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介護福祉経営士テキスト(基礎編)を読んでみる~1巻その1~

介護福祉経営士テキストを読み、ざ~っくりですが気になった箇所を記載、
詳細については別途調べて簡単にまとめていく形で学んでいきます。

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・なんで読んでるか?

介護関連のサービスに携わっています。
介護保険法の歴史含む全般の知識&介護現場でのマネジメント&介護福祉事業の経営的視点
この辺りをスコープとして学び、サービスに活かしていくことが目的です。

1巻は「介護福祉政策概論」ということで、介護福祉サービスの根幹である「介護保険制度」について概論的に書かれています。

制度の総論的な紹介~仕組み~課題と今後の話 という形。


第一章

介護保険制度の創設背景や目的・意義、今に至るまでの歴史についての詳細が記載されています。

(今更ではあるものの)日本では貧困・窮迫状態を予防する仕組みである、社会保障体制(社会保険方式を基本としたもの)がとられています。

医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険

で、日本国憲法には社会保障に関連する基本規定があり、その趣旨を受けて社会福祉事業等についての規制措置が講じられています。(ここは割愛)


1.政策・制度の展開の流れ

次に介護福祉の政策・制度の展開の流れです。

ここから具体的な政策の歴史になり、現在までの課題の流れを押さえる意味では重要だと捉えていますが、ボリューミーなので、戦後の大枠の流れだけ(またどこかで改めてまとめたい・・)

①生活保護法での救貧対策が始まる
昭和20年代に生活保護法(旧)が制定。無所得・低所得の高齢者はこの法に基づいて養老施設へ収容保護することとされていた。
★高齢者福祉は全高齢者対象ではなく、生活保護制度による貧困対策としてスタート

②老人福祉法による介護サービスが開始
昭和30年代に「国民皆保険・国民皆年金体制」「老人福祉法」がスタート。高度経済成長が進み、家族形態や地域社会の変化に対応して「救貧や保護」という視点だけでなく、「心身や生活実態の変化を踏まえた生活支援」が求められるようになってくる。
★介護サービスが一部自治体で始まるが家事援助主体で身体介護についてはまだ不十分だった
★貧窮者の保護等だけでなく、広く国民対象の福祉法が生まれる。ただし、まだこの時点では低所得層以外の方は利用しにくいものだった

理由は以下↓

・「応能負担」なので中高所得者は負担大(なので実情は低所得の方の利用に偏っていた)
・利用決定は「行政」が「職権」でおこなっていた
・養老院時代の施設イメージもあり、利用をためらう方が多かった

③老人医療費無料化
昭和40年代に「高齢化社会」に入る。老人福祉法改正で70歳以上高齢者の「老人医療費無料化」が開始されるも医療費急増、高齢者医療のひずみや課題が拡大。(オイルショックとかもこのあたり)
国民皆保険や医療供給体制の整備で平均寿命も伸長しているが、介護サービスの基盤整備が遅れ、高齢者介護が深刻化していく。
★福祉分野では施設機能の地域開放、在宅介護サービスが強調されるようになる

在宅介護の3本柱
ショートステイ、デイサービス、老人家庭奉仕員事業(ホームヘルパー派遣)

④老人保健法スタートとサービス基盤整備
昭和50年代に高齢者の特性に沿った医療を負担~支えることを目的に老人保健法が制定される。老人医療費の有料化、老人保健拠出金制度導入、老人保健事業の創出。
長寿社会対策大綱が閣議決定され、雇用/所得保障、健康/福祉、学習/社会参加、住宅/生活環境システムの構築に向けて対策が進められていく流れに。
老人保健施設が創設、リハビリでの早期在宅復帰が目的。

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この辺りでだいぶ現在に近しい感じ?になってきました。

ゴールドプランや介護福祉制度の話、福祉関係八法の改正の話が続きますが、後の章にも出てきますのでいったんここではざっくりと。数値目標を定める、介護/社会福祉士の資格が生まれる、在宅サービスの拡充・行政権限を市町村に・・という流れです。

この辺りの流れで「家庭機能の補完・家事援助の介護サービス」から「個別性を重視した自立支援のための身体介護」へ大きく変わっていきます。

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➄平成12年 介護保険法スタート
(途中だいぶ飛ばしてますが)ここから、現在に至る感じです。介護保険法制定の背景は後述・・・

という所で、時代背景や生活様式、心身の変化の影響を大きく受けて検討が繰り替えされてきたんだな、という印象。今後も時代の変化や実態に即した改正が必要になってくるという点を再認識しました。


2.社会保障の方法

次に社会保障の方法について。

各国の課題や財源の確保方法、負担についての内容がまとまっています。

世界で介護保険制度という独立した制度を実施している国はドイツ、日本、ルクセンブルグ、韓国の4カ国

そうなんですね~、日本の高齢者介護は世界的にも色々注目されてるようですが、こういう要素も関係あるのかな。


3.介護保険制度制定の背景や目的

そして1章の根幹、介護保険制度制定の背景や目的に続きます。

・少子高齢化
・要介護者の増加
・介護の長期、重度化

この辺りは多くの方が問題意識や不安を感じている部分かと思います(ので割愛)。まずここに対して先行して対策を打っていく必要が出てきた、というところがひとつ。

また、介護保険制度の開始前は「要介護」という状態の高齢者の方であっても「福祉」「医療」という目的・理念、手続きや負担の方法が違う法体系のもとでサービスが提供されており、そこで諸々ひずみ?が出てきたというのが大きな背景と読み取っています。

・老人福祉については市町村が提供サービスを決める仕組みで内容を利用者さんが選べず、サービスが画一的。応能負担で心理的、負担金的にも利用しにくい実態。
(すごいざっくりですが)負担金も福祉>医療のため、収入が高い層は治療ではなく介護目的で入院するケースが多くみられていた。(社会的入院)
・医療サービスについては医療機関と患者の間で自由な選択ができるという側面もあり、それが長期の入院(社会的入院)にもつながっていた。
ただ、もちろん医療をするべき施設なので要介護者が長期入院するために必要な設備や体制は不十分で介護サービスの質の面では問題が多かった。

この辺りの社会的入院が発生した要因は負担金以外でもいくつかあり、

・在宅介護や特別養護老人ホーム等の基盤作りや施設整備が不十分でニーズに対応しきれていなかった
・特別養護老人ホーム入所へのスティグマ意識(福祉のスティグマについては改めて調べていきたい・・)

のような所もこの時代に長期入院が促進されてしまった理由と記載されていました。

この辺りを是正して、利用者の選択で介護サービスを総合的に利用できる公平・効率的な仕組みの創設が社会的・政治的に求められてきました。

そこで、老人福祉と老人医療を再編、共同理念をもって社会全体で介護をささえる新しい仕組みとして、給付と負担の関係が明確な「社会保険方式」を用いた介護保険制度が創設された!!

・・・と読み取っています。


4.介護保険制度の目的と意義

1章最後は介護保険制度の目的と意義について

(・・まだ1章だったことにここで気づく)

改めてですが、介護保険法は

要介護者等について制度を設けて、それを行う保険給付等に関して必要事項を定めることを目的とする法律

・高齢者が
・尊厳を保持し、自立した日常生活を営むための支援を
・医療保険、福祉サービスで一体的に提供できるよう
・そして、社会全体で介護を支え合えるよう
・共同理念に基づく社会保険システムを用いている

という特徴があります。なので対象となる高齢者の方は

単に保護を受けるだけでなく、費用負担者=被保険者

という位置づけです。

導入の経緯や意義としては以下の通りで、法律制定までにあった課題に対応した結果つくられている仕組みであると分かります。

・自立支援:身の回りの世話だけでなく高齢者の「自立支援」をする
・利用者本位:「利用者の選択」で保険医療や福祉サービスを総合的に受けられる
・社会保険方式:「給付と負担の関係が明確」な方式を採用

被保険者が介護必要度に応じてサービスの利用決定を行い、提供事業者を選択することが出来るようになりました。

時代に即した新たなサービスの創出や従事者の増加、適切な利用を支援するケアマネージャーといった人材の参入が促進された形です。(現在人材不足等の新たな課題を生んではいますが、そこは別途・・)

※テキストにはバブル崩壊後の厳しい状況の中、この法律の制定が雇用や将来の介護への安心感を与えたというのもあるかも、といったような記載もされていて、なるほどなと思いました。


ということで、20年前に介護保険制度が始まりました。

来年の介護報酬改定の検討内容確認も進めていますが、引き続きサービス提供基盤の充実やサービスの質向上、地域包括ケア推進等々について議論がされているようです。

少子高齢化、一人あたりの負担増といった不安要素もある中で、介護保険制度の持続性や安定性を守り、利用者の信頼に応えていくことが重要です。
(現状の課題については後ほど出てきます)

という所で、一章の概論は締めくくられています。


いったんここまで。

実は1巻10章まであります・・(とはいえページ数的には1/3くらい1章ですが)

2巻分くらいまで読みましたが情報量が多い、そして重要箇所?が多い。。

スマートな記事を書くためにも、改めてまとめ方は考えていきたい&noteを使いこなせるようになりたい、、という気持ちになる年末でした。


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