絵が描けない

絵が描けない。
いや、「描けない」って言うと一旦筆を取ってみたみたいに聞こえるな。そこまでしてない。まず描く気が起こらない。

描けていた頃は、常に何かしらのアイディアやイメージが頭の中にストックされていた。ストックを手帳かツイッターにメモって、夜や週末など時間のあるときに出力して放流していたと思う。猫冒険譚の場面とか人間の肉体とか、既存キャラクターのパロディとか、「何描こっかな〜」てワクワクしてメモって、描く時間が足りないよ〜‼️トホホ………みたいな感じだった。

それが今はどうだ、何も思いつかない。インターネットでステキイラストを発見すると「オヒョヒョ^^」とはなるから、絵に対する興味とか欲が失せた訳ではないと思う。ただ、インプットを受けて自分が何か描きたいとか、自分だったらここをこうして……みたいな、生産者側の視点が消えたように感じる。

悪いことばかりじゃない気もする。マジで性格が悪いんだが、描いてた頃は自分がいちばん上手い奴になりたいから、他人の絵を見ると何かしら綻びを見つけようと躍起になっていた。(カス。)今は描く側にいないから、どんな絵でも純粋に綺麗だなかっこいいな〜って見ることができる。良い人間なのはどう見ても後者ですね。何故今までもそうすることができなかったのか。

近頃は帰ったら風呂に入って、ご飯を食べて、弁当を作って、ネットをちょっと見て寝るだけ。時間が余るからってスキンケアがやや丁寧になったかな。生活するだけの生活だ。いやひょっとして社会人ってみんなこうなのか?オタクじゃない人間ってこんな感じなのか?教えてくれ。絵って別に描かなくても生きていけるのか?なあ。

だけど、物心ついた時から今まで何年も、お絵描きというものがアイデンティティの中心に居たものだから、大きな拠り所が無くなるわけだ。何かを見て「オヒョヒョ^^」と感じてもそれっきりで、その気持ちを表現することもなくて、自分を構成する大事な工程をひとつ飛ばしているような。自分がちょっとずつ消えてるみたいで嫌なんですよね。
お絵描きを通じて知り合った人と、今後も付き合いを続けられるのか。実は最近お絵描き界隈がちょっと怖くて足を遠ざけている。みんなお絵描きしててすごいから。気後れみたいなもんですかね。アカウント削除はなんか勿体ない気がしてできないままでいるけれど。

あと単純に、もしまた筆をとることがあった時、劇的にヘタクソになっていたら嫌だな。そんなことがあったら二度と描けなくなってしまいそうで。