ルヴァンカップ名古屋戦~数的優位により勝利

2022年4月13日 ルヴァンカップグループリーグ 名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島 豊田スタジアム


 平日夜、客は少ない。カップ戦の常でメンバーも大幅に替えてるせいでどことなく緊張感が欠ける。ただ、それはコロナ陽性者や怪我人が出た影響もあり、毎回出場できる選手が限られてくる中で今回はその試金石になりそうだった。

 太鼓と手拍子だけがこだまのように響く中で試合は始まった。前からプレスを仕掛けるサンフレッチェ。だが相手も事前にそれはわかっているだけに同じ3バックにしてきた。トップのサントスからシャドーの森島、満田が高い強度でボールへの寄せを行う。だがそれらをスルスルスルッとかわすと最終ラインの裏へとスルーパス。それをマテウスがギリギリのタイミングで飛び出した。手をあげオフサイドを主張する荒木。が、笛がないと後追いに追う。佐々木も加わり2人で追いかけるもペナルティエリアに入られる。そこでファーを狙ったシュート。GK林の身動きのできないままゴールの隅に決めてしまったのだった。

 ああ、早い。なんて早い失点だ。せめて前半くらい同点のままだったら。もはやこの試合は勝てやしないだろう。だったらせめて同点のまま推移する緊張感を持って試合を見ていたかった。

 ところがその直後にカウンターで左サイド東が抜け出た。相手の帰陣の前にボックスに入るとシュート。ゴール真正面だったこともありGKランゲラックに弾き飛ばされてしまう。が、そのこぼれを松本がミドル。これも枠に入らない。決めたマテウスと決めれない東。結局いつもと同じパターンで負けてしまうことをもはや意識してしまうのだった。

 防戦一方のサンフレッチェ。相手の前からのプレッシングを掻い潜ることができない。フォーメーションを合わせられた挙句、相手の方がこちらがやりたい事をやっている。もはや点差以上の敗北感を味わうのだった。

 それでもハーフタイムを終えると戦況は変わるかもしれない。そんな淡い期待を抱いたもののそれはまるで変わることのない展開が延々と続くのだった。クリアしてはセカンドボールを拾われる。そこでパスの出どこへとアタックをすると柿谷がファールを誘うことでFKを与えてしまう。

 通用しない。こちらの意図は全て読まれている。それでも満田の運動量は止まることを知らず、サントスもDFを背負ったままターンして突き進んだのだがゴールを決めることができなかった。

 せめて引き分けに持ち込めたら。1点が遠い。名古屋の守備が崩れない。ペナルティエリア付近でショートパス。狭いとこを繋げる。そしてサントスが振り向き打つも跳ね返る。が、この時ピッチ内の選手が騒然となった。

 ハンドを主張するサンフレッチェ。少し遅れて笛が鳴るとPKの宣言。同時に宮原にイエローカード。誰が蹴る。やはりここはFWのサントス。全試合永井が決めれなかったのが脳裏に浮かぶのだった。

 主審の笛が鳴る。動かないサントス。ゆっくりとしたモーションから一気にボールへ。放たれたボールはGKランゲラックの動きの逆を突いた。ガシュっという音と共にネットに突き刺さる。決まった。まるでGKがいることなど意に介さないかのように鋭いキックを決めたのだった。

 同点。振り出しに戻った。このまま勝ち点1でも悪くない。だが果たしてこのまま無失点で乗り切ることができるのだろうか。

 名古屋の攻撃は続く。奪った後時間を掛けず満田に出すと単独で前へ突き進む。そこを倒された。そこを抜ければ得点に繋がりそうな場面。これにはカードが用意される。そして提示されたのは宮原。2枚目のイエローで退場。数的優位に立った。これはもう攻撃へとベクトルを向けていいかもしれない。

 当然のことながらボール保持の時間が続く。焦らず回して回して守備の牙城を崩そうとしていく。だが入っていけない。隙がない。ミドルシュートすら打てない。だがカウンターのリスクを考えたらこのままじわじわとなぶって体力を奪っていくのも悪くない。ただこの試合、サイドからのクロスがまるで上がってないのも事実だった。

 そこで右サイド茶島を柏、ワントップのサントスを永井へと交代する。柏のドリブルを生かすべく右サイドへ入れる。が、前を塞がれて中へと視点を切り替える。とその瞬間にはDFの野上が駆け上がりそのスペースへボールが出る。深い位置からクロス。マイナスのボールへ飛び込んだ森島。ガツンとヒットしたボールはそのままゴールに突き刺さったのだった。

 逆転。崩せなかった名古屋の壁は交代の瞬間決めることができた。あとは時間の経過を待つだけ。かなり有利な状況だ。

 ところがここから名古屋は一人少ないとは思わせない攻撃を見せてくる。欲を言えば追加点というとこであったが段々とその余裕もなくなり時間稼ぎに徹する。クリアボールは全て名古屋に拾われる。シュートに対してGK林のセーブ。交代で入った金崎が3人に囲まれながらもペナルティエリアに入ってくる。この選手がもっと早く入っていたら危険だった。

 そしてこのままタイムアップを迎え、勝ち点3を得ることができた。これにより勝ち点9の首位。一歩抜け出ることができた。決勝トーナメント進出が見えてきた。

 その一方、メンバーの不足しているサンフレッチェ。森島や満田のような連戦の選手の体力が心配になってしまう。果たして3日後のリーグ戦は大丈夫だろうか。勝利に喜ぶもののもう次のことが気になってしまう。カップ戦に勝つとはここまで大変なことなんだと知るのだった。

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