。それがいけなかった。どこかヌルっとした感覚になりパスはずれボールキープもままならない。交代で入った渡など、サイドで時間稼ぎをしようとするも自らファールをして相手ボールにしてしまう。それは強豪チームが魅せる試合の終わらせ方ではない。正に弱いチームの慌てふためいたドタバタの中で山雅がどんどん押し込んでいく。余裕のないハイネルはファールで止めようとして自爆してしまう。ゴール前に全選手がいることによってセカンドボールが拾えない。そもそも1人の選手に2人も3人もついてボールが奪えないのである。あの時間帯、まるで草サッカーのチームにでもなり下がったかのように拙くなってしまい、その隙を狙って同点弾を決められた。あと1分、守ることができなかった。本当に守備の下手なチームだと認めざるを得なかった。
 点を入れて追いつかれる。決めたら追いつかれる。もう最初から引き分けになるのが決まってるような試合だった。むしろ山雅が最初から積極的に守備に来てたら負けたかもしれなかった。ビビッてくれて助かった。守備の弱さを突かれなかったのが幸いした。
 でもこの対戦を分析すると押し込んでしまえばシュートさえ打てば入るとバレてしまっただけにこの後の試合は苦しくなる。むしろそれが分かっただけに負けに等しい引き分けは意義があったのかもしれない。

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