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あなたのいない生活を想像する

訳あって、親しい人が都会から遠く離れたところに行くこととなりました。

その人とは、毎日のように連絡し、近況を話し合う仲です。電話はあまりしませんが、LINEのやり取りはたくさんしています。

遠くと言っても地球の反対側に行くわけではありません。東京からせいぜい400kmほどの距離です。
物理的に会うためには、新幹線で片道4時間が必要です。

「いや、どうせ国内でしょ?」

海外出張の経験のある先輩からは、フンと鼻で笑われたのですが、まあ確かに大した距離ではないのでしょう。
ちょっとばかり、物理的に会うのが大変なだけで。その距離ですら、地球の反対側に行くことと比べれば、大したことはありません。

そう、何ひとつ不安はないのです。

そこでふと、「あなたのいない生活」を考えてみます。

LINEに打ち出される会話は、変わりないのでしょうか。
誰の便りもなく、元気にやってくれるでしょうか。
ちゃんとご飯を食べ、風邪などひかず、丈夫でしょうか。

そんなことが、沸騰しかけのお湯のように、ふつふつとわいてきます。
テレビのない部屋に越してきた時と、似たような感覚です。

電波によって見えない波で繋がっていても、そんな乏しいつながりでは埋められない不安があるのです。

そんなことを考えつつも、「多分なんとかなるだろう」と思っている私もおりまして。

「今度家に行くときは、好物のひとつも作ってやろう」と、決心して台所に立ってみるのでした。

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