【私の十界論】餓鬼界…「もっと欲しい、まだ足りない」
小さい頃から、絵が好きで、大人からも絵が上手ねと褒められて育ちました。小学5年生のときには自然と漫画クラブに入りました。
そのクラブでは、面白い漫画は学校の掲示板に貼られることになっていました。私は、自分の絵に自信がありました。でも、何作書いても、なかなか掲示板に貼る作品には選ばれませんでした。だんだん、自分が認められないことが不安で仕方なくなりました。
ある時、たまたま家に来ていた兄の友達が自作の4コマ漫画を見せてくれました。すごく面白くて、私はそのアイデアをまるまる盗んで自分の作品にしました。その漫画は見事掲示板に貼られ、みんなから褒められました。
それから私は漫画クラブをやめてしまいました。
私はみんなから認められたいという欲のために、人のものを盗んでしまったんです。もう、何も描く気になれませんでした。
餓鬼界は、欲を自分の外に求めます。本当は、自分が認めてあげればよかったんです。「私は私の絵が大好きだよ」と。