落語の三題噺を使った ブレストで効果的なアイデアをする方法

1.アイデアは何もないところから生まれない

よくアイデアを生み出すと表現しますが、アイデアはゼロから生まれることはありません。すでにあるものを違う視点からとらえることで新たなアイデアを導き出すのです。

既存の要素を組み合わせる

アイデアを生み出す方法に既存の要素を組み合わせる方法があります。これはジェームス・W・ヤング(米)が1988年に出版した著書『アイデアのつくり方』で述べられています。つまり生まれついての才能や特別な発想法は必要ありません。それよりも既存の要素をしっかりと知識として蓄えておくことが必要になります。それさえあれば後は要素を組み合わせるという手法をしっかりと訓練することでアイデアを発想することができるようになります。

情報収集

まずはアイデア発想の要素をしっかりと集めましょう。ビジネスの仕組みやそれがどういう風に成り立っているかをしっかりと理解します。しっかりと情報収集することでアイデア発想の幅が広がります。質の高い要素をたくさん取り入れましょう。またそのなかで自分に興味のある分野を見つけていきましょう。広い分野を見ていくことも大切ですが、分野を絞ってそのなかで深い知識を身につけていくことでアイデアに深みがうまれます。

課題意識

ビジネスのアイデアが生まれるのは課題意識からです。既存のビジネスがどれだけうまくいっているように見えてもそこにはユーザーの不満が存在するものです。何も考えていなければ見落としてしまうほどの些細な課題でも、そこには新たなアイデアの原石が見つかる可能性があります。課題意識を常に持っておくことが、新たなアイデアの発想の源となります。

2.ブレインストーミングから生まれるアイデア

情報収集と課題意識を持つことでアイデア創出のベースができました。ここから新たなアイデアを発想していきます。ここで使われる手法のひとつがブレインストーミングです。ブレストでは「三題噺(さんだいばなし)」を使ったアイデア出しをおすすめします。これは落語の形態の一つですが、アイデア発想のためのブレストで参考になります。

<参考>以下の記事を参考にしました。
ブレストとは何か?ブレストの意味と進め方を知らないと、時間の無駄遣いになりますよ!

三題噺(さんだいばなし)とは?

三題噺とは、落語で客席から3つの言葉をもらい、それを噺家が即興の落語に織り込んで披露するという即興演目のことです。『芝浜』という有名な落語演目では「酔っぱらい」「財布」「芝浜」というお題で構成されています。アイデア出しにおいてこの三題噺の考え方が非常に役に立ちます。実際にどんな風に応用することができるか、例を挙げていきます。

まずは、お題となる言葉を出します。お題はなんでも構いません。目についたものを列挙していくだけでもかなりの数になるでしょう。ブレインストーミング形式で言葉を並べるとひとりであっても無数の発想を言葉が出てきます。その言葉を出す基準を変えることでアイデアには限りがなくなります。

三題噺の基本-「誰が」「いつ」「どこで」

三題噺の基本は「誰が」「いつ」「どこで」を土台にして構成されます。これをブレストに応用します。まずはこれらの事項を真っ先に考えるのです。ここでいう「誰が」はお客様に当たります。自社サービスのお客様として想定する「誰が」を明確にすることでサービスの形が見えてきます。このときのターゲットはしっかり想定してください。女性、20代などアバウトなものではなく、小学生の子供がいて、10時から15時まではパートをしている主婦、といったようにビジョンがはっきりするほどアイデアの具現化につながります。

「誰が」というターゲットの設定ができれば次に「いつ」を想定します。これも同様にできるだけ具体的に、たくさんの場面を想定していきます。日曜日の昼食時に、晴れの日のサイクリング中に、など具体的に、情景が浮かぶような場面設定をしていきます。

最後は、「どこで」です。これも同様に情景が浮かぶような具体的な場面を想定して、言語化します。「どこで」については場所だけでなくシーンを想定してもよいでしょう。高校の教室で、テレビ局で、火星で、といったような具合です。

ブレストの良いところは一見すると現実味の無いような意見に思えても、それを検討する機会に恵まれるということです。それが起点となって斬新なサービスが生まれたという事例も多数あります。ブレストでは突拍子もない意見が出ると、むしろチャンスであるととらえて乗っかってみることが大切です。それこそがブレストの本領を発揮する場面といってもよいでしょう。「火星で」という意見が出れば、「ならば太陽で」「月で」「逆に海の底で」といったように通常ではなかなか出てこないアイデアとたくさん遭遇することになります。これらはすべてが貴重なビジネスチャンスの要素なのです。
もちろん、これらのアイデアはすべてメモしておきましょう。ブレストでは次々にアイデアが生まれるためメモが追い付かない場合にはボイスレコーダーを使うのもよいでしょう。ただし遅れてでもアイデアは可視化しておいたほうが良いので、ホワイトボードなどに書き込むことは必要です。

アイデアを具現化していく

ここまでの要素を5W1Hに肉付けしていくことで新規事業としてアイデアを実現に近づけていきます。

「何を」

基本の3つの要素に「何を」という要素を加えます。これは「何を解決するか」というソリューションアイデアの創出になります。顧客ニーズの何を解決するのかを明確にできればその販売手法やコマーシャライズもどうすればよいのかが見えてくるでしょう。

「どのように」

「どのように」で考えるべき点は多数存在します。どうやって採算を取るか、どうやって製品化するか、どうやって認知されるかなど、どの項目について考えるかを明確にしておくと発想しやすいでしょう。

ストーリー化

それぞれの独立した要素をつなぎ合わせてストーリー化します。要素の組み合わせを変えてストーリーをつくるのもよいですし、同じ要素から物語の展開を変えて複数の結論を導くのもよいでしょう。
ストーリー化することでアイデアは実現可能な策として一気に現実味を帯びてきます。ストーリーは美談でなくとも構いません。ブレストですから多様性のある意見に育てられた物語となるほうが理想です。

ビジネスモデルとして構築する

ビジネスとして成立するためには収益の確保が欠かせません。アイデアを実現し、それをどのように収益化していくかという点をしっかりと考えていきます。アイデアを着想し、現実的にしていく中で収益を得る手段を確立することができればそれはビジネスモデルとして成立します。

3.課題の本質を見抜く

新規事業のビジネスモデルを構築するなかで、それが顧客ニーズの何をどのように解決するのかが明確になっていなければなりません。ここまでは顧客ニーズについてあまり深くは目を向けていません。それはアイデアの創出に力を入れていたからです。しかしビジネスとして形を成そうとしている段階になればその点についてより深く掘り下げていかなければなりません。そして、ここで本質的な課題の解決に至らないと判断した場合にはそのアイデアを切り捨てる必要があります。せっかくのアイデアを切り捨てるのに躊躇があるかと思いますが、効率化という点において、別のアイデアに時間を割くほうが利益になります。

では課題の本質を見抜くためにはどうすればよいのでしょうか。ここで必要なのは視点を切り替えることです。本質を見抜く視点は経営者の視点です。サービスを提供する立場に立ち、なぜその課題があり、なぜその課題が解決できていないのかを分析することで課題の本質に近づくことができます。分析の指針として、自分や周りの人が困っていることはないか、無駄を省くことはできないか、といった観点から考えてみましょう。

ビジネスの本質的課題を発見できればそれは貴重なアイデアになります。課題に対して自分は何をできるかを突き詰めて考えてくることで事業のきっかけが見つかります。

4.実行力

アイデアは早い者勝ちです。「その発想は前からあったのに」と思ってもアイデアは先に実行した人のものになります。そして実際にそういう人が多いのです。アイデアを実行するには大なり小なりリスクはつきものです。せっかく至極のアイデアを思いついても完璧に設計できてから実行に移そうとする間にビジネスチャンスを逃してしまうこともあります。アイデアを発想できたあとはスピード感も大切です。小さいことからでもよいので行動を起こしていきましょう。

まとめ

アイデアはひらめきというよりも自身の中にある知識や経験が作用して生まれてくるものです。だからこそ日ごろの取り組みは大切です。情報収集と課題意識をもって自分なりのアイデアを創出しましょう。アイデアを突き詰め、具体的になれば後は行動です。この段階で貴重なアイデアがストップしてしまうことが非常に多いです。自分のアイデアがたくさんの人の役に立つかもしれない、という気持ちで一歩を踏み出してみてください。



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