AI技術が進化した未来を垣間見る!NVIDIA 生成 AI DAY 2023 Summerに女子大生が参加した感想(1)
1. はじめに
NVIDIA 生成 AI DAY 2023 Summer とは2023年7月28日にエヌビディア合同会社が開催した生成AIを活用したビジネスや研究開発に関する講演や討論などのセッションです。ゲストとして、東京大学大学院松尾豊教授、Stability AI Japan 株式会社Jerry Chi氏、株式会社サイバーエージェント毛利真崇氏、日本マイクロソフト株式会社松崎剛氏、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社渡辺啓太氏、rinna株式会社沢田慶氏、株式会社ABEJA岡田陽介氏、株式会社PKSHA Technology渡邉陽太郎氏、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 片桐恭弘氏が呼ばれました。
2. 参加したモチベーション
SkylandのAI部門でインターンを初めて約一か月、荒波の参加者とアイデアの壁打ちをするには生成AIに関する基礎知識があまりにも足りない、とのことで生成AIの最新トレンド、想定される影響、活用法の基礎を学びに行きました。
3. NVIDIAとは
そもそもNVIDIAとはどんな企業なのでしょうか。「アクセラレーテッド コンピューティングのパイオニア」(原文まま)とホームページには記載してあります。具体的には、NVIDIAは20年以上の歴史を持つビジュアルコンピューティングに特化した会社です。米国カリフォルニア州サンタクララに本社があり、廉価で高性能なプロダクトに定評があります。主なプロダクトとしてGPUカード、GPUモジュール、ディープラーニング用アプライアンス製品などがあります。GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)のことです。
4. 講演内容とその感想
【基調講演】始まった大変革、日本企業がとるべき一手
東京大学大学院松尾豊教授とエヌビディア合同会社井崎武士氏による講演です。以下は、お二方によるご意見、それに関する私の意見を話題ごとにまとめています。
生成AIブームはどこから?
生成AIブームは汎用的な言語モデルを基にしたChatGPTが火をつけました。ChatGPTのユーザー数は二か月で一億人に達するなど、日本だけでなく、世界中で大ブームになっています。現に私が運営している早稲田大学AI研究会もこうした流れのなかで生まれました。日本でChatGPTのブームが起こった要因としてメディアの影響力が挙げられます。「大喜利AI」や「リンナ」などがSNS上で話題になったことから文章生成系AIへの注目度が大いにに上がったと考えられます。
生成AIとこれまでのAIの違いは?
1つ目の生成AIとこれまでのAIの違いは何か次のワードを予測するネクストワードプリディクションを行うことです。これを通じて背景知識などをAIは学びます。ネクストワードプリディクションは知能にとっては本質的な行為だとも言えます。2つ目は、スケール大規模なモデルにすればするほど精密度が上がることです。
生成AIは深層学習を用いた機械学習モデルです。従来は識別系AIが主流でした。例えば、文字認識やOCR、AIカメラなどがあります。識別系AIは学習した大量のデータを基に、一定の基準で「正しい答え」を作っていました。生成AIは識別AIと違い「クリエイティビティ」があるように一見見える、ということも利用者からすると大きな違いだといえます。
海外の生成AI活用事例
ChatGPT,Adobe Firefly,DragGAN,Ghostwrite,SuperMeme,Insight Face,Brieflyなどが挙げられました。これらの詳細については割愛します。これらを使用した感想についても後日noteを書きます!
松尾教授の生成AIの使い方
メールや文章を膨らませるときにChatGPTを使われているそうです。また、データベースのマッチング、すなわち複数のフォーマットの違うテーブルをマッチングさせる際ChatGPTに丸投げする、という新しい使い方にも興味を示していらっしゃいました。丸投げの仕方がプロンプトに「マッチングして」と直接指示するのは非常に画期的で面白いと思いました。人間の性である「面倒くさいのは嫌だ」という需要に対し、非常にマッチしています。
日本企業がAIトレンドで儲けるためには?
DXなどで、既存の産業にAIがエンパワーメントを与える形で付加価値に結び付けることが必要です。例えば医療産業や車産業などがあります。懸念面は個人情報や著作権に関するガイドラインの必要性などが挙げられます。
生成AI利用に関するリスクによる生成AI利用を腰引けすることへの対処法
国や業界が指針を示すこと、またメディアがベストプラクティスを共有することで生成AI利用を促すことが必要です。また、組織内の情報の機密度をクラス分けすることで確実に生成AIに活用できるデータを特定することが求められます。
国の指針として文部科学省が学生向けの暫定的な指針を挙げています。(生成AIの利用について:文部科学省 (mext.go.jp))また、経済産業省の以下のPDFの12-13ページにベストプラクティスの実例があるので参照してみてください。(20220128_1.pdf (meti.go.jp))
どのようにAIは日本に影響するか
あらゆる業界において同じ事業を極端に少ない人数でできるようになります。長期的にみると人がいたほうが不利、という状況ができます。これは労働人口が少なくなる日本において救世主になるでしょう。しかし、人数が少ないほうが有利という考えは排他的、また選民主義的思想を助長する恐れがあります。移民受け入れ政策を推進しつつある今、どのように社会が変化するのか見るのが楽しみです。
生成AIはどのように進化していくか
大規模のみを追求する方向から、質の高い情報を集める専門性の高いLLMが出てくるでしょう。また、実世界のロボットとブレイクスルーが起こる可能性もあります。
ロボットと生成AIを掛け合わせることの利点として、ティーチングコストが抑えられることがあります。また、故障の事前予測や多品種多変量処理への対応が可能になります。故障を事前に予測し、常にデータベースをアップデートし続けることができれば、半永久的にかつ自律的に働くロボットができる可能性があります。
日本企業はなにをすべきか
日本企業の生成AIに関するスタートアップは順調です。世界と同時に駆け出して討論が行われていることは評価できます。日本企業がすべきこととして、1つ目は社員が生成AIを使える状況を作ることがあります。2つ目は社内の情報を検索できるLLMを作り、ChatGPTのように答えられるようにすることです。3つ目は社内の業務を効率化できるアプリを作ることです。これらのためには、誰もが気軽に生成AIに触れることのできる前提知識を持つことが欠かせません。早稲田AI研究会では生成AIに関する基礎知識の勉強会も行いますし、インカレなので誰でもいらしてください(笑)
(2)に続きます
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