ロシア人が選んだ好きなフィギュアスケート衣装ベスト○○(MatchTV編) その3
前回の続きです。
更新をさぼっている間に、ユーロの開催が中止になってしまいました。。
解っていたけど口から魂が出そう。。。
7.ユリア・リプニツカヤ
「シンドラーのリスト」赤いコートの少女がランクイン。
ソチ五輪のヒロインとして、人々の記憶に残る伝説の衣装ですからね!
どちらの作品もデザイナーはおなじみの『Olga Ryabenko』さん。
「シンドラーのリスト」の衣装は、当初は他のデザイナーさんが作っていたけれど上手くいかず、ユリアのママがRyabenkoさんを頼って試合二週間前に電話をかけてきたそう。これがエテリ組との最初の仕事とか。
大急ぎで仮縫いした衣装をリンクに持っていくと、エテリはそれを見て”はい、これです”と。
赤いコートは映画にでてくる少女を象徴し、手袋とスカートのグレーが白黒のあの映画の雰囲気をよく現していると思います。
一見、コートの前がガバっと開いて脱ぎ着できるように見えますが、実は襟から袖にファスナーが隠れているんですって。全然気づかなかった!
「メガロポリス」のボーダー衣装もとても印象的。
これはユリアがバカンスに行った時の服がモデルなんだとか。エテリはこの衣装が好きでなかったらしく、”この衣装が理解できない……”と言っていたそう。
参考記事:
・https://www.sports.ru/tribuna/blogs/mansikka/1618857.html
・https://www.forbes.ru/forbes-woman/373543-cennyy-ekzemplyar-skolko-stoyat-platya-aliny-zagitovoy-i-evgenii-medvedevoy
・https://www.eg.ru/sport/504910/
・https://www.oblgazeta.ru/sport/figure-skating/37507/
・https://zen.yandex.ru/media/tataaistova/kto-shet-dlia-figuristov-chast-1-olga-riabenko-5c3c440f11006c00aae0dbd7
8.チョック&ベイツ
ISUアワードのベストコスチューム部門で大賞を獲ったチョクベイのFD「Egyptian Snake Dance」衣装。
ロシアでランクインも当然ですわ〜。
2019-2020シーズンを代表するプログラム&衣装ではないでしょうか。
作ったのはテサモエや宇野昌磨の衣装で日本でも有名になった『Feeling | Mathieu Caron』。
大賞受賞後の↓動画では、製作過程も見ることができます。
このドレスはチョックさんとデザイナーのMathieuさんが一緒にデザインし、ヘビの模様を手描きした上から石を貼り付けているそう(艶かしいヘビのようなフィット感はそのせいなんですね!)
まさに止まっているときはスカートがチョックさんの肌のようにピタッと張り付き、動き出すとヘビの皮膚が体とともに動くさまを再現していると!
メッシュ生地を使用し、ペイントと石の間に薄い肌のような質感を見せているのもヘビの皮膚の再現に効果を発揮しています。
そして動画に出てくるデザイン画では、すでにあの髪型が指定されている!?
↓右手にヘビの頭を模したグローブをしていたのはインタビューを読むまで気づきませんでした。
このドレスには14,500個以上の石、ヘビの皮の鱗を再現するために数百の小さなスパンコール(胸やスカートの金きらあたりに使用されている模様。スパンコールの方が石より軽くなる)、様々なテクニックを駆使し80時間以上を費やしたとか。
個人的にMathieuさんのデザイナーとしての魅力って、ボディを美しく見せる達人なところだと思っています。男も女も。
そしてしっかりとした製作チームを持っていて、新しい技術へのチャレンジに貪欲なところも。
このスネーク衣装はその持ったもの全てが発揮されている、Mathieuさんチームが作ったからこその傑作なのではないでしょうか。
ベイツさんの衣装への言及が一つもないな!(笑)
参考記事:
https://www.isu.org/figure-skating/isu-skating-awards/best-costume
9.アレクサンドラ・トゥルソワ
今シーズンから唯一エントリーされたトゥルソワのSP衣装。
プルアカに移籍して衣装どうなるの?と心配していたファンを良い意味で裏切って、そんな路線もトゥルソワ行けるんだ〜!とワクワクさせてくれたドレスではないでしょうか。
日本では初お披露目から”かわいい”、”リアル・ティンカーベル!”と絶賛の嵐でしたが、本国のロシアでは賛否両論で素晴らしいドレスと肯定的な意見と、”ドレスのサイズが大きい、太く見える”、”肌露出しすぎ”、”スカートに石が付いてて重そう、競技第一にして”、と否定的な意見で二分されていました。
デザイナーさんは新体操衣装専門で、あまりフィギュアスケートの衣装を作ったことがない方だったので、色々と素材の使い方やルールに戸惑いがあったようです。
2戦目に↑のように作り直してからは、反対意見もなくなって、賞賛する書き込みが増えたように思います。
ロシア人てドレスのサイズ感とか体の見え方に凄くうるさいな〜と思った出来事でした。
※余談ですがこのデザイナーさんがインタビューで「グリーンは(スケートでは)珍しい色。チャレンジ。ピンクグレーやその他のおなじみの色はリスクが少なくて普通のこと(要約)」と発言したことにより、前デザイナーのRyabenkoさんがインスタに緑色の衣装を大量にアップし始めるというロシアン的プロレスが繰り広げられました。
シェルバコワの最新衣装はピンクグレーですからね!煽られてると感じたんでしょうか(笑)
しかしピンクグレーってロシアじゃ普通の色なんだ〜・・・。
確かにピンクグレーってロシアの衣装に多いかも。
10.マリア・ソツコワ
ピンクグレーの衣装がロシアで多い。
って話したとこから早速、ピンクとグレーの衣装がランクインです!!
国民的に好きな色なんでしょうか???
”ソツコワはいつも美しいドレスだったが、五輪のグレーは非常に美しかった”
”ソツコワの月の光は繊細で上品”
と、コメントでも特にグレーの「月の光」衣装を押す人が多かった印象。
この衣装を作ったのはロシアの若いファッション系のデザイナー『Sergei Levin』。主にCSKAに所属する選手の衣装を作っている方で、ソトニコワのソチ五輪金メダル衣装もこの方の作品。
ソツコワはいつも美しい衣装だったんですが、このデザイナーさんに変わる前の2017年くらいまではソツコワのママが有名デザイナーのドレスを氷上へコピーしていたので有名でした。
(例えばジュニア時代の「四季」はアレキサンダー・マックイーンの2013F/Wコレクションとそっくり)
五輪シーズンはどうするのかな?とちょっと心配だったんですが、平昌五輪シーズンからこのSergeiさんに変わって、オリジナルの美しい衣装を作るように。
特にこのグレーの衣装は決して派手ではないのに、月の淡い光をあらわすようなグレーに繊細なレースが優雅なソツコワの所作とあいまって、極上に美しいプログラムとして人々の記憶に残っているようです。
まとめ
ロシア人の好みを探る記事にするつもりが、だらだら薀蓄を垂れる長い記事になってしまいました。反省。
とにかくロシア人の好みとして
・シンプルでスタイリッシュなのが好き
・オリエンタル系、インド系なんかも好き
・我々が好きな王侯貴族チックなものは「古臭い」と感じる
・スタイルが良く見えるかどうかにうるさい
というのが解りました。
これはMatchTVに寄せられた傾向なので、コミュニティの違いで好き嫌いは変わってくると思います。
日本で言えば5chとヤフコメとガールズちゃんねるとTwitterで集まる人の傾向が違うみたいに、ロシアにも色々派閥があるでしょうから。
FSOとかVKのグループでも違うでしょう。
例えばこちらは↓あるVKグループでの19-20シーズン衣装のファン投票。
国内(ロシア)選手と海外選手で集計が別になっているものの結果です。
https://vk.com/topic-64888695_40092345
↑リンク先は過去の投票結果がまとまっているので、見ると楽しいです。
シェルバコワのパフューム衣装が1位だとか、メドベのSAYURIはランクインしてないとか、MatchTVと違いがありますね。
中国の衣装が人気あるのも意外。
日本でもこういう衣装の人気投票があったらどういう傾向になるのか気になりますね!
シーズンの縛りがないなら自分だったら何に入れるか……うーむ悩む。
誰か、どこかで、ファン投票企画やってくれないかな〜。
おわり
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