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【私の十界論】餓鬼界…「もっと欲しい、まだ足りない」

小さい頃から、絵が好きで、大人からも絵が上手ねと褒められて育ちました。小学5年生のときには自然と漫画クラブに入りました。

そのクラブでは、面白い漫画は学校の掲示板に貼られることになっていました。私は、自分の絵に自信がありました。でも、何作書いても、なかなか掲示板に貼る作品には選ばれませんでした。だんだん、自分が認められないことが不安で仕方なくなりました。

ある時、たまたま家に来ていた兄の友達が自作の4コマ漫画を見せてくれました。すごく面白くて、私はそのアイデアをまるまる盗んで自分の作品にしました。その漫画は見事掲示板に貼られ、みんなから褒められました。

それから私は漫画クラブをやめてしまいました。

私はみんなから認められたいという欲のために、人のものを盗んでしまったんです。もう、何も描く気になれませんでした。

餓鬼界は、欲を自分の外に求めます。本当は、自分が認めてあげればよかったんです。「私は私の絵が大好きだよ」と。

古代インドにおける餓鬼のもともとの意味は「死者」のことです。死者が常に飢えて食物を欲しているとされていたことから、とどまるところを知らぬ激しい欲望の火に、身も心も焼かれている生命状態を餓鬼界と表現します。
大聖人は「貪るは餓鬼」、また「餓鬼悲しむべし。飢渇にうえて子を食らう」(1439㌻)と仰せです。飢えて子まで食べるというような貪り、すなわち際限のない欲望にふりまわされ、そのために心が自由にならず、苦しみを生じる境涯のことです。
もちろん、欲望そのものには善悪の両面があります。人間は、食欲などの欲望がないと生きていけないことも事実です。また、欲望が人間を進歩、向上させるエネルギーとなる場合もあります。しかし、欲望を創造的な方向に使えず、欲望の奴隷となって苦しむのが餓鬼界です。

創価学会
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