居場所トレイン
目の前に電車が止まって
扉が開いたから乗り込んでみる。
そこには既に楽しそうにしている人々がいて。
きっと朝あの人はこの端っこに座るとか
昼になったらあの子達はドラマの話で盛り上がるとか
夜には決まってあのお店に向かうとか
例えばだけど、
そーやってそこには世界がもう作ってある。
そこに足を踏み入れてみたら、自分もその世界の1つみたいな気がしてくるんだけど。
どこかで気づく。
ふと怖くなる。
みんなでいる孤独に耐えきれなくなって
私はそっと電車を降りてしまう。
その世界を抱えた電車はゆっくりと走り去って行って。
もう乗ることはできないんだと思う。
でも、きっと扉は閉まっていない。
降りてしまったのは私。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?