見出し画像

今川焼きとハツ焼きで盛り上がる場

まだ終わってはないが2月は色々あった。
1年間無職でいて目減りし続ける口座預金と睨めっこしながらようやく意を決したように通院先のソーシャルワーカーに相談をして就労移行支援事務所の見学の予約を取り付けた
来週ももう一件見学に行かせてもらう

はじめての就労移行支援事務所

余裕を持って行こうとしたら余裕を持ちすぎて15分前に到着してしまい、近くのカフェでお茶を飲んで時間を潰すにも時間は足りず仕方ないので事務所の近くを歩いていた
気がついたら5分前という時間になっていたので少し焦りながら事務所のドアを開けて見学の予約をしていた者だと自己紹介をするとロビーか居間のようなところでよかったらこれから朝礼(時間的には昼礼だが)をするのでよかったら参加しないかと言われたので促されるままに参加した
他の利用者達が2人ほど集まって雑談をする中異物の私は目立たぬようにとすみっこの席で渡された事務所のパンフレットを見ていると管理者のような人がやってきて朝礼を始める挨拶をした
曰く、この事務所では朝礼の時に自分の名前とこれから行う予定の確認、それから何か1つお題を出してそれの回答を出すのだという。
好きなサンドイッチの具材やお題はなんでも良いという、それならまぁ答えるのも苦では無いなと思っていたら「じゃあ今日のお題は何にしようか」との声がする
あっこれ利用者側も考えなきゃいけないやつか。
そらそうだ、利用者かて社会参画の一員だ。上司の出された提案におんぶに抱っこで答えるだけじゃいけないんだ、ここでは提案する力が試されるのだなお手並み拝見だと思っていると誰も手を挙げようとしない。
嘘だろ、と思いながら1つ思いついたのでおずおずと手を挙げた見学者の「馴染みのある今川焼きの呼び方」というお題が採用され、思った以上に盛り上がった。
その後施設管理者と就労移行支援事業所という場所の説明や割と私が突っ込んだ質問をしたことなどもあって見学は面談のような様相と化し、一時間半程で見学は終わった。

医食同源としての焼き鳥

 そんなこんなで駅まで戻って昼食もまだだったので適当な店に入ろうとも思ったが既に時間は夕方に片足を突っ込んでいてカフェというには軽く、夕食というにはあまりにも早い時間だった。
俺の腹は何を求めているのかと、井之頭五郎のように自分の空腹に問いかけてはみるが返ってくるのは「落ち着いた場所でなにかコーラを飲みたい」というざっくりとした要望しか返って来ない。
ええいままよ、とランチ営業からずっと夜まで営業している居酒屋に入った。当初予定していたコーラは角ハイジンジャーに変わり、隣のサラリーマンの羨望の視線を横に壁に貼られたメニューのハツ焼きを2本頼んだ。
バイトの女の子がチャッカマンを片手にガス台に火をつけ私の注文したハツ串をじくじくと焼いていく。
角ハイと一緒に出されたお通しのポテトサラダも嬉しい、目の前で焼かれてゆくハツの香りもだが実際になにかを口にしながら酒を飲むというのは良い。なにかの煮物に入っていたであろう醤油で濃く色付けされた生姜がポテサラの味を一つ奥深いものにしていた。
元気が無い時、元気をいつもより使った時は気持ち焼き鳥屋か餃子の王将に行く事が多い
どちらも行けば大抵レバーを使った料理がある、貧血がちな人間として外食で手軽に出来立ての焼きレバーが食べれるのはありがたい
目の前で焼かれていたハツがじくじくと油が煮えたぎる音を立てながら供される、一口頬張れば肉汁とも血液とも判断出来ないものが溢れ出る
レバーを、ハツを、ホルモンを食べる時いつもより多くの咀嚼が必要とされる
命を食べる、この咀嚼がまた一日を生きるための咀嚼なのだ

医食同源ではないが鉄分が足りない時に肝臓を食べるように、元気が無い時に補うものはおそらくハツだ 心臓だ
ハツ焼きを噛みしめる、これはきっと数日前まで鼓動を刻んでいた名前も知らぬ鳥の心臓
鳥よ、君の心臓は私の中でエネルギーとして循環してゆく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?