作り手から見たWebサイトの未来
Webサイト制作の仕事に携わり初めて5年が経ち、そのたった5年の間にもWebサイトの作り方は変容してきました。今回は変化として体感している部分と、これからの予測について考察します。
■これまでの歴史と5年という年月について
「たった5年で何を言っているんだ」とも思うところかもしれませんが、HTMLの概念が海外で初めて提唱されたのが30年前の1989年、平成に入ってからのことなんです。日本ではインターネットが広く普及し始めたのはそれよりも少し先、阪神淡路大震災が起きた1995年のこと。震災を機に連絡手段として必要性を認知され、同年中にWindows95が販売され一般に広まりました。
このように今では生活とは切っても切り離せないインターネットはできて間もない聡明期。新卒2年目のひよっこです。そのインターネットの世界においてに5年は長いものです。
■2007年頃までのホームページ
パソコンが主体の頃のWeb制作はシンプルでした。ディスプレイサイズは1パターン。今のようにWordPressのようなCMSは普及しておらず、静的なHTMLやCSS主体のサイト。当時のCSSでは今のような装飾ができなかったという要因もあります。
またDOCOMOのiモードをはじめとした今でいうフィーチャーフォン用のサイトもありましたよね。
■スマホが普及し始めた2007年から5年前頃の話
2007年はとても大きな出来事、iPhoneが発売されました。これまでのPC向けのWebサイトでは画面の小さいスマホで表示すると文字が小さすぎて読めません。このためPCとは別でスマホ用にページを作成する必要が生まれました。
今でも時々見かけますがURLに /sp とつく、別ページを用意する手法が取られ。その後に今も主流の共通のページを画面幅によって表示を切り替えるレスポンシブの手法が普及し始めました。
■5年前からこれまでの変化
まず、様々な画面サイズ、様々な画面比率のデバイスが世界中で次々に発売されました。PCにスマホにタブレットにゲーム機器などなど。ブレイクポイント(PCビューとスマホビューが切り替わる分岐点)は人それぞれ作り方によって様々な手法があり、対応すべきパターンが増加。事前にきちんと取り決めて対応する必要ができました。
業界に衝撃が走ったのが、iPhoneX。もはや正方形ですらない画面サイズが出現しました。あのカメラとベゼルの間の微妙な隙間をどのように対応するかドギマギしました。
最近のニュースでいうと、ファーウェイから折りたためるディスプレイが発表されました。あの折りたためるディスプレイでブラウジングした時、どのようにサイトを表示させましょうか。表現の手法が広がるのと引き換えにWebサイトの対応はより高度なものが求められます。
ここ数年はデザイナーはPCビュー・タブレットビュー・スマホビューのデザインを用意すればOKでした。これからはどうでしょう?
■そしてこれから
これからはデザイナーは主となる一つのデザインを用意し、コーダーがクライアントから要望のあったデバイスを最低限に、共通認識としてあらゆるデバイスに脳内変換して対応するスキルが求められるでしょう。デザイナーがあらゆるデバイスに対応させようと思うといくつデザインが必要になるか分かったものではありません。
折りたためるディスプレイのように特殊なカタチのディスプレイは既に今色々と発売を控えています。巻き取れるディスプレイや円形のディスプレイ。また、別の角度からはネット接続できるウェアラブル端末やVR端末など続々と新技術が出てきています。
■さらに未来は
近い将来、Webサイトは面でなくなるでしょう。近年よくニュースになっているVR端末や、次に来るであろうホログラムといった立体を出力デバイスで面で表示していてはかっこ悪いですから。
ホログラムの開発は私の母校でも盛んに研究されていましたし、「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という言葉があるように、SF映画で描かれるような空想は実現される方向にエネルギーが働きます。
立体に表示される時代になった時、Webサイトはどういった在り方になるでしょうか。深度を持った表示になるかもしれませんし、もはや時代遅れの発信手段になるかもしれませ。
実際これはまだ未来の話だからわかりませんが、Web制作に従事する身としては、向かう先の未来は念頭に入れておくべきかなと思います。
以上、私が実感するWeb制作の現場の変容と、未来でした。
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