――「好き」でいられる居場所 『ラブライブ!サンシャイン!!』第五話感想

 私事だけど放送日当日、沼津・内浦観光をしていたので、見ることができた場所が映るとちょっとうれしかったなあ。遂にヴェ―ルを脱いだヨハネ氏だが、最後の爆弾のせいでヨハネ氏のお話が飛んでしまったぜ。
 一部では「千歌の普通コンプレックスが爆発するフラグが立ってる」とか言われてるようですけど、俺はそうは思わない。この子は物事を真っ直ぐに受け止めてるだけだよ。その上で輝こうとしている。そういう大地に根差した力強さっていうのを千歌からは感じるなあ。全てを受け止めて前進しようとするところが、普通怪獣チカチーの非凡さなのではないかな。



◆理性と本能で揺れ動く 善子/ヨハネ

【速報】ヨハネ氏、遂に学校へ。

イェェェーィィィイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 ドラマCDや誌上企画では「ヨハネであること」に強いこだわりを見せていたが、アニメでは「ヨハネ」を捨てようともがく姿が描かれた。キャラの作り方うまいなあ。敢えて今まで見知ったヨハネ像と真逆にすることで意外性が出せるし、上手く「Aqours」が持つ共通項「輝きたい」へハマるように落とし込めた。

 “堕天使ヨハネ”ってなんなのか?というと、善子自身の「好き」であり、「ああなりたい」と願う理想像である。徹底して「好き」と向き合ったからこそ、“堕天使ヨハネ”がデフォルトになりつつあるのだ。でも、本人が言うように「普通の生活」じゃあ“堕天使ヨハネ”は必要ない。あんな尖った厨二病はそらなかなか受け入れてもらえないよ笑。そんな現実とちゃんと向き合い、曲がりなりにも克服しようとするところが、津島善子というキャラクターの面白みだ。思っていたよりも理性的なんだよね。

 “堕天使ヨハネ”の本質を見極めていなかったから、上辺だけをなぞったから、奇をてらっただけの動画となってしまった。しかし、海岸での話し合いで“堕天使ヨハネ”=善子だけの「輝きたい!」であることを千歌たちはようやく悟った。“堕天使ヨハネ”という自分自身の輝きをただ1人で追求してきた善子だからこそ、“輝き”を掴まんとする千歌たちは惹かれたんじゃないだろうか。そして、善子も好きを貫こうとする「Aqours」のファーストライブに心を揺さぶられた。それぞれがそれぞれの「好き」なことで頑張ること――それが今回の学びだ。別に無理矢理に自分の「やりたい」を犠牲にしなくたっていい、それを受け入れてくれる人・場所がいるのならば。自分の「好き」を受容してくれる仲間と活かせる居場所。善子の堕天はこれから始まる。



◆マリーとダイヤがビビってるメールの中身

 最後のあの爆弾はいったいなんなんだああああああああ。

 俺、あのメール内容こそ「廃校問題」な気がするんだわ。そう思う理由は、三年生を動かすための舞台装置に最適だからだ。そのぐらいの動機がないとあの三人は今の見守りポジションのままで終わっちまう。だってあの人たち今のところ能動的にも受動的にも「Aqours」に加わろうとする動機やそれを示唆するものがないんだよね。

 仮定の話だけど、もし作中時間の二年前に「廃校問題」があったとすればどうだろう?「やりたい」もさることながら、廃校から救うためにもスクールアイドルを始めるも母校の廃校回避に失敗するダイヤ果南マリー。結局小原家からの多額の寄付金で事なきを得るが、マリー転校と失敗でスクールアイドルを辞めるダイヤと果南。
 そういうバックボーンがあれば、三人は動かざるを得ない。むしろマリーは、廃校が分かっていたからこそ理事長として舞い戻り、千歌たちに望みを託すためにバックアップしているのではないか。加えて、ダイヤも生徒会として、あるいは己だけで能動的に動くだろう。
 そして、来週復学するであろう果南が戻ってきた時に再び「廃校問題」が上がってきたことを知れば、作中ほとんど動きがなかった彼女の物語が動き出すきっかけとなる。

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