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【私の十界論】畜生界…「自分が良ければいい、弱いやつが悪い」

中途で入社した会社には同期が二人いて、そのうちの一人は新卒の男の人だった。アルバイトもしたことがないらしく、働くことにとても一生懸命だった。

その会社は新卒を取るのが久しぶりで、教える人がかなり年上のおじさんだった。昔ながらと言えばいいのか、技は見て盗めというタイプで、あまりその人に丁寧に仕事を教えていなかった。

そのくせミスをすると怒鳴るし、感が悪いと言ってその人をけなしたりしていた。その人は確かに仕事を覚えるのが遅かったけど、教え方も悪かった。

私は経験者だったので、よく比較された。この子はできてるのに、なんでお前はできないんだと言われている彼を見て、私は何も言えなかった。かわいそうだけど、仕方ないと思っていた。もっと上手くやればいいのに。と、その人を下に見ていた。

相当ストレスが溜まっていたのだろう。その人は突然会社をやめてしまった。

そしてその数年後、心のバランスを崩して今度は私が辞めることになった。私は、人を動かす仕事が全然できなかった。みんなの意見に流されて、みんなが不満を言ってくることに耐えることもできなかった。

その時、できない自分を一番責めていたのは自分だった。「もっと上手くやればいいのに。」かつての同期に抱いていた気持ちは今度は自分に向けられていた。

畜生の心にあるのは自信のなさだと思う。自分の目で見たものを信じられないから、まわりの評価をそのままその人の評価だと思ってしまう。

今は、そういう心になっているなと気づいたら、「私は、私の感覚を信じるよ」と言ってあげている。

畜生という言葉は、もともとは獣や鳥などの動物を指します。畜生界の特徴は、目先の利害にとらわれ、理性が働かない「愚かさ」です。大聖人は「癡かは畜生」と説かれています。因果の道理が分からず、正邪・善悪の判断に迷い、目先の利害に従って行動してしまう境涯です。また「畜生の心は、弱きをおどし、強きをおそる」(957㌻)、「畜生は、残害(=傷つけ殺すこと)とて、互いに殺しあう」(1439㌻)と仰せのように、畜生界の生命は、理性や良心を忘れ、自分が生きるためには他者をも害する弱肉強食の生存競争に終始していく境涯です。目先のことしか見えず、未来を思考できない愚かさの故に、結局は、自己を破滅させ、苦しむのです。

創価学会HP
https://www.sokanet.jp/kyougakunyuumon/kyougakunyuumon/jyukkairon01/