オンライン保育#6

 環境に関係なく仕事に従事できた理由

 4月から週1回で始めたズーム保育の最終日は6月2日でした。今は夏休

みです。約10回ほどの試みでしたが、個人的にはとても勉強になりました。

*ズーム保育の一場面。ダンスタイムと『野菜を育てよう』

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 ズーム保育終了後、夏休み前最後のズームでのスタッフ・ミーティングで、

 教室運営が難しい環境のなか、幼児教育に携わる者として、自分たちが仕事に対する気持ちを持続できたのは、何に由来するのか? 

という話題で意見交換しました。

1.突然の休校で、日常生活の一部であった学校生活がぷっつりと途絶えてしまった子どもたちに、情緒面でのサポートをすること(毎日会っていた友だちや先生と定期的に会うことで、日々の生活は継続してるのだという安心感)

2.教師だけでなく、保育園の人事、予算など運営に携わる職員たちも試行錯誤するなか、自分の創造力を駆使して、新しいことに挑戦できる自由。

 個人的にやる気を持続できたのは、この2つでした。

学んだこと「家族との接し方」

 ふだんの教室運営では経験しなかったこともありました。一番大きな違いは、家族とのかかわりあい方。ふだんなら送り迎えの際に、子どもたちの家族と、その日の出来事について会話する時間がとても大切な交流であることは、どこの国の保育士でも同じですよねえ。ただ、深い話になると、個人懇談のような時間を設けて、話すことになります。そうすると、私も保護者も、少々緊張した面持ちになってしまう。

 自宅待機が始まってから最初は、電話連絡とイーメイルを主に連絡手段として使っていたのですが、そのうち、テキストメッセージを使うようになり、その便利さが功を奏したのか、家族によっては、教室での会話よりも、ざっくばらんに話せたりしました。そこから、再び電話で深い話ができたりもして、保護者と新しい関係性を築くことができたようにも思います。

 テキストメッセージを送ると、即返事をよこしてくれる家族もいれば、メッセージがちゃんと届いたのか、わからずじまいの家族もいました。その違いが必ずしも、教室で話すときの印象と一致しないということに気づきました。テキストメッセージの交換で、大人にも大人の事情があり、それぞれの社交パターンが少し理解できたような気がしました。○○くんの家は、すぐに返答がなくても、数日後にはきちんと返事がくるから、ゆっくり待とうとか、○○ちゃんの家は、もうちょっとプッシュしてもいいかな、とか。

 ClassDojo.comを使ったヴァーチャル教室運営も、新鮮な試みでした。思いもしなかった家族が、積極的にビデオや写真をシェアしてくれたり、医療関係に従事している母親に代わり、子どもの叔母さんが、しっかり代役を果たしてくれたり。教室では大人しく、あまり感情表現を表に出さない子どもだったので、ちょっと気にかかっていましたが、一緒に住んでいる祖父母や伯母の存在の大きさを発見したりしました。

学校再開の目処

 わたしの住んでいる州では、今回新たに設けられたプリスクール再開のガイドラインに沿って環境を整え、州の幼児教育管轄機関に書類を提出し、審査に通れば、再開できる見通しです。

 ただ、そのガイドラインがとても厳しく、個人経営の託児所、企業経営の保育園、国や州の予算で運営する保育園(主に低所得家族を対象にした保育園。私の勤める保育園もこれに該当します)も、なかなか再開の目処がたっていません。

 たとえば、今までは生徒対教師の比率が10人対1人だったのですが、新しいガイドラインでは、10人対2人。それから衛生面。わたしは、リサイクル用品を教室に持ちこんで、子どもたちに自由に遊ばせ、想像・創造力を培う遊びが好きで、空き箱やらボトルキャップやらを集めて、リサイクルコーナーを作っているのですが、それももしかしたら、アウト? それに、子どもたちが毎日使う、おもちゃや粘土、昼寝用のマットなどは、普段から消毒処理をすることが義務づけられていましたが、さらに細かいルールがあるようです(厳しい新ガイドラインを読むのが怖いので、詳しくはまだ知らない…)。

 こちらは9月が新年度なので、幼稚園に入園する子どもたちにとっては、3月の突然の休校以来、夏休みを含めて約半年「学校に通っていない」状態を体験することになります。これをどう捉えるかは、子どもたちの家庭や地域環境によって、大きく異なってくるかもしれません。

 わたしの勤める保育園は、低所得の家族を対象にした保育園です。国と州から予算が出ており、幼児教育だけでなく、保護者や家族が社会で自立できるよう様々な支援を行っています。住居や公共料金の援助、様々な職種のトレーニング、ESL教室、イミグレーション関連の援助、成人向けの教育支援(高卒資格や短大入学)、10代の父母への援助や教育、ワークショップ、子どものカウンセリング、家族向けのカウンセリング。保育園は様々な支援のひとつです。

 大人がストレスを抱えている家庭では、子どもたちも様々な影響を受ける。子どもたちに選択の余地はありません。

 わたしの上司たちは、子どもたちが幼稚園に入園する前に、少しでも情緒面・社会面でのサポートができるよう、来月の学校再開を目指していますが、クリアしなければならない条件がいろいろあるようで、予定は未定。

その間に自分ができること

 レッジョ・エミリアのアプローチに共鳴している! と長年言いながら、ワークショップやクラスには通ったりするものの、本格的に勉強をしたことがなかったので、2年前に購入したまま、積ン読状態だった『The Hundred Languages of Children』を、一念発起して読み始めました。(邦訳版もあります)。今回のズーム保育で体験したことも含めて、学校が再開した際には、気持ちを新たにできれば、と思っています。

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