――自分らしさと変わること 『ラブライブ!サンシャイン!!』第四話感想

 『ラブライブ!』S1-4「まきりんぱな」をオーバーラップしたように感じられる今回。ディテールを見ていくと対照的に描かれていることがよく分かるだろう。そして、この四話は、『ラブライブ!』S2-5「新しいわたし」と前述の「まきりんぱな」を見事に掛け合わせたエピソードなのである。今のところ二話と四話の出来がずば抜けているなあ。 んー四話の方がよくできてるかも。


◆小ネタ

・ヨハネ氏、不登校期間が2カ月疑惑。そろそろ出席日数やべーだろwwwwwwあ、花丸の回想で木の棒持ってなんか遊んでてかわいかったよヨハネ氏。
・割り当てられた部室は、確実にスクールアイドル部があったことを示唆しているな。ホワイトボードに書かれた歌詞はいったいどんな曲へ化けるのか?



◆戻ってきたのは何のために

 果南とマリーがようやく邂逅。理事長自ら、果南をスクールアイドルへとスカウトしにきたとはねぇ……。「そうでなければ戻ってこないよ」とは、マリーもけっこう「スクールアイドル」に拘っているなあ。その発言に対して感情を露わにして去る果南。んー最初の果南のマリーへの応対だが、ギクシャクはしていないように見えるけど果南は何か微妙に思っている感じだなあ。果南とダイヤが会うことで三年生の謎がようやく見えるのかねぇ。



◆らしくあって欲しい

 硬度10のラブライバー黒澤ダイヤさん、エリーチカ推しであるもよう。ルビィと仲良く「µ's」ごっこと、本当に「µ's」のことが好きだったんだな。そんな彼女が「スクールアイドル」を嫌うようになった出来事が何か早く観たいところ。スカーフと夏服からして一年次の5-7月に起こったらしいが、やはり「2年前」だ。三年生のドラマが一番の楽しみだなあ。
 さて、ちょうどそのスクールアイドルを嫌い始めた時。ダイヤは、ルビィに「そんなものを見せるな」と八つ当たりしてしまった。自分とルビィが育んできた好きを、妹の愛するものを否定したことを彼女はずっと気にかけていたようである。ルビィがダイヤに決意を語るシーンを敢えて四話でカットしたのは、彼女のお当番回にて披露する腹積もりなのだろうか。
 しかし、この黒澤ダイヤという人、なかなかに面白い。不器用で頑固だが、三話の蓄電器の用意にルビィへの気持ちとその内面はよく周りや人を見ていて、気配りがしっかりできる優しい子だ。



◆自分らしく輝く

 好きなことを好きと言うこと、好きなことを貫くことは自己主張の一つだ。好きなものとは自分らしさを形成する力を持つ。ルビィは極度の人見知りで引っ込み思案で自分を主張することができないが、それでも唯一スクールアイドルへの愛だけは表示してきた。大好きな姉から否定されても、面と向かってそれに立ち向かえなくとも、好きを捨てずに育んできたのだ。そうした意思の強さは、まさに芯が強い花陽と似通う所であろう。親友とともに新たな仲間と居場所を手に入れた彼女は、これから自分らしく輝いていく。



◆変わることとあこがれ

 親友の後押しに頑張る姿は、どこかの誰かを想起させた花丸。そんな彼女がやけに目を離せなかったのは、「LWB」を特集した記事だ。その「LWB」は、凛が「女の子らしさ」へのコンプレックスと向き合い変身した契機の曲である。だからこそ彼女は、「LWB」の凛に惹かれたのだ。
 彼女もまた自分にないものにある種の羨望を抱いていた。地味でいつも隅っこにいて本を読むおとなしい子。華麗に踊ることもできない、きらびやかさもない。そんな自分でもスクールアイドルになりたいルビィの隣に立てるのか、キラキラと輝くスクールアイドルになっていいのか?「なっていいんだよ、変わっていいんだよ」、羨望の目で眺めていたウェディングドレスの少女はそう語りかけていた。



◆A面/B面

 今回の話でモチーフとなった楽曲は、「Dancing stars on me !」と「Love wing Bell」だ。同じシングルで販売された二つの楽曲をルビィと花丸の加入のドラマに被せるとは面白い設計だと感じる。
 今回の話で特によかったなと思うのは、俺が「まきりんぱな」で不満に思った点を解消していたことだ。その不満というと、物語の時間的制限と三人分を描く都合上、後押しをした二人の「µ's」加入への意思がうやむやで、真姫と凛の分まで花陽に意思決定が集約されていた点だ。音楽への思いが示唆されていた真姫はともかく、特に凛の加入は割とその場のテンション感があってけっこうおざなりだなあと思っていたわけよ。そのアンサーはS2-5「新しいじぶん」でようやく示されるんだけど、いやそこはやっぱなるべく早めにやっときなさいよと。
 翻って今回の「二人のきもち」では、後押しをする人が加入へ至るまでのドラマも同時に展開している。そして、「まきりんぱな」を先に見ている我々からすると、ルビィ:後押しを受ける、花丸:後押しをするという構図が見えるだろう。しかし、エピソード全体を注視してみると、本当に背中を押されているのは花丸なのだ。導入の語り部でもある彼女を中心にして「二人のきもち」は描かれている。
 自分らしさを再確認して生まれた「Dancing stars on me !」と、自分と向き合い変わることを応援する「Love wing Bell」。スクールアイドルをやりたい(=自分らしく輝きたい)ルビィと、自分にないものを手に入れてみたい(=キラキラと輝きたい)花丸。今回の構成は秀逸だったと思う。

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