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夜が明けて


YON FES 2022が終わってしまった。いや、家に帰り着くまでがヨンフェスと言うのならば、今は東京に帰る新幹線の中でこれを書いているのでまだギリギリ終わっていない。終わらないでくれとこんなにも思うのは、私がフォーリミのこと大好きだからなんだろうな。まあでも終わらないと次が始まらないのも確かなので、当分はこの余韻を感じながら来年の開催を待ちます。

実はヨンフェスに参加するのは今回が初めてだった。正確には、初めて参加する予定だったのが2020年のヨンフェスだったので、ぽっかり2年くらい宙ぶらりんになってしまっていた。
というのも単純に4月の第1週土日、仕事が休めない。年度始めだし、繁忙期だし、そうでなくとも土日は休みづらい職場だ。フォーリミが主催しているフェスだというのは知っていたが、まだその頃は音楽にクソデカ感情を抱いていなかったので、ここまでライブに参加してなかったしもちろん遠征とかもほとんどしていなかった。わざわざ無理して仕事を休んでまで愛知に行くのもなあ、なんて思っていたのが2019年初頭。その後、5月のメトロックあたりで本格的にフォーリミのことが好きになりはじめ、9月にYON EXPOを見て「来年のヨンフェスは行かなきゃ駄目だ!!!」と強く決意した。そうしたらあんなことになっちゃった。
この情勢の中で特に強く感じた「奪われた」感覚って、私にとってはフォーリミ関連が多かった気がする。途中からはもう、ライブやイベントが中止になることも「ああ、仕方ないよな」っていう諦めになってしまったので。

という訳でぽっかり空いてしまった丸2年を経て、ようやく参加できたヨンフェス。一言で表すなら、「愛」だった。あの空間、まじで「愛」しかないとか思っちゃう、ヤバイ。抱きしめてると死んでもいいやって。なんてね。

入場ゲートやフォトスポット等の会場内の装飾も、ゆるりとした開会宣言も、初日Hump Backから始まったのも、2日目のハルカミライの熱量も、全てのアーティストが鳴らす音ひとつひとつ、喋る言葉ひとつひとつ、なんかもう全てが「愛」だった。
私にとってはよく知っているアーティスト、曲はなんとなく聞いた事あるけどちゃんとライブを見たことがないアーティスト、全く知らなかったアーティスト、様々だったけれど、きっとこの出演者たちも、出演順も、本当によく考えられてるんだろうなって思ったりした。これしかないって感じだった。特に2日目なんて、トップバッター・ハルカミライの強すぎるステージの後で空気を変えられるのは四星球しかいないし、そんな四星球の空気を変えられるのはCrossfaithくらいしかいないでしょ。陰キャ代表・ハンブレッダーズが「陰キャが一番良いライブしてたってところ、皆見たいんでしょ」とバチバチに下剋上宣言して煽った後に浴びるWANIMAの圧倒的な“陽”のオーラはその対比に感動するくらいだったし、その後のSaucy dogはそのゆるっとした雰囲気と良い歌で場を一体化させるの、もはや恐ろしさを感じてしまった。個人的には初日のサスフォーとエイジがかなりグッと来たので、近いうちにライブハウスとかで見てみたいと思います。
そうして両日ともにトリのフォーリミ。なんかもうさーーーーーー好きしかないんだよな。本当に「楽しい」「やれてよかった」って感情が全身から滲み出ていて、とても良かった。YON EXPO'21ではアコースティックで聴いたBuster call、ちゃんとバンド編成で聴くのはいつぶりだろう。本人もよく自分で「歌が上手くなった」って言ってるけど、このBuster callは本当にGENくんの声の伸びが凄かった。好きだ……。初日は前方エリア取れてそれが個人的にかなり良い場所(見たい位置取り)だったのでずっとひたすら推し(私はリズム隊推しです)を見ていたんだけれども、KOUHEIさんがFeelの2番サビあたりで自分がコーラスしてない部分もずっと口ずさんでるのを見て涙腺崩壊しました。好きだ………………。2日目のスカパラ先輩達がゲストに入ったswimもめちゃくちゃ音が幸せだったな……。もうなんだ、愛しかないな……。
それから、みんなで口ずさむような声で歌ったhelloのこと。
私はずっと、この状況下においてライブ中にモッシュやダイブ、声を出すこと、その他たくさんのことを制限されたことに対して、そんなにマイナスには感じていなかった。むしろ快適にライブを見られるようになって嬉しささえ感じていた。モッシュやダイブのないライブなんてライブじゃない、みたいな意見を見る度にモヤモヤしていたし、別に一緒に歌いたい訳でもないしな、と思っていた。
でも、この日の四星球のライブでライブ中に体を動かすこと、そういえばこんなに楽しかったんだよなって思い出したし、さらに言うなら4月1日に行った別のバンドのライブで「あ、本当はライブ中に一緒に歌いたかったんだ、歌えないことがこんなに寂しかったんだ」と思ったばかりだったので、わりと素直に、みんなでhelloを歌えたことが嬉しくてたまらなかった。本当はずっとこうしたかったんだよな、奪われたものをようやく少しだけ取り戻せたような気がした。
このちいさな歌声もまだ本当はぜんぜん足りなくて、すべてを取り戻すまでにはまだ時間がかかるんだろうなと思うけれども、これは確かに大きな一歩だったと思う。希望はまだまだ捨てられないな、こんな光を見せてくれるフォーリミのことが大好きだし、これからもついて行きたいと思えるのが嬉しい。
関係ないけど、この日のクロークの番号が86番でなんとなく縁を感じた。この幸せな空間、良い時間が永遠に永遠に続きますように。フォーリミが言うのなら、永遠だって信じられるような気がする。

奇跡のような2日間だった、とGENくんは言ったけれど、私はそうは思わないよ。
フォーリミの皆が、携わったたくさんの人達が積み上げた労力の結果だよ。それは開催できなかったこの空白の2年間だけじゃなく、きっとフォーリミがフォーリミになってから、もしかしたらそれよりも前からの積み重ねが形になったんじゃないかな。こんなにも愛されているから、このフェスを成功させようと願う人たちがたくさんいたから、あんな形になったんだと思う。
愛って、かたちを持たない大きな感情だと思っていたけれども、ちゃんと目にも見えるんだね。
たくさんの愛を受け取りました、ありがとうございました。また来年、あの場所で会いましょう。その時はわたしも、今回に負けないくらいのたくさんの愛を持っていきます。夜が明けて、とれたての陽を浴びる朝を迎えに。

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