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ノッキングとは?エンジンオイルに影響はある?症状や対応策を解説します

3級整備士の闇です!
第65回の今回はノッキングについて書いていきたいと思います。

車を走らせているときに、エンジンから「ガラガラ」や「カリカリ」といった異音がしてきたり、これらの音とともに車が大きく揺れたりすることがあれば、ノッキングが起こっている可能性があります。エンジントラブルを原因とするケースもあり、放置すれば知らない間にエンジンに致命的なダメージを与えることがあります。
そこで、今回はノッキングの原因から対策法を解説し、併せてエンジンオイルへの影響についても触れていきます。


〈ノッキングとは〉

ノッキングの原因にはいくつかの種類があります。特に問題にすべきなのは、エンジンノックと呼ばれるエンジン内で生じる異常燃焼によって生じるノッキングです。正しい理解があれば、エンジンにかかる負担を軽くすることができるので、それだけ車に長く乗り続けていくことができるようになります。
ここでは、ノッキングが起こる原因とノッキングがエンジン、そして車に与える影響について解説していきます。

〈ノッキングの原因〉

シリンダー内で本来とは異なるタイミングで混合気が発火してしまうと、ピストンが想定外の動きをするためにエンジンに大きな負担がかかります。このときに発生する異音や振動を感じる現象がノッキングと呼ばれるものであり、エンジン内部での燃焼サイクルに異常が発生していることのサインです。
プラグの劣化など点火系の故障や、燃焼室に溜まったカーボンによる異常燃焼、不適切なオクタン価のガソリン使用、あるいは素人によるパーツ交換やチューニングなど、ノッキングが起こる原因は様々です。さらに、ピストンの摩耗やバルブなどガスケット類の劣化によりエンジンオイルが誤って燃焼室に侵入するトラブルである「オイル上がり」や「オイル下がり」がノッキングの原因となるケースもあります。

〈ノッキングによりエンジンオイルをまき散らすことも〉

異常燃焼によるノッキングは、致命的な故障やトラブルのリスクを高めます。クランクケース等が損傷すればエンジンオイルをまき散らしてしまうこともあり、そうなるとエンジンの停止の恐れも出てきます。


〈ノッキングの具体的な症状〉

ノッキングとひと口に言っても、実際にみられる現象は様々です。ここでは、エンジン内でどのような症状が起きているのか、ガソリン車とディーゼル車についてそれぞれ詳しく解説します。

〈カーノック〉

カーノックとは、主にMT(マニュアル・トランスミッション)運転中のギアの操作ミスによって起こる、車体がガタガタと揺れる症状です。加速時や減速時などエンジンの回転数が低いときほど振動が大きくなり、目立って感じられることが多く、クラッチの繋ぎ方がうまくいっていないときにも起こります。
ただし、AT(オートマチック・トランスミッション)車でカーノックが起こる場合、エンジン回りのパーツの劣化や破損が疑われるため、早めに点検を依頼してください。

〈プレイグニッション〉

プレイグニッションとは、本来想定される点火タイミングよりも前に自然燃焼してしまう症状を指します。プレイグニッションが起きると圧縮中に燃焼が始まり、ピストンの上下運動に異常が生じます。そして、その後にスパークプラグによる燃焼が続くことで燃焼圧力と燃焼温度が急上昇し、複数回の燃焼による衝撃が引き金となってノッキングを誘発することになります。
プレイグニッションの発生原因としては、燃焼室内に堆積したカーボンなどの不純物が火種となる、あるいは質の悪いガソリンの使用により通常よりも早く引火することが考えられます。金属を叩くような異音と振動を同時に感じたらエンジンに異常が起きている可能性が高いので、点検に出すなど早めに対処してください。放置すれば最悪エンジンが焼き付きを起こす恐れも出てきます。

〈デトネーション〉

デトネーションとは、本来の点火タイミングであるスパークプラグによる発火後に、別の火種によって意図しない未燃焼部分で発火してしまうことを言います。
デトネーションの発生原因としては、エンジンの異常加熱による燃料への自然着火や、ピストンの圧縮により高温になった混合気が火種となってピストン下降時の不必要な爆発が考えられます。また、高圧縮比・高ブースト状態、あるいは仕様水準を下回るオクタン価の燃料使用時に発生しやすいという特徴があります。
デトネーションによって生じた圧力は、火炎伝達速度を上回る音速で燃焼室内に伝わり、不規則かつ超高温の異常燃焼を惹き起こします。このとき、ピストンやシリンダーがイレギュラーな動作を余儀なくされるため、「キンキン」といった異音が発生します。高温の火炎の破壊力によりエンジン内部の様々なパーツに損傷をもたらし、エンジン自体に致命的なダメージを与えることもあります。

〈ディーゼル車のノッキング〉

ディーゼル車のノッキングは、ディーゼルノックと呼ばれます。低回転でアクセルペダルを踏み込んだときに「ガラガラガラ」と音を立てながら振動する事象です。
これは、ディーゼルエンジンの自己着火という燃焼システムが惹き起こすもので、噴射された全ての燃料が燃え尽きる前に次の噴射による新たな爆発が起こるため、シリンダーの内圧が急上昇して騒音や振動が発生してしまうのです。そのため、エンジンはノッキングにも耐えられるよう強い構造を持っています。
音が気になる場合は、セタン価の高い軽油を使用する、圧縮比を上げてシリンダー内を高温状態にするなどの工夫で軽減できます。


〈ノッキングの対策法〉

ここでは、ノッキングが起きたときの対策法と、エンジンの正常な動作を保つことにも繋がるノッキングの予防策について解説していきます。

〈最適なオクタン価のガソリンを選ぶ〉

ノッキングへの対策としてまず行うべきなのは、車に最適なオクタン価のガソリンを選ぶことです。
一般的に、オクタン価が低くレギュラーで性能を発揮するタイプの車にハイオクガソリンを入れても、ハイオクガソリンの優れた特性を活かせるポテンシャルを車が備えていないことから、効果は期待できません。
一方、ハイオク仕様のエンジンに、燃えやすいレギュラーガソリンを給油することは避けてください。圧縮比が高いハイオク仕様エンジンで異常燃焼が頻発すれば、熱エネルギーのロスが大量に生まれ、エンジンのパワーダウンや、ノッキングに伴う音や振動がエンジンへダメージを与える恐れがあります。

〈ピストンに付着したカーボンを落とす〉

エンジン内部の燃焼室やピストン、あるいはシリンダーヘッドに溜まったカーボンが火種となって混合気の異常燃焼が起こり、ノッキングが発生することがあります。渋滞時の低速走行や「チョイ乗り」と言われる短距離走行を繰り返すと、エンジンが温まりきらないため、燃えカスであるカーボンが堆積しやすくなります。
多走行車の場合、エンジンのオーバーホールによる洗浄が根本的な対策となります。ただし、カーボンを溜め込まないためには、普段から車の乗り方に気を遣うことも大切です。
たとえば、高速道路で中回転域を保った低負荷のクルージング走行を月に1回の頻度で行っていけば、燃焼効率の改善により溜まったカーボンを落とすことができます。また、このようなクルージングは、燃焼ガスから発生した水蒸気のエンジンオイルへの混入や燃料希釈状況を改善し、エンジンオイルのコンディションを回復させることにも繋がります。
エンジンのコンディションで気になる点がある場合は、お店にメンテナンスを依頼してください。

〈燃料添加剤を使用する〉

燃料添加剤を定期的に使用することにより、エンジン内部に溜まったカーボンや不純物を除去することができます。異常燃焼を惹き起こす要因ともなるこれらの汚れがなくなれば、エンジンが本来の性能を取り戻します。燃焼率が向上するので、ノッキング発生の抑止効果が期待できます。

〈エンジンの負担を減らす〉

長時間の高速走行や山道・坂道などでの登り走行が続く状況もまた、エンジンにとっては過酷な状況となり、ノッキングを誘発します。加速時や登坂時にエンジンから異音が聴こえてきたら、軽いノッキングが起きているサインです。アクセルを少し緩めれば収まることがほとんどですが、ノッキングが続けばエンジン損傷の恐れも出てきます。状況が変わらなければ車を停め、エンジンを休ませてすぐにお店へメンテナンスを依頼してください。

〈スパークプラグを確認する〉

ガソリンエンジンは、スパークプラグが飛ばした火花が混合気に着火することで始動します。この火花を発生させる電極部分は、着火時の放電の繰り返しはもちろん、燃焼時に高圧高温の過酷な環境に置かれることにより経年劣化は始まります。
異常が疑われるときには、スパークプラグを外しての点検が必要になってきます。電極が摩耗し常に火花を飛ばせなくなると、ノッキングが発生するリスクが高まります。

今回はノッキングについて話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!

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