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エヴァと私の10年間。

新劇場版 ヱヴァンゲリオン(完結編)が公開された。
テレビシリーズ、旧劇、新劇と見たが人生を通してハマるほどでもなく、所謂「オタクの嗜み」としての視聴であった。
その為公開初日の初回に行くような熱心さは持ち合わせておらず、まぁ最初の週には見に行こうかなというレベルである。
序の公開は2007年である、あれから13年経ったのかと、金は出すから代わりに買ってくれと親に頼まれた序のDVDを思い出す。

初めて買ったアニメ映画円盤

父は2010年の11月に他界している、肺がんだった。
私が生まれてすぐの時高熱で苦しんでいる娘を横に、パチンコに行くような人間だった。新台入荷に抗えない人種だった。
そんな父が生前、当時高校生だった私に代わりに買ってくれと頼んだのがエヴァ序のDVDだった。
映画館まで1時間半かかる町で夜勤勤務だった父にとっては公開終了し半年以上経った円盤が最新だった。
近所の店で買ったのかAmazonで買ったのかは覚えていないが父の代わりに円盤を買い渡すと嬉しそうにしていたのを覚えている。
この頃には肺がんが判明しており、仕事の日数も減らし病院に行くことも多くなっていた中での密かな楽しみだったのだろう。
その後私は大学へ進学し地元を離れることになった。
結局父が見ることができたのは序と破の2本だけだった。
もしかしたら入院で見れたのは序だけだったかもしれない。

延期に次ぐコロナ禍での再延期

他界した父は2012年公開のQを見ることが出来なかったので、大学の夏休みの帰省にQの円盤を買って仏壇に備えた。
まさか円盤も再生される前に仏前に置かれるとは思うまい、部屋にお鈴の音がこぉんと高く響いた。
それから8年ほどエヴァは音沙汰が無かった。
途中「シン・ゴジラ」を挟み、2020年完結編が公開される予定だった。
ご存知新型コロナである。
結局延長に次ぐ延長、更に追い討ちをかけるような緊急事態宣言により再延長がこのたび解除されようやくエヴァは公開され劇場で物語は完結した。
私より作品を楽しみにしていた父は完結編どころか、破での旧作との異なる作品展開を見せられ混乱を残し続きがいつ見れるのかわからないまま逝った。
父が見たかった作品を私が代わりついでに見に行く行為は、何なのだろうか。
慰霊か親孝行か、或いはもっと適切な言葉何かあるんだろうか。
生きてるうちに親孝行をしておけば、という話に対する死後も出来るという話でもなく
結局私が見ても父が見たことには一切ならないし、私が勝手に父のために何かをしたという後付けの理由が欲しいのだろうとも思う。

エヴァ完結おめでとうございます。
父よ、購入出来れば仏前にパンフレットが供えられます。

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