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2016年度 上智大学法律学科3年次編入 回答

問題

次の文章を読んだ上で、問いに答えよ。

「フランスでは、国民はおのずからそこに『ある』ものではありません。それは意図的に…(中略)…『つくらなければならない』ものです。国民を『つくる』ためには…(中略)…国民になるためのルールを示し、ひろく共有させることが必要です。…(中略)…フランス国民という集団は、このルールの上に始めて成立するのです。この国民形成のルールのことを、フランスでは『共和国の価値』と呼びます。…(中略)…ですから、異質な文化や宗教に対して、彼らは基本的に寛容ではありません。存在を認められたければ、共和国の価値を受容し、フランス国民になるべきだ、…(中略)…そうすれば出自の如何を問わず対等にとりあつかわれるはずだ、彼らはそう考えています。」

(小田中直樹『フランスの7つの謎』文春新書(2006年)33-35項より)

社会の多元化が進む近年、上記の「国民形成」には疑問が表明されている。上記の文章でも「スカーフ事件」(フランスの公立学校に、移民の女生徒がイスラム教徒の象徴であるスカーフを着用して

登校したところ、学校長から登校禁止処分を受けた事件)が扱われている。一方で、社会の多元化の放置は、国家としての統合や国民の平等を危うくする、との主張も表明される。この状況は現在の日本においても共通しているが、日本は如何なる方策を採るべきか、答えよ。

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