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<SKI GEAR 2022/23> 今どきのスキー選びはセンター幅に注目!

センター幅を見ればスキーの特徴が分かる

 スキーの性能を決める要素には、いくつかあります。芯材、強化材、サイドカット、センター幅など。これらの要素がひとつになり、一台のスキーの性能が決定づけられます。この中で注目すべきはセンター幅です。センター幅は、そのスキーがどんな用途に用いられるかを的確に表しています。

 例えば、センター幅が細めの60ミリ台であれば、速い切り換えと強いエッジグリップ力を発揮し、レース用モデルに適した性能を発揮します。また、センター幅が広くなると雪面から受ける抵抗が大きくなり、それが浮力となってソフトな雪質ではスキーが潜らずに滑りやすくなり、100ミリ以上になると深雪用のスキーに適した性能になります。

 スキーのカテゴリーは、大凡センター幅で分類することができます。昔のスキーは、センター幅が60ミリ台と細かったのですが、現在は滑るシチュエーションに合わせて、様々なセンター幅のモデルがラインナップされています。
 タイムを競う競技用モデルは65〜69ミリ、一般ゲレンデ用モデルは70〜80ミリ、ゲレンデに限らず滑る斜面を選ばないオールマウンテンモデルは80〜110ミリ、深雪を専門に滑るパウダーモデルが110ミリ以上、といった感じ。ただし、個々のモデルの特徴もあるので、この分け方に該当しないモデルもあります。あくまでもひとつの目安として覚えておいてください。

上写真/ゲレンデ内を滑る上級者向けに開発されたヘッドのスーパーシェイプシリーズ。センター幅66㎜から84㎜までのモデルをラインナップ。右から、センター幅66ミリのスーパーシェイプ E-オリジナル、センター幅68ミリのスーパーシェイプ E-スピード、センター幅72ミリのスーパーシェイプ E-マグナム、センター幅78ミリのスーパーシェイプE-ラリー、センター幅84ミリのスーパーシェイプE-タイタン、E-スピードの弟分のセンター幅68ミリのパワーシェイプ。E-ラリー、E-タイタンが雪質対応力の高いワイドスキーモデル。

一般ゲレンデをシーズンを通して楽しめるベストな選択は75ミリ?

 一般ゲレンデ用モデルのセンター幅は70〜80ミリと書きましたが、なかでもエキスパート、上級者向けモデルは、全般的に幅が狭いのが特徴で、およそ70ミリが平均値。あえて幅が狭いセンター幅を採用したモデルもあり、60ミリ台のスキーはクイックな操作性が好みの人に向いています。

 一般スキーヤー向けのゲレンデ用モデルで、増加傾向にあるのがセンター75㎜前後のモデルです。幅が広くなることのメリットは、まず安定感が高くなること。そして、雪面から受ける抵抗が大きくなることで浮力が増加し、新雪や湿雪などの柔らかい雪質での対応力が高くなり滑りやすくなることなどが挙げられます。

 センター幅75ミリは、ハイシーズンのグルーミングバーンでしっかりとグリップ力を発揮するとともに、降り積もったばかりのゲレンデの未圧雪の新雪や、湿り気の多い雪、荒れたバーン、春のザラメなど、雪質を問わず高いコントロール力を発揮。硬い雪にも柔らかい雪にも対応した、シーズンを通してオールラウンドに楽しめる幅だと言えるでしょう。

エランの独自の左右非対称構造を採用したセンター幅76ミリの「アンフィビオ 12 C」。非常に扱いやすくコストパフォーマンスに優れる。ソフト目のフレックスながらグリップ力は十分あり、小気味よく滑ることもできる。中級者から楽に滑りたい上級者まで対応。
ヘッドの注目のNEWモデル、センター幅75ミリの「シェイプ E-V8」。軽量で扱いやすく、イージーな操作性ながら、カービングも得意で、中級者から上級者まで対応。滑ることがどんどん楽しくなる。
フォルクルの今季NEWモデル、センター幅72ミリの「ディーコン72(写真下)」とセンター幅76ミリの「ディーコン76」。「ディーコン72」はショートターンベースのオールラウンドモデルで小気味よいショートターンが刻める。「ディーコン76」は安定したロングターンが刻めるオールラウンドモデル。どちらもトップとテールにロッカー形状を採用し、非常に操作しやすいのが特徴。

様々なシチュエーションを滑りたいなら80㎜以上

 センター幅が80ミリ台になると、より新雪や湿雪、悪雪への対応力が高くなります。オンピステだけでなく、サイドカントリー(ゲレンデ脇の新雪)や、スキー場内のオフピステなどでも比較的容易に滑れるようになります。さらに90㎜以上になると、バックカントリーのパウダースノーなどで高い浮力を発揮し、100〜110㎜以上になるとパウダー専用モデルになります。

スキー場内の様々なコンディションに対応するアトミックのNEWレッドスターQシリーズ。右から、センター幅83.5〜85ミリ(長さにより異なる)のレッドスターQ9.8、センター幅75ミリのレッドスターQ9、センター幅78.5〜80ミリのレッドスターQ6、センター幅75〜77ミリのレッドスターQ5、レッドスターQ4。トップモデルのQ9.8は、ワイドなシェイプながらシャープなエッジングと早い切り替えが可能。

 スキーは、センター幅が広くなるにつれ、必然的にスキー自体の重量が増えてしまいます。しかしながら昨今のテクノロジーの進化は著しく、軽量メタル素材のチタン、カーボン素材を巧みに加工し、非常に軽量のモデルを生み出しています。
 また幅が広いスキーはグリップ力が弱く操作が難しくなりがちですが、最新モデルは構造や素材を工夫することで、十分なエッジグリップ力を確保し、操作性にも優れているモデルが増えています。

パウダー、オールマウンテンスキーで人気のフィッシャーのレンジャーシリーズ。手前から、センター幅116ミリのレンジャー116、センター幅108ミリのレンジャー108、センター幅102ミリのレンジャー102。レンジャー116、108はパウダー向きで、レンジャー102は確かなグリップ力が備わったオールマウンテンモデル。

 自分にどのモデルが合っているかは、実際に試乗して試してみるのがベストな方法です。2月〜4月ごろに各スキーショップ主催のスキー試乗会が開催されているので参加してみましょう。
 また日本スキー産業振興協会が主催するスキーブランド合同大試乗会「SKI FORUM on SNOW 」が2月18日(土)・19日(日)に菅平高原で開催されます。詳しくは日本スキー産業振興協会のwebサイトをご覧ください↓。



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