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姉が生き抜いた証

私の姉は12年にも及ぶ癌の闘病生活の末に亡くなりました。

私はただ姉の死を悲しむだけでなく、姉を尊敬しました。

姉は癌が発覚して治療を始めてから、癌患者が心を痛める問題は数多くあると実感したのでしょうね。
その中で、姉はがん治療により髪の毛が抜け落ちてしまう外見上の問題に注目していました。

いつも綺麗だった姉が考えるのは当然だと思います。自分の髪の毛が抜け落ちるなんてどれだけショックだったでしょう・・・。

姉が癌治療を始めた病院は大病院でありながら、『癌患者の会』というものがなく、不安で苦しい日々を過ごしていた患者さんが多くいたようです。

そこで姉は早速『癌患者の会』を立ち上げました。最初は数人の小さな会だったようです。

でも、どんどん仲間は増えていきました。そこで昔から得意としていた手芸を活かして、姉が作成を開始したものがありました。
癌患者さん用の帽子でした。

癌患者さん用の帽子はすでにたくさん発売されていました。でも可愛いものが少なくて何より癌患者さんにとっては高価(1枚2,000円〜10,000円以上するものもある)であったということを問題視していました。

そこで低価格の生地を集めて、自分たちの手で作り出したのです。デザインも考慮して可愛いもの、リバーシブルで使い勝手もいい、そして何より300円程度の安価な帽子!

これは大変好評をいただいたようです!
この様子を知った病院の医院長や看護部長からは、部屋を貸し出すからぜひ活動を続けて行って欲しいとお願いをされるほどになったようです。

病院側からのバックアップをいただけるようになり、ますますメンバーは増えて活動は発展していきました。

姉は絶大なる信頼を得て、癌患者やその家族へ向けて尽力していました。

姉の自宅には癌患者さんから電話が頻繁にあったようです。治療が辛くて先が見えないという相談事が多かったようですが、自分自身も辛い中で必死に励ましてきたというのです。

そして癌患者の仲間でハワイのホノルルマラソンにも参加もしているのです。

『がんサバイバーホノルルマラソンツアー〜走れるほど元気になったのではなく走ったから元気になった〜』
『命はやわじゃない』

この題名が書かれたDVD−Rの存在を姉の亡くなった後に知りました。
私は中身をまだ見ることができていません。

でも、姉の子供たちが持っていたホノルルマラソン参加時の写真で姉は笑顔でした。
ホノルルマラソンに参加している姿、完走できた時の姿は、神々しいほどに眩しく見えました。

その他にも婦人科の担当医師の学会では同席して、患者としての言葉を述べることもあったようです。

なんていう人なんだろうと思いました。私の知らないところでこんなにも強い意志で戦ってきたのかと私の胸は詰まりました。
涙は止まりません。

今は『患者の会』も新たな人に引き継がれています。
担当医師も看護師さんも皆さんが姉のことは「記憶に残る方です」と言ってくれました。

この言葉は私の心を強く強く揺さぶりました。

なんて偉大な姉なんだ・・・。
姉の命は最大限に貢献し、人の記憶に残る人だった。

人の記憶に残る人物になれるって、本当に素晴らしいことではないでしょうか。本当に尊敬する姉の生き方です。

私はここでうずくまり、何もせずにこの命を終えるわけにはいかないと強く感じました。

私が看護師となり幅広く経験してきたことも、今こうして新たな自分への挑戦をし始めたことも、全てには意味がある。

だから止まることなく歩かなければいけないという気持ちでいます。

私に何ができるかはわかりません。それでもいい。今できることをする。

それは私の明日へとつながり、誰かの未来につながる。

お姉ちゃん、ありがとう。尊敬するお姉ちゃん。大好きなお姉ちゃん・・・。

次回は姉よりも少し先に亡くなった父親のお話をしますね。
人の死に関わることは重たい話だと思いますが、読んでいただき感謝いたします。

このページであなたの心にも何か届くものがあればいいなと思っています。

みなさんのお役に立てるよう、人間力向上のため使わせていただきます!