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小児病棟から

私は今、大学病院の小児病棟にあるプレイルームでこの記事を書いている。

娘の手には点滴ルートが刺さっていて、静かに抗がん剤が送られている。


この子が治療を始めたのは2年と3ヶ月前。

その頃想像した未来とは かなり違う形で…現在も治療を継続している。


この子ががんだとわかった当初、闘病ブログなど書くつもりは全く無かった。今も詳しい薬の名前や治療方法を書くつもりはない。

なぜなら それは、ネットで知り得た情報に振り回される事がどれだけ苦悩と疲労を伴うものか…身をもって知ったからだと思う。

この2年3ヶ月で沢山の事を経験し、色々な思いを抱えてきた。


娘の発病前、日常の中の幸せを噛みしめる時間があっただろうかと思う。

一度この手からこぼれ落ちてしまった日常の幸せを。



娘が発病し、何ヶ月も家に戻れない日々があった。 


4人の子育てに家事、仕事。あれほど忙しく、「疲れた、少し休みたい」と思っていたあの日常が、強烈に贅沢で貴い時間であった事に気付かされた。



我が家の生活は、普通の家庭の生活とは少し違うものになったのかもしれない。

それでも我が家なりの日常は続いていく。


治療を続けながら…この貴い時間をしっかり味わって積み重ねていきたいと思う。







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