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DJI社によるレベル3/3.5飛行の対応開始

こんにちは、スカイピークの高野です。2024年5月9日にDJI社から注目のニュースが発表されました。ご覧になった方も多いと思いますが、DJI製の無人航空機がレベル3やレベル3.5飛行への対応(情報提供)が開始されることになりましたので、note記事として記載してみたいと思います。

ニュースの概要

ポイントを大まかにですが、まとめてみました。

・DJI製ドローンがレベル3/3.5飛行への対応を開始した
・レベル3/3.5飛行申請の際に求められる情報提供を行うというもの
・物流機、ドローンポート対応機、小型産業機など多数の機体が対象である

まさに幅広いDJI製の機体で、レベル3/3.5飛行を具体的に検討できるようになったということになりますね。

詳細は、DJIが発表した下記のプレスリリースの元記事をご確認ください。
※DJI製無人航空機のレベル3/3.5飛行への対応について

DJI社の対応が注目されている背景

このニュースは業界内で多くの注目を集めています。実際X(旧ツイッター)やYouTube、facebookなどでも多方面でニュース記事として掲載されており、業界関係者の中でも話題になっています。

このニュースが注目をされているのは、ドローン物流をはじめとした、産業用途での自動化に向けた取り組みをされている方に大きな影響があるためです。これまでDJI社は機体情報を公開してこなかったためレベル3以上の飛行する際には、選択肢として使用することができない状態でした。そのためレベル3以上の飛行の際は、国産ドローンメーカーの機体が使うことが一般的である現状です。

レベル3以上の飛行に係る許可申請ついては、いわゆる機体情報等を提供するということが申請上で必要となりますが、本リリースに記載のとおり、これらの情報が提供されたことで、申請がおりる可能性が新たにでたということになります。(注:承認を約束するものではなく必要情報を提供するというものになります。)

これにより、ユーザーは様々な分野でのハードウェアの選択肢が各段に広がることになりました。情報提供対象となる製品が、プレスリリースに多数記載されていますが、多くの事業者が利用している大型産業機のMatrice350/300シリーズだけではなく、Mavicシリーズの小型機も含め多数の機体がリストに入っています。国産機等と合わせて金額面・性能面・使いやすさなど総合的に比較検討ができる土台ができてきました。注目の物流機であるFlyCart30も入っていますし、DJIが先日発売を開始した、ドローンポートであるDJIDockシリーズ機体についても対応となっています。

また、空飛ぶロボットであるドローンは、人がいけない場所、いくことが困難であったり危険な場所、高い場所での活用など多くのケースで、省人化や自動化の可能性がありますが、技術的側面だけでなく、法的な側面でも実装への経済合理性を成り立たせるうえで、ボトルネックとなる部分もありました。

大多数のユーザーが業務利用しており、使いやすく安心感があるといわれている汎用的産業機であるDJI社のドローンが本取り組みを開始したことで、多くのケースでコスト面や使いやすさなど、総合的な導入ハードルの低下と運用コストの最適化に向けた動きが更に進むきっかけと考えられるでしょう。

一例として、太陽光施設や山間部の砂防施設といった、人が定期的に巡回監視や点検を行うことが容易でない場所における業務自動化においても、今回の情報開示による省力化への取り組みが期待されます。

官公庁など中国製ドローンが認められない場合を除いた、多くの事業者の利活用のケースについては、高いコストパフォーマンスとともに、UI/UX的にも使い勝手が良いものであるため、DJIドローンの活用は益々進むでしょう。

そういった環境の中でも、固定翼機でのニーズに特化した取り組みや、ドローン物流の小口配送、特殊環境での対応機体、また目的に合わせたソフトウェアを専用に開発してカスタマイズしたソリューションを提供する企業もあります。それぞれのアプローチで強みを出している企業は多数あるので、各社の取り組みにも注目したいと考えています。

物流・点検調査・測量・災害時など、多方面のユースケースでの自動化での実装に向けた動きが加速されDJI製のドローンを使った実証実験も今後益々増加することが期待されます。

ドローンスクールも追い風

特にレベル3.5飛行の申請の際には、要件の一つとして、国家資格(操縦ライセンス)保有も求められています。

引用:カテゴリ―Ⅱ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について(国土交通省 航空局 無人航空機安全課 令和6年2月)
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001725836.pdf

各ドローンスクールも本リリースをきっかけに、レベル3.5飛行の話と絡めた国家資格取得を進める動きも増えると思いますし、国としても国家資格制度を推進するという意味では、取得の意味(付加価値)がメーカー側の動きからも出てきたことは追い風だと思います。

趣味レベルでは決して必要性は高くないと思いますが、弊社含め業務利用している事業者にとっては、営業における機会損失を回避する意味でも、国家資格は多くの場合取得した方がベターと個人的には思っていますので、登録講習機関側はまた一つ、国家資格取得メリットとして語れるものが増えたという感じでしょうか。

実態としては、まだまだ多くの業務が手動操縦で行っているものも多くありますが、自動化できるロボットとしての可能性をもっているからこそ、自動化の未来への関心や気運が更に高まってくる流れを感じますね。

スカイピークとしての取組み

私たちでは産業ドローンの人材育成を軸として、目視外飛行オペレーター輩出にかかる取り組みをこれまでも行ってきました。実務ベースで、点検・物流・災害などの実証実験の実施や参画、また現場ノウハウを自社スタッフだけでなくパートナーの皆さまと知見や技術の体系化を通じた教育プログラムの開発、そして直接的な支援として、研修サービスの提供などに取り組んでいます。

空飛ぶツールとしてのドローンは全てをかなえる魔法の道具ではないですが、ロボットとしての可能性が大きいのも事実です。だからこそ、ドローンが活躍すべきシーンや提供価値を専門企業としてサポートをおこない導入への支援を行っています。

レベル3/3.5をはじめとした、自動化に向けたドローン活用を検討されたい場合には、「検討・導入・運用」のそれぞれのフェーズに合わせたご相談に柔軟に対応していますので、気軽にお問合せください。

今回のDJI社発表が、新たな自動化への取り組みが進むきっかけとなり、本業界の実装化にどのようなポジティブな影響がでてくるかは個人的にも楽しみです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。