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「華触の典」を支える技術

先日、18禁触手BL調教シミュレーション「華触の典」をリリースしました。

公式サイト
DLsite.com(DL版・動画版)
アニメイトゲームス(DL版)
フロマージュ(パッケージ版)
ステラワース(パッケージ版)
BOOTH(DL版・パッケージ版)

今回は、このゲームの制作過程や制作する上で考えたことなどを書いていきたいと思います。
有料部分では、無料版より踏み込んだ話や実際のスクリプトファイルなども公開しています。

制作開始までの話

サークル2作目の有償ゲームが大爆死に終わり、私は意気消沈していました。
何が良くなかったのか…何が悪かったのか…わかっていることは一つだけでした。

18禁じゃないと売れない…!

これはもちろん、やっかみを含んだ根拠のない思い込み、すなわち現実逃避だったのですが、1年以上の長きに渡ってエロのない、ブロマンスと恋愛の間みたいなゲームを作り続けていた私には確信がありました。

私の筆がもっとも輝くのは、BLのエロなのだと。

過去のnoteを読んでいただければおわかりいただけると思いますが、私がもっとも得意とするのはBLのエロなのです。
ロマンスは書けなくてもセックスは書ける。ならばセックスを全面に打ち出したゲームをこそ作るべきではないか。

かくして、コンセプトは決まりました。

コンセプト

この時点で、コンセプトと合致するプロットは3つほどありました。

しかし、制作費の目当てにしていた前作の売上はほぼ皆無。
可能な限り手弁当で次回作を賄わなければいけません。

特に今回は、ただの18禁ではなく、「エロ」を全面に打ち出したゲームです。

その上女性向けゲームは、絵柄の綺麗さが命です。

男性向けのように、ヘタウマな絵の方が抜けるという概念は存在しません。なぜなら抜かないからです。

潤沢な制作資金がない以上、最悪の場合、ゲーム中のイベントCGを自分で描くことになるかもしれない。
私の画力についてはお察しいただければと思いますが、画力も絵柄も、お世辞にも美麗とは言えません。

エロともなれば、複数の人間の体がくんずほぐれつ絡み合う構図を描くことも必要になります。

しかしそれでは、絵を描く難易度が爆上がりします。

ではどうすればいいか…
複数人の絡みよりは、単独の人物のあられもない姿の方がまだ描きやすい。
それでは人間相手の絡みにしなければいい!
そう、触手です。

シナリオとボイス

ゲーム制作するときの個人的なコツとして、「まずシナリオを書き上げる」というのがあります。
これは過去に数多のゲームをエタらせてきた経験からくる確信であり、シナリオができてさえいればあとはどうにでもなるのです。

というわけで、サクッとシナリオを書きました。
執筆期間は半年ほどでしょうか。
文字数は9万字強、うちエロシーンは8割ほどです。

セリフが確定した段階で、キャラクターのCVを募集しました。
今回の場合ですと、全文字数中、約半分がセリフに当たります。

CV募集はTwitterを利用することが多いです。
プラットホームを利用する場合、ココナラiicoeこえせん等が有名所でしょうか。
注意点として、ココナラはアダルト系の依頼がNGです。他のプラットホームを利用する際も利用規約はよくよく確認しておきましょう。

声優さんが決まり、台本をお渡しして、納品されたボイスをチェックします。
フルボイスゲームを作っていていちばん楽しいのがボイスのチェック作業です。

特に今回は、18禁ゲームということであんなボイスやこんなボイスをお願いしていたのですが、見事に演じきってくださっていて大変ありがたかったです。喘ぎ声たすかる

グラフィックをどうするか問題

楽しい時間はまたたく間に過ぎ去り、厄介な問題に向き合う時間になってしまいました。

一応、初期段階ではイラストレーターさんに立ち絵とスチルを依頼するつもりでいたので、まずはどれだけ描いてもらう必要があるのか枚数を洗い出しました。

基本CG:40枚
差分込み:290枚

いやいやいやいや……無理でしょ……

仮に基本CG1枚1万円、差分1枚あたり3000円とお安目に見積もったとして、40×1万+250×3000=115万円!!!!!!!!

いやいやいや、無理!!!!!!!

しかしこの分量を自分で描くのも無理だろと思ったので、一縷の望みをかけてSKIMAでイラストレーターさんを募集してみました。
何人かの方に応募していただき、見積もりも出してもらいましたが、まあ…はい…そうですよね……

車でも買うの?みたいな額がかかることがはっきりしたことで、私は決意します。

自分で描こう…………

私にこう決意させた理由はふたつあります。

・見積り金額の大きさ
・スチル分量の多さ

前者はもとより後者が深刻でした。
差分込み290枚も描くのですから、納品完了までにかなりの長期間がかかるでしょう。
ということは、イラストレーターさんの環境に何らかの変化が起き、依頼を続けられなくなるリスクも増えるということです。

万が一依頼した方がなんらかの事情で依頼を完遂できなかった場合、またイラストレーターさんを探すところから始めなければいけません。
たとえ最初に依頼した方が何点かスチルを納品していたとしても、別の方にその続きからお願いします、なんて簡単にお願いできるものでもありません。

であれば、自分で描くのがいちばんリスクも、コストも低い。

かくして私は、差分込み290枚のスチルを描くことになりました。

制作期間はおおよそ9ヶ月ほどでしょうか。おそらくこれまでの人生で、これだけの頻度で絵を描いたことはありません。

システムをどうするか問題

スチルを(渋々)描いている間に、ゲームのシステムの方も組み始めました。

といっても、今回はゲーム自体のシステムはそれほど複雑でなく、プレイヤーが自分の読みたいシナリオを選んで読んでいく、という形式です。

なので、ゲーム本編よりも、コンフィグなど機能面でのカスタムが多かったです。

今作で導入したシステムはこんな感じです。

・ボイス再生に合わせた口パク
・ボイスのリピート再生
・ボイスのお気に入り登録
・バックログでのボイス再生

細かいものはもっといろいろありますが、それは有料分で説明します。

上記の機能はすべてプラグインとして公開しているので、気になる方は後述のプラグインをチェックしてみてください。

広報をどうするか問題

これまでそこそこの数のゲームを制作してきましたが、「広報」というものを意識したことはありませんでした。
せいぜい、ゲーム公開後に何度かゲーム紹介ツイートをするくらいです。

しかし前作の大爆死を経たことで、これではいけないという思いも大きくなってきました。

そこで、2021年の10月頃から、Twitterでゲームの広報っぽいツイートをはじめました。
それまでは日常ツイートもしていたのですが、そちらは抑えて、ほぼ毎日、画像つきでゲームの内容を紹介するツイートをするようにしました。

また、プラグインの更新情報など、ティラノ関連ツイートを別アカウントに分離しました。
これにより、サークルアカウントの方はよりゲームの公式Twitterっぽくすることができました。

今作に関連して気づいたことnote

今作のために作ったプラグイン

↓セーブ・ロード画面に使用

↓コンフィグ、Extra画面などからタイトルに戻るときに使用

コンフィグ画面からフェードしながらゲームに戻るときに使用

↓ボイスのお気に入り登録機能はこいつを使っています。

バックログのスクロールバーに使用

以下、技術的な話

ここまでお読みいただきありがとうございます。
この先は有料となります。
技術的により深堀りした話や、実際のマクロやjsファイルを見てみたい方は課金よろしくです。サークルの活動資金にさせていただきます。

有料エリアで書いていること

  • キャラクター表示関連TIPS

  • 体力増減演出

  • 従順度の値に応じて画面上の表示を変化

  • エンドロールでプレイヤーが通過したスチルのみ表示する

  • スキップ時の演出スキップ

  • オートモードの挙動改善

  • システムサウンドのbufを通常SEのbufと分ける

  • SEをフェード終了したあとに別bufでSEを再生開始すると停止したはずのSEまで再生される問題対策

  • 続・広報の話

  • 売り方の話

  • 売上の話

  • 実際にゲームで使ったマクロ、jsファイル

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