ゲンロンSF創作講座5期第3回梗概感想②
西村真「これは銃です」
「西村真さんの『これは銃です』。『これはペンです』のオマージュタイトルだな」
「そういう話ではないけどな。で、ヒト型AIロボットがもとは銃だったってところがかなり好き。警部補がじつはAIロボットだった! というのが驚かせどころなのかもしれないけど、そこは最初からAIロボットって言っても良いんじゃなかろうか」
「わたしは少女をどう書くのか、というのが気になった。梗概を読んだ限りだと、超然とした雰囲気があるんだけど、それ以上がないというか。キャラクターが定型っぽい」
「まあ、そこは梗概段階だからなあ」
「あと梗概が全体的にエモーショナルっぽい文章に寄りすぎている感はある。こういう状況があって、それがこうなりこうなって、で結局こうなりました。みたいにシンプルに書く方が良いと思う。そしたら字数が100字も超えることはないんじゃないかな」
「ラスト一行とかエモーショナルが爆発してるもんな。確かに梗概はそこは求められないと思う。シンプルな書き口の方が読む側にも優しいしな」
方梨もがな「魔術師の無間の夢」
「方梨もがなさんの『魔術師の無間の夢』」
「うーん、いまいちわからない。かっこいい文章ではあるんだけど、梗概にかっこいい文章っているの? という……」
「あっても良いけど、話の筋がわかることが前提という感じか」
「無間機関というワードはかっこいい。なんかありそうな感じはする。それだけにもったいない」
「エーテルが実在した世界を構築する装置。やばすぎるな」
「無間機関がエーテル実在世界を構築できるものなのか、人間がエーテルを認識できるようにするものなのか、いまいち判然としない。別物な気もする」
「エーテル実在世界を作ることによってその内部では人間がエーテルを認識している、ってことじゃない?」
「なるほど……。なるほど?」
「心臓を虚空に握りつぶされることもできるってことなのかな。だとするとやりたい放題できるな。世界にばら撒いていい代物じゃない笑」
中野伶理「ふれる」
「中野伶理さんの『ふれる』」
「好きなタイプの話だ。触覚がテーマなのも含めて」
「けっこう狂気度が高い話よね。毒のことを黙っている理由に衣装を見たいという欲望があったからとか」
「ここはもっと狂気度あげても良くない?」
「ん、どういう意味?」
「毒の話をもっとラストに直接からませるとか。で、毒だってことを実はイライもシンも知っていた……」
「毒です、知ってました、それでもやったんです、ってこと? まあ確かに狂気度はあがる」
「実作読みたい。書きやすそうな梗概だし」
「自分は書かないから言えることだけどな」
根岸十歩「星のささやき」
「根岸十歩さん『星のささやき』。アピール文が潔い」
「プロフィール写真が怖いな」
「それはいいから。で、これはもうディテール勝負だと思う」
「ロシアの衛星国家となった日本をどれくらいリアリティをもって書けるかという……」
「ロシア支配だけど、政府は求心力を失っている、というバランスが楽しい。そこに2人の女性の関係が重ね合わされていて、という構図は破綻しないんじゃない? 2人以外のキャラクターがあんまよくわからないのは気になるけど」
「だからあとはディテールの説得力ってことだな」
「そう思うわ。音響兵器のロジックも含めて」
園田陽「新曲と遊び」
「園田陽さんの『新曲と遊び』」
「できれば改行していただけるとありがたいかと……」
「自殺曲を聞いて、新しい曲を作れ、というところは無理がないかな。ロジックがどうなっているのか」
「それは最後に回収されてる伏線でしょ。実はオカ研部長の陰謀だったという」
「それでもさすがに読者に対してもう少し説得力のある説明が欲しくない? 刑事に口裏合わせを疑われるところが後に繋がってないのも気になる」
「アピール文にある主人公が死ぬ理由が楽しむことを忘れたから、というのはいいんじゃない? 実作で主人公が楽しんでギター弾いている描写を前半に入れといて、後半鬼の形相で自殺曲から新曲を作るシーンがあれば、主人公が死ぬことに説得力を持たせることができると思う」
「確かに。描写で読者に気づかせるというやつだな」
西岡京「国葬」
「西岡京さんの『国葬』」
「構造があって展開がない梗概なので感想が言いづらい」
「この枠組みのなかでリアリティラインを守ったら基本的に何をやっても破綻しなさそうだな」
「全てを悟れる主人公はすごいな。若干危険な匂いがある」
「2万字のあいだで主人公は悟れるのかってこと?」
「説得力のある、悟るまでの道筋次第ってことかな。梗概を読むと風景描写はいくらでも展開できそうだから、あとは主人公の語りによって作品のカラーが決まると思う」
オチノニト「サチとタエは荒野を目指す」
「オチノニトさんの『サチとタエは荒野を目指す』」
「簡潔なプロット、とアピール文にあるけど、これは簡潔なの?」
「プロット自体は不遇を自覚→改革の流れに乗ってるし、シンプルじゃない? ただそのプロットに、海上都市とかの設定が入り組んでるから、簡潔じゃないって思うのもわかる」
「これだけのことをやってる製薬会社が住民がちょっと意識を変えただけで態度を軟化させるのもわからない。もっと強硬な態度のままで、だからこそより苛烈に運動が広がる、ってするとエンタメ度が増すと思う。まあ、エンタメにされたいのかはわからないけど」
「町同士は交流がない感じだよね。特殊な世界が舞台だけど、海上都市じゃなくて陸地でも問題なくできるとは思う」
「設定を整理してシンプルにした方が良いってこと?」
「そっちの方がシンプルにしたプロットが生きると思う」
岡嶋心「僕らの休眠預時間活用法」
「岡嶋心さんの『僕らの休眠預時間活用法』」
「実作選出されてる作品だな」
「すげえ執筆コストが高そう笑。クライマックスのハルトの復讐を止める描写どうやって書くんだろう」
「時間貯金っていうアイデアでもう勝ち、みたいなところがあるな。人間はそれぞれ固有の時間を持ってるんだよ、みたいな。わくわくするアイデアなので勝ち」
「言うとしたらあれだな、性暴力を入れる必要がまったくないっていうところだな」
「円城塔先生が去年おっしゃっていたことにもあったな。『性的犯罪をスパイス代わりに入れない』っていう」
「それだな。あと男にした別の形の復讐ってなんだろうな。復讐自体が駄目って気もするが」
「確かに、『復讐を果たし、大団円』の穏やかじゃない感は相当だな。一応刑期を終えてるわけだからな」
「でもまあそれくらいだよね。実作が楽しみな作品。どう書くのかがすごい気になる」
本所あさひ「仮装世界のまみむめも」
「本所あさひさんの『仮想世界のまみむめも』」
「これは、茂が自分の言動が現実のマミなのかアバターなのかわからなくなるっていうところが個人的なツボ。最高だと思う。この感覚をじっくり書いてほしい」
「なにかこう、無理にSFに寄せている感じがしない?」
「あー、え? わからなくもないけど、どういうこと?」
「これ現在の話として書いても問題ないと思うんだよね。208X年にせずに」
「あ、そういうこと。それはわかるな」
「VRChatみたいなところで授業をやってるわけでしょ。登場するテクノロジーがあんまり未来感がないし、現代か近未来舞台の小説として成立すると思う」
「それもそうだな。SF講座だけどSFじゃなくても良い場合もあるもんな」
「あとはアピール文に実作では授業内容を膨らませて書くってあるけど、それはどうだろう。ストーリーの軸がぶれちゃうと思う」
ささきえり「魔法のタペストリー殺人事件」
「ささきえりさんの『魔法のタペストリー殺人事件』。まさか殺人事件がタイトルに入ってる作品が同時に2つも出るとは。講座史上初じゃない?」
「こっちは殺人事件然とした殺人事件だな。……いや、殺“人”か?」
「息子にとっては人だからじゃない? いや、そこはいい。これは凄い話だよ。それぞれのキャラクターが切実な思いで行動して、そこで謎が発生している。2万字くらいにおさまるくらいにコンパクトだし、それでいて不足感がない」
「『粉々にしたときには朝だった』というところの切なさが素晴らしいな。実作を書いてほしい」
「どこまで切り刻まないと死なないかとか、そういう魔法のタペストリーの細かい設定がわからないけど、うまいこと行きそうな感じがある」
「絶賛やね」
「これはぜひ実作を。読みます。これ選ばれてほしかったな。梗概審査ではどんな評価だったんだろう」
織名あまね「事故調査レポート:甲斐国始末記」
「織名あまねさんの『事故調査レポート:甲斐国始末記』」
「バディものだな。ばれちゃ駄目、というのが話を引っ張っていくという」
「よくあるっちゃよくある。条約破ったらどうなるんだろう」
「そこはいいだろ。キャラクターをどれだけ魅力的に書けるかにかかってる感じかな」
「特に人間側のキャラクターだな。豪快で突き抜けた気持ちのいいキャラクターという印象だけど、実作でどうなるのかという」
「『乱れた世の中であぶれ者を養う~』のあぶれ者が、主人公2人のことを暗示してるのかな。そうすると、マイノリティの話っぽくなる」
「それなら主人公2人の背景が気になるな。なんで惑星調査やってんの、とか」
「けっこういろんな要素を詰めこめそうな設定だな。それでいてしっかりエンタメ。実作でさらに面白くなる気がする」
かわのさきこ「第三水底劇場、さいごの一日」
「かわのさきこさんの『第三水底劇場、さいごの一日』」
「外科手術によって身体を変化させているから、子孫にそこが受け継がれなくて斜陽、という設定が魅力的だな。もの悲しさを実作でどれだけ出せるか」
「作品全体を引っ張る強烈なフックがあるわけじゃないけど、この作品にそれを求めるのはお門違いだろうね。丁寧に丁寧に書いていって、最後は柔らかく着地してほしい」
「アピール文によると、実際に小劇場でアルバイトしていた方らしいから、小劇場のディテールは丁寧に書かれるんじゃない」
「これを書かなきゃいけない、みたいなものがあまりない作品だね。それだけ自由度は高く、ハードルも高い」
「ハードルを下げるには海中世界特有のギミックを入れまくるとかかな」
「それよりもやっぱさいごの一日を丁寧に書くことが優先じゃない?」
宿儺「終の住処」
「宿儺さんの『終の住処』」
「まず視覚イメージが良い。海が堤防で見えなくなっている、というところから沖に漁火に持っていくのも綺麗だな」
「そしてそれはARによる夢である、と。夢でも別に良いんだよな」
「フィクションの在り方みたいなものにも通じる感じかな。あまりSF的なものを志向せずに、文芸のように仕上げてほしい」
「視点をどこに置く予定なんだろう。梗概読むかぎりは原田に見えるけど。そうなると原田はあまり我を出さずに語り手役に徹することになるのかな」
「原田がめっちゃおしゃべりな奴だったら困るもんな。原田の成長というか、作品を通しての変化を前に出してしまうと、最後の夢の情感が薄まる」
「それは書き方次第じゃない? 上手いこと書くこともできる気はする」
山森衛「生命の霧を編む」
「山森衛さんの『生命の霧を編む』」
「中盤まではファンタジー、最後にSFネタが突っこまれるという形か」
「最後までファンタジーで行っても良いのかなという感じ。架空の編み物とかスヴァンニとレイザの関係とかがすごく魅力的なのでそのまま行ってほしい」
「レイザの登場の仕方が綺麗よな。露店で売ってたら少年が来る、肩に掛けているのは自慢の叔母が神殿に奉納したものでスヴァンニはそれに動揺するという。インパクトがあって無理やり感がない。ドラマが始まりそうな予感をたっぷりまとってる」
「プロフィールを読むと大学で歴史学、民俗学をやっていた人なのか。勝手に親近感を感じてしまうな。文章も整っているし、ファンタジーで押すと良いと思う。講座内で強い武器になりそう」
「こういう手触りのものを書けます、という感じでか。ありだと思う。もちろん山森さん次第ではあるけど」
去場司「星を飲む、手のひらの中の宇宙で」
「去場司さんの『星を飲む、手のひらの中の宇宙で』。最初の一文がもうかっこいい」
「星を飲む、その中にある記憶を見る、というスケール感が凄い面白い。父親が母親にまつわる記憶を求めて抹星を飲むところとかかなり良い」
「でも実作書くのは相当大変そうだよね。挽かれた星をどう回収するのかとかそれはどんな物質なの、とか。そういったものを説得力を持たせて書くのは大変だと思う。これ登場人物はどういうサイズなんだろうね。めちゃめちゃでかいとかかな」
「人間のサイズなんじゃない? その人間と星のサイズの差がスケール感を生んでると思うけど、実際に書くのが大変と言われればそれはそう。三条との決着はちょっと唐突に見える。ネタばらししてお話を畳もうとしてるように感じちゃう」
「親父が失踪、じゃなくて狂って死んだのを主人公が見たことにすれば、スムーズに復讐譚に繋がるんじゃない。いや、それもどうかな」
「実作読みたいなー。気になる」
継名うつみ「「つい殺ってしまう」体験の作り方」
「継名うつみさんの『「つい殺ってしまう」体験の作り方』」
「タイトルはこれで良いのか? 作品の雰囲気はこれじゃないように感じるけど」
「《繭》というでっかい嘘があってほかはリアル寄りにするってのも手だと思うな」
「どういうこと?」
「『シン・ゴジラ』とか『メッセージ』とかみたいなイメージね。『アナイアレイション』とか。要するに舞台が日本で主人公を自衛隊の人間にするとか在野の研究者にするみたいな話」
「ああ、なるほど。それはリサーチ力が試されるな。梗概はかなり虚構度合いが高い。兵士たちが具体的にどんな組織に属しているのかとかがわからないもんな。幽霊と対峙するという設定は好みだな。そういう個的なものと、人類の現在過去未来の寄せ集めみたいなものが設定で繋がっているところも面白い」
「最後も綺麗な終わり方だと思う」
「ちょっと唐突じゃない? いまいちアリスの動機がわからない」
「そこはまあ、実作でいくらでもやりようがあるんじゃない?」
馬屋豊「複製の君」
「馬屋豊さんの『複製の君』」
「プロフィールにある『すでに気分はSFです』というのが最高だな。意味がわからない笑」
「梗概はこれ、ギャグなのか。老王の駄々で特例を通すなよ! とか思ったけど、『いやじゃいやじゃ、儂の後継を見たいんじゃ』みたいなギャグ世界なら良いのかとなった。シリアスな話なら特例を通す理由をちゃんと書かなきゃいけないとは思うが」
「いまやってる映画『新解釈・三国志』を連想した。いや、『新解釈・三国志』は予告しか知らないけど」
「つまりありということ?」
「ありっちゃありだけど人は選ぶ、みたいな」
和崎藤丸「二度とはなれないダイアモンド」
「和崎藤丸さんの『二度とはなれないダイアモンド』」
「バラードの『結晶世界』が浮かんだ。梗概審査で言われたかもしれないけど」
「ストーリーは別物だけどな。で、梗概はかなり読みやすくて良い。2人の関係を軸にしてぶれてないからだと思うけど、混乱なく実作が書けそう」
「実作ではシュゼがガザンをどう思っているかがもっと欲しいかな」
「それは人称をどうするのかという話に繋がるな。梗概を見る限りガザンの一人称っぽい感じがあるけど」
「まあ人称はガザンの一人称で良いんじゃないかな。あとは2人の関係を際立たせるために2人以外のキャラクターをどのように書くかじゃない? 定型っぽいキャラクターにしちゃあかんという」
「キャラクターの扱いに温度差があると読者が感じないようにするってことね」
邸和歌「ぺりぺりぺりぺり」
「邸和歌さんの『ぺりぺりぺりぺり』」
「実作選出作だな。タイトルからホラーを連想したけどそんなことはなかった」
「情報分離業という仕事、一次情報が個人資産に認められているという設定が最高だな。ストーリーもまとまってる。1万字から1万5000字くらいになりそう」
「文字数は剥がしていく辻の情報の見せ方によってコントロールできそうだよね。ラストはちょっと綺麗すぎる気もするけど。ありがとうって言われるところ」
「それは承知でやってるじゃないかな。辻の情報のなかの田牧をどう描くかでカバーできると思う。嘘くさくない実直さというか、田牧のエピソードを辻の視点で書くことになると思うんだよね。そこで田牧の魅力を出せるかという勝負」
「実作に選ばれてるし、楽しみだな。タイトルは……これでいくのかな?」
「ぺりぺりって音がすんの? ほんとに? とは思うな笑」
矢野七味「忠臣蔵エイリアン」
「矢野七味さんの『忠臣蔵エイリアン』」
「忠臣蔵の原因は地球外生命体にあった、という話だな。俺たちの戦いはこれからだ! みたいな終わり方をする」
「そこは短編小説の終わり方としてはどうかとも思う。きちんと終わった方が読み味が良いのでは」
「忠臣蔵に地球外生命体を合わせるというのは結構力業で面白いな。忠臣蔵自体の筋がすでにあるから実作を書くハードルはそこまで高くないと思うし。タイトルにエイリアンというカタカナを入れるのは作品の雰囲気とあわせて違和感は出そう」
「大人数の戦闘を書くのは執筆カロリーが高いと思うのでそこはなんとか乗り切ってほしい。それができたらそれだけで大きい武器になるような」
「浅野よりも吉良が強いと地球外生命体が判断した材料が少し気になるな。どっちが強いとかあるのか?」
「筋力の問題ではなさそうだよな」
牧野楠葉「新代田から」
「牧野楠葉さんの『新代田から』。これも選出作品」
「最初の一文がかっこよくて、そのまま最後までテンションが落ちない。内容も面白い」
「Qちゃんがめちゃくちゃ説明口調だけど、これは梗概だからだろうな。最後の視線を交わすとまだお互い繋がっているってところが良い。ある種の情念とどうしようもないことに対する諦めがない交ぜになった作品という印象」
「予知夢が見れる薬という設定はどうなのかという突っこみはありうると思う?」
「どういう成分なの、っていうこと? 多少気にはなるけど、これはモクとマーシーの話だからなあ。ノイズになるほどのものではないと思う」
「個人的にはあれだな、長野に移動するシーンはじっくり書いてほしい」
「電車かなんかで行くんだよな、きっと。すごい焦っているというか、気をもんでる。だからといって電車が速く進んだりはしないから余計焦る、みたいなことね」
「そうそう。じらせばじらすだけ最後の抱擁がぶち上がると思う。ぶち上げてほしい」
吉羽善「ストラディヴァリウスの墓守」
「吉羽善さんの『ストラディヴァリウスの墓守』」
「タイトルがかっこいい。けど、いうほどストラディヴァリウスの話ではないような」
「それはそうかも。これは白昼夢というギミックをどう使うのかというのが勝負どころに見えるな」
「ふむ、というと?」
「白昼夢がかなり便利に使われてる印象がある。いっそ白昼夢というギミックはなくしても成立するかもしれない」
「幽霊を主人公の完全な想像にしちゃうってことか。白昼夢の不具合なのか、自身の想像なのかで悩むのではなく、現実と想像の区別がつかなくなってしまった主人公が最後全部燃える夢を見る、で終わりってことね」
「まあそれはそれで、現実と想像の区別がつかなくなってしまうまでの道程をきちんと書かなくちゃいけなくなるとは思うけど」
「それは作品のカラーによるな。最初から現実と想像の区別がつかないキャラクターとして設定することはできるでしょ。そういう話です、としてしまっても成立はすると思うが」