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ワセリンに『保湿』成分は入っていません!

小さなお子さんや大人の乾燥肌の方の保湿に関するお悩みはとても多いです。
「保湿剤は何を使っていますか?」と訊ねると結構多いのが、
「ワセリン(ベビーオイルという回答も結構あります)を毎日欠かさず塗っているのに全然良くなりません!」といったお返事。

一生懸命塗っている方に大変言いづらいのですが…
実はワセリンやオイルには保湿成分は含まれていません。
これをお伝えすると、驚かれることも結構あります。

保湿剤はザックリ分けると2つに分類されます。
①皮膚の水分量を直接増やす「モイスチャライザー」
②水分の蒸発を防ぐフタの役割を果たす「エモリエント」
の2種類です。
①は乳液やクリームなど、②がオイルやワセリンなどいわゆる「油」っぽいもの。

ワセリン.002

正確には乳液やクリームにも一部エモリエント効果を併せ持つ成分が配合されていますが、ワセリンやオイルはほとんど100%エモリエントで、モイスチャライザーとしての働きはありません。
つまりワセリンだけを一生懸命塗っていても、皮膚の水分量は増えないので乾燥はなかなか改善しないのです。

ワセリンは成分がシンプルで刺激が少なく、目・口の周りや赤ちゃんの顔やおしりなどにも安心して使える良い保護剤です。
特に血が出るほど引っ掻いてしまった傷などには、通常の保湿剤が刺激となりやすいのでワセリンがベストという時もあります。
しかし通常の乾燥肌に対しては、『保護 』の効果であって『保湿』の効果ではないということを頭に置いておく必要があります。

ワセリン.003


まずはモイスチャライザーで皮膚の水分量を増やし、その上にワセリンでフタをする。
せっかく毎日塗るならその努力を最大限に活かせる方法で保湿しましょう。

まだまだ乾燥の時期は続きます。
保湿剤というものの性質を正しく理解して、上手に乾燥肌対策をしましょう。


【ちなみにこんな方は要注意】
毎日保湿しているのに痒みがとまらない。
保湿しても保湿してもヒリヒリするほど乾燥する。
これは、目にはハッキリ見えなくても皮膚に炎症がある、つまり【湿疹】かもしれません。

湿疹は乾燥が原因で起こることも多いですが、ある程度炎症を起こしてしまうと、「乾燥に対して保湿する」だけでは済まなくて、一旦「炎症に対して治療を行う」必要があります。
つまり保湿剤というお手入れではなく、お薬での治療が必要ということ。

炎症は、長引けば長引くほど治療に必要な期間も長くなります。
早く治療を開始して、「保湿だけで良い状態に早く戻す」ことが大切です
思い当たる方はぜひ一度皮膚科を受診してくださいね。

最後まで読んで頂きありがとうございました(^○^) 仕事の励みや参考になりますので、良かったら「スキ♡」をお願いします♪