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私の知らないことを、あなたは知っている

某メガバンクの新システム、リリース延期。
某医療系キュレーションサイト、大炎上。
某大統領選挙は、有識者も仰け反る予想外の結果。

テレビもラジオも新聞もないもので、情報は意識的に取りに行かないと、すぐに置いて行かれてしまう。
「え、哀川さん知らないの?!」と言われるたびに、私の中の負けず嫌いの血が騒いでいた。

だが、最近はむしろ尊敬の眼差しを向けてしまう。よく疲れないなぁ、と。

少し前までは私もテレビを見ていたし、新聞も読んでいた。その頃だって疲れを感じることはなかったし、むしろ「知らない」ことが不快だった。人より情報を持っていないことが、損だと感じた。

テレビもラジオも新聞もない部屋に越して、もうすぐ1年が経つ。

周りの人達は、私の知らないことを知っている。最近話題の芸人の話や、テロ事件のニュースに、ぞっとする国内の刑事事件。毎日、世界のどこかで起こった出来事を、誰もが同じテーブルについて「あぁだ、こうだ」と言い合っている。
ほうほう、そんなことがあったのかと調べてみても、翌日には「あの芸能人が結婚した」と、昨日の事件はどこかへ消えてしまう。

その入れ替わりの早さは、量は、情報リソースの乏しい私からすると、氾濫した川のように激しい。
みんなと一緒に川に入らないのは、それはそれで寂しいのだが、陸生活も悪くない。この川を俯瞰した景色は、なかなかに壮絶だ。

もし見てみたい人は、1ヶ月くらいテレビ断ちしてみるといい。テレビを全然見ていないという人も、新聞を全然読まないという人も、私よりたくさんのことを知っているから。

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