見出し画像

人生のデザイン

小さいころからかわいがってくれたおばさんが亡くなった。

通夜と告別式に参加して感じるのは、セレモニー業界の進歩だ。

例えば、お悔やみの作法って、誰もがちょっと自信がなかったりするものだ。

そんな思いをくみ取るかの如く、式が始まる前、式場の係の方が「本日の式の流れ」「焼香のお作法」などをわかりやすく説明してくれる。

式場の演出にも感心。玄関を入ったところに、故人の思い出の写真をコラージュしたボードが置いてある。遺影ではわからない、故人の生い立ちや楽しい思い出を知ることができる。おばさんが、亡きおじさんとともにコアラを抱っこするオーストラリア旅行の写真を見て、幸せな時間を想い、あたたかな気持ちになった。

出棺前の最後のお別れのときに、参列者が棺にお花を入れたり、故人の愛用品を入れたりする時間も、昔はなかった心あたたまる時間だと感じた。

おばさんは、びっしり書かれた三年日記や、気に入ってよく着ていた服、好きだったスイーツや、おじさんが愛用していた杖を入れてもらっていた。

中国だと、故人の愛用品や好物を紙でつくったものを棺に入れる習慣があって、おもちゃのお金や、紙製の自動車や果物などを売る専門店を見たことがある。

今の日本だと、かなり高性能の炉で火葬を行うため、紙でないものを入れるのもある程度許されるんだなと思った。(でも、入れるものは事前に葬儀屋さんのチェックを受けており、燃えにくいものはNGが出るそうです)

式の終わりには、もう一つ、涙を禁じえないコーナーがある。

故人の紹介である。誕生に始まり、おばさんの生涯のライフイベントと人柄を網羅した紹介文を係の方が読み上げてくれる。社交的で、自分のことより周りの人の喜ぶことを大事にするおばさんの姿が生き生きとよみがえる名文である。

ふと、自分が死んだらどんな紹介をしてもらえるのかな?と想像する。「こんなふうに紹介してもらいたい」という文を自分で書いてみたらどうだろう?と思ったりもする。「死んだときにこんなふうに言われたいな」と描いてみたら、理想の自分に向かって毎日を大切に生きられるかもね!

棺に入れてもらいたいものも考えておこうかな。何を入れてもらおうかな?

これも、ゴールを先に描く、バックワードデザインってやつですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?