大分戦~借りを返した勝利

2020年9月23日 大分トリニータ vs サンフレッチェ広島 昭和電工ドーム大分

 ルーキー土肥のリーグ縁初スタメン。他にも永井、井林、柴崎、東と大幅にメンバーを替えた。だがそんな中に森島の名前が入ってるのが意外だった。この2試合、全く精彩を欠いてピッチ上でまるで存在感がない。こうやってどんな出来だろうと必ずメンバーに選ばれるという事実が本人から緊張感を奪ってるような気がするのだが大丈夫なのだろうか。
 そして一つの懸念事項がハイネルのボランチだった。至る所に動き回りボールに絡もうとする意識は強いものの、たまにおかしなプレーをしてしまう。そんな場面が早々に現れ、大分に高い位置からの攻撃を与えてしまった。懸命に下がって守備を固めるサンフレッチェ。そこでまたいつもの守備一辺倒の展開になるかと思いきや大分もそこまで圧力を与えてくることはなかった。お互い同じフォーメーションで組み合うミラーゲームであるが、試合への活力までミラーゲームなのだった。
 胃の痛む想いもしない代わりに熱狂することもない。唯一永井だけが高い位置でのチェックを怠らない。走って走って走りまくる。そんな努力が実ってGKのパスをカットした。こぼれたボールに向かいゴールを目指す。が、ここでこけてしまう。先にGKにボールを触られてしまい足が絡んだのだった。とはいえそこは踏ん張って欲いとこでもあった。
 その後にはハイネルの絶妙なターンから裏への抜け出しを狙ったグラウンダーのボールにも永井は身体の向きを誤って追いつくことができない。前線でのターゲットににもなっていない。そのせいでボールは中盤とDFの間を漂うだけなのだった。
 眠たくなってきた。両者共にシュートすらない。もっと出場に飢えてた選手がガツガツいくのかと思いきや小さく収まってる。唯一永井が裏へ抜け出して放ったクロスが東のヘディングシュートにつながった場面だけは身を乗り出したものの、総じて低調な前半だった。後半はメンバーを替えて戦況を変えてくるだろう。だがこの辺の采配の面では片野坂監督の方が上なのだった。少なくとも前回対戦はそこで負けてしまったのだった。
 後半から大分は裏目掛けて長いボールを蹴るようになった。だが大分も精度のなさでは負けてなく、安心してたもののついに動いてきた。メンバー交代。これにより大分は前回大きく躍動した。それだけに脅威であった。対するサンフレッチェはハイネル、永井を下げ、ヴィエイラ、川辺を入れてきた。
すると前線に蹴ればヴィエイラが収めてくれる。それにより押上ができて攻撃が活性化される。ヴィエイラの長い脚は独特のキープ力を発揮し、それまでなかったターゲットとして機能するのだった。
 すると右サイド茶島は入ったボールを戦線中央に向けて適当な放り込みを入れる。呆気なくDFに処理されてしまいそうだ。が、目の前で走るヴィエイラがその中途半端なボールを収めてしまう。DFをかわすか、打つか。そんな選択肢の中DFは対処に迷いが生じる。するとその隙に左に入った森島に出すと左足を振り抜いた。ビシッと放たれたグラウンダーのボールはファーサイドのゴールに矢のように刺さったのだった。
 入った、モリシマ、モリシマ、モリシマーッ!
 絶叫と共に試合前、散々酷評をしてたことを申し訳なく思う。先制点、決めて欲しい人が決めてくれたことで俄然気持ちが昂るのだった。
 その後柏、浅野を入れてきたのは攻撃の手を緩めないというメッセージだった。サンフレッチェのボール支配は続く。前線に蹴ればヴィエイラが収めてくれる。もはやどんな球でも処理してくれる気がして左サイド柏がダイレクトで適当なキックを蹴った。DFの背後に落ちるボール。ヴィエイラが走りながら身体に当てる。あ、腕に当たった。と思ったが笛は鳴らない。ドリブルで進む。そしてGKの動きの逆を突いたシュートを流し込んだのだった。
 入った、入った、入った。追加点。あれだけシュート下手だと批判してたヴィエイラがGKとの駆け引きによって決めてしまったのだった。この2点目は勝利に向けて大きな前進なのだった。
 もはやここまで来ると時間稼ぎに徹する。ここでもヴィエイラのキープ力が効く。大分は2人掛かりでもヴィエイラから奪えず時間を浪費させられる。身体に当てCK。そしてまたキープから身体に当てCK。ヴィエイラってこういう芸当もできるのか。
 そんな時間稼ぎにより終了の笛が鳴るまで相手の得点は許さず0-2で勝つことができた。ヴィエイラがこんなにもスーパーな選手だと思わなかった。そして川辺のゲームコントロール。交代選手2人の活躍が目覚ましかった。
 采配で流れを変える、これは前回大分にやられただけに借りを返したという気分が強かった。単純に勝ったというのに加えて二重の意味での達成感がこみ上げるのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?