ルヴァンカップ清水戦〜敗戦につながる得点力のなさ

2022年3月26日 ルヴァンカップグループステージ サンフレッチェ広島vs清水エスパルス エディオンスタジアム広島

 雨により視界の悪い天候。選手も厳しいが、ほぼ屋根のないスタジアムにおいて苦行のような観戦環境だった。
 リーグ戦で勝ってない中、ルヴァンカップで2連勝中というのは心の支えだった。そしてこの大会で結果を出した選手がリーグ戦に回っているだけに新たなるヒーローの出現にも期待が掛かる。だが、メンバーに名前を連ねたのはベテラン選手中心の手堅いが新鮮味のないものだった。
 試合開始から一方的にボールを支配し清水陣地へ食い込む。藤井が縦へ仕掛けることで右サイドで揺さぶりを掛けるとサントスに入り反転シュート。鋭いターンではあったもののGKのキャッチに阻まれる。そして藤井のクロスが入るも中で合わせられない。更に立て続けにシュートを放つも枠を捉えることができない。この流れ、前線のプレスが効いて高い位置からの攻撃ができて相手に付け入る隙を与えてない。これは素晴らしき展開である。素晴らしい。が、この攻め込みつつもシュートが決まらない状態に段々不安を覚えるようになった。そう、これはここ何試合も続けてるいい試合をしても負けてしまうパターンを踏襲しているからだった。
 すると中盤でのボールカットから浮き球で前線へ出されるとトップで張ってたコロリが受ける。DFを前にするもボールをずらしシュート。その速い動作に応対した荒木の止めに入った足が当たることによってGK大迫の横跳びにもかすることすらできないコースに吸い込まれていったのだった。
 またしても先に失点。やっぱりやられた。攻めて攻めて攻めまくってるのに決めることができず相手の一発の攻撃に簡単にやられてしまう。もうこんな試合を何試合続けて観させられてるんだろう。それでもまだ1点差。ゴールをこじ開ける時間はまだ残されてのだった。
 ところがこのゴールによって活力を得た清水は巧みなボール捌きでプレスを掻い潜ってしまう。あっさりと前線へと向かうボールに走って走って走りまくって食らいつく。ボールに触ることすらできない。そこでボールへの当たりを強めるとファールとなってしまった。ただ、位置的にいってゴールからは距離があるのでそれほど脅威でもなさそうだった。
 ゴール前で陣取る両選手。左サイドから放たれた長いボールはファーサイドへ。すると次の瞬間ボールはゴール前へこぼれるとそのまま押し込まれて2点目を決められてしまう。一体何が怒ったのかと思ったら藤井のクリアミスで相手へのプレゼントパスとなったようだった。ああ、藤井。味方にはちっともアシストできないのに敵にはアシストをしてしまう。またしても点の取れないチームが2点追う展開に陥ってしまったのだった。
 右サイド藤井のところから崩しにかかる。スピードで抜ける。クロスが上がる。ブロックされてもCKが取れる。が、中で合わない。ゴール前を越していくか相手の頭の真正面に来て簡単にクリアされる。まるでそれはどこにボールが来るのか全部読まれてるかのようだった。
 打開を図り浅野と永井を入れる。だけどもはや終戦ムードが漂っている。CKになるもゴール前を固めてれば大丈夫という安心感が清水に漂う。その弛緩したムードの中での野津田のキックはふわりとまた気のないものだった。するとゴール前の密集に落ちると住吉のヘッドはするりとゴールに吸い込まれていったのだった。
 1点返した。またしても住吉のゴール。前の選手が決められない中、DFの住吉が唯一決めることができる。だがこのゴールは勇気をもらった。もう1点、もう1点という機運が高まった。
 清水キックオフで再開するもすぐにボールを奪い藤井が駆け上がりトップの永井から左へ流す。そこへ流れた浅野がシュート。ファーを狙ったグラウンダーのボールはゴールポストをわずかに逸れた。惜しい。惜しかった。そしてこの後この惜しいを言い続けることになるのだった。
 ペナルティエリアでの藤井の折り返しは永井に合わない。そして永井のシュートは威力がなくGKにキャッチ。そして極め付けはCKに合わせた野上のヘディングはGKのセーブにより食い止められるのだった。
 打てども打てども入らない。それは攻撃の遅さ、フィニッシュへの手数の多さに起因している。ゴールを狙おうとすればするほど慎重になり相手に読まれてしまうという悪循環に陥るまま、うまく時間を使われこのままタイムアップを迎える。ああ、ついにルヴァンカップまで負けてしまった。負けて負けて負けまくってる。スキッベ監督がベンチに入って全敗。このまま負け続けると誰かが責任を取らなければいけなくなると思わざるを得なかった。
 打ったシュート18本。清水はその半分もない7本で2点決めている。その効率の悪さ、その要因の多くはFWの能力によるだろう。点を取る選手がいない。果たしてここの部分をどうするのか。点を取らないと勝てない。かといって引き分けることすらできない。シーズン早々にして不安になってきたのはまだ気の早過ぎる話なのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?